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【特別企画】馬サブロー全面協力!クラシック展望記者座談会~桜花賞編(1)

  • 2014年04月07日(月) 12時00分
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おじゃ馬します!

▲今回は『馬サブロー×netkeiba.com』の特別コラボ企画

春の気配が日ごと増す栗東のとある夜。競馬専門紙『馬サブロー』とnetkeiba.comの特別コラボ企画が行われました。テーマは『2014年クラシック展望』のトラックマン座談会。トライアルが終了しメンバーが出揃った今、プロはどんな感触を持っているのか。馬券で狙いたい馬は。現場情報満載、馬サブロー・トラックマンと赤見千尋さんの熱いトークをお楽しみください。今週は桜花賞編です。


■参加メンバー
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“調教・パドック馬体診断マニア”吉田順一記者
(調教班:栗東坂路、3歳本紙担当)

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“徹底的トレセン現場主義!”安里真一記者
(厩舎班:池江泰寿厩舎ほか担当)

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“ラジオでリスナーに競馬愛を”森田真司記者
(厩舎班:松田博資厩舎ほか担当)




◆チューリップ賞より好状態で

赤見 今日はお集まりいただきありがとうございます。早速、桜花賞のお話からお聞きしたいのですが、今年は何と言ってもハープスターが出るということで、牝馬戦線のレベルはどんな印象ですか?

吉田 今年は間違いなくハイレベルですよ。函館から始まる夏の2歳戦、全部牝馬が持っていきましたからね(※)。デイリー杯2歳Sもホウライアキコが勝ったということで言えば、今年の牝馬はハイレベルです。

※函館2歳S・クリスマス、新潟2歳S・ハープスター、札幌2歳S・レッドリヴェール、小倉2歳S・ホウライアキコ

安里 たしかに、ハープスターの強さは目立っていますからね。

森田 ハイレベルの中でも、ハープスターは頭一つ抜けていますよね。

吉田 抜けたと思いますね。阪神JFで2着でも、力はやっぱり一枚上だなと思います。

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赤見 ハープスターの強さは、皆さんが認めるところですね。レースで強いのはもちろん分かるんですが、普段見ていてどうですか? 森田さんは松田博厩舎のご担当ということですが?

森田 普段は何も手のかからない馬ですね。ブエナビスタもそうだったんですけど、追い切りでも余計な力を使わないんですよ。

赤見 厩務員さんはブエナビスタも担当されていた方なんですよね。

森田 そうなんです。ベガやアドマイヤキッスも担当されていたんですけど、あの人は違うんですよね。腕利きです。もちろん、厩舎自体の牝馬のレベルもすごいんですけど、一流馬でないにしてもしっかりと走らせるんです。だから、超一流の牝馬を任せたときはものすごい。そういう理由もあって、ハープスターは最初の頃から「これは走れるだろう」と思っていました。

赤見 最初に驚いたのは新潟2歳S。スタートで遅れて「あぁ、もう終わったな」と思ったら、あの瞬発力…。

吉田 今思えば、その2着がイスラボニータ(東スポ杯2歳S、共同通信杯など)ですもんね。

赤見 前走のチューリップ賞の評価はいかがですか? ハープスターが出るので、他に回った陣営もあったんでしょうか?

安里 やっぱりノーザン系の馬は使い分けましたよね。だから、チューリップ賞のハープスター以外のレベルには、疑問もありますが…。

吉田 藤原英厩舎の1勝馬(プリモンディアル)が注目されたぐらいですもんね。

赤見 そうなると、ハープスターとしては勝たないといけない一戦だったわけですね。

森田 1週前の追い切りがバタバタで、当週の追い切りも軽くて、ある人に「こんな追い切りでいいのか?」みたいなことも言われたんですけど、ビシビシやる追い切りだってできた中で、あえてソフトにとどめておいたということですからね。

吉田 スイッチが入っているかいないかですよね。1週前はまだ稽古で、スイッチも入ってなくて、当週は「レースなんだな」って分かったのかなと思うんですけど。まぁ、“前半ゆったり、上りはしっかり”という厩舎ですからね。

森田 そうそう。“ゆっくり入って終いだけ”というのが厩舎のパターンですからね。GIを幾つも勝っている厩舎がやっていることだから、それでいいんだろうと思っていたら、やっぱりその通りで。

吉田 あとは、順調にやっているかですね。チューリップ賞の過程からすると、1週前は「これ、どうなるんだろう?」って皆思ったでしょうけど、多分今回は、チューリップ賞よりは絶対に良く出てくると思います。

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▲森田「GIを幾つも勝っている厩舎のやり方ですからね」


◆凱旋門賞への条件

赤見 仕上げの心配はなさそうと。

吉田 そうですね。あの強さですけど、もし負けるとしたら、母父ファルブラヴの血ですかね。あの血統ってグワッと良いときもあれば、すごく落ち込むときもあるムラな血統なんですよ。ハープスターは、馬体を見たらファルブラヴ。(父の)ディープインパクトじゃないですよ。

安里 そういうところでは、成長力という点ではどうなんでしょうかね。まぁ、今のままでも十分でしょうけど。

吉田 もうあれで固まっている感じはしますもんね。変なことになると、ファルブラヴの血で気性的に暴走することが出てくるのかもしれないですけど、今のところはないのかなと思います。

森田 松田博調教師は多分、目標をもっと先に置いていますからね。こんな風に言ったらあれですけど、桜花賞は獲って当然ぐらいの感じだと思うんです。

赤見 やっぱり秋の凱旋門賞もありますから。

安里 そのためには二冠。

森田 それが最低条件でしょうね。

安里 松田調教師は、ブエナビスタの時もそうでしたけど、凱旋門賞を使う予定がその前の札幌記念で負けて、「勝ちに等しいではダメ。勝たなきゃいけない」って遠征を止めましたよね。国内で負けているようでは…ってことでしょう。

吉田 男らしいですよね。裏街道とかも使わないんですよ。強いと思ったら力を信じてチューリップ賞を使うし。そこでダメだったら、GIに行っても勝負にならないって。ジョッキーには、「(レースでは)外回れ」って言いますしね。

安里 そうそう。それで負けたら仕方ないって。逆に、前に行ったら勝っても不機嫌…なんて話を聞いたことがあります。

赤見 えっ!?

森田 基本はハープスターの競馬が一番なんですよね。

吉田 だから、阪神JFの時はちょっと納得できなかったわけですよね。まぁ、あれは浜中騎手(グランシェリー)に終始マークされて、外に出せなかったんでしょうけど。だから、桜花賞は外枠がいいんじゃないですか。内に入るとマークがきつくなるかもしれないですし。

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▲吉田「桜花賞は外枠。内に入るとマークがきつくなる」


赤見 やっぱり不安があるとしたら、そのあたりですかね。

安里 展開ですね。マークされる立場ですし、阪神JFの時のような負け方くらいでしょう。

吉田 そうでしょうね。今の阪神はスピードでビュッと行けるような馬場ではないので、恐らくそんなに死角はないんですけど。あとは、枠順と展開と、マークされる度合いかなと思います。(後半へつづく)


■トラックマンたちがこっそり教える現場マル秘情報
『馬サブロー取材班のつぶやき』水曜版
『馬サブロー取材班のつぶやき』木曜版
『馬サブロー取材班のつぶやき』金曜版

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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