【2歳】
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トーセンアスリート(牡 美浦・上原博之 父フレンチデピュティ、母エスペラーダ)
母エスペラーダは未勝利馬だが、半弟にエイシンオスマン(11年ニュージーランドT-GII)がいるように質は悪くなく、Mr.Prospector 2×4、Halo 4×4、Northern Dancer 4×5・5という絵に描いたような父母相似配合となっているので繁殖牝馬として面白味がある。父フレンチデピュティはレジネッタ(08年桜花賞-GI)、ピンクカメオ(07年NHKマイルC-GI)、エイシンデピュティ(08年宝塚記念-GI)をはじめ多くの活躍馬を送り出してきた実績がある。母方にHalo、Mr.Prospectorを併せ持つパターンはカラダレジェンド(13年京王杯2歳S-GII)、ライラプス(05年クイーンC-GIII)などと同じ。仕上がりの早い軽快なスピードタイプとなりそうだ。
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トーセンジャズ(牡 美浦・奥平雅士 父ハーツクライ、母スリリングヴィクトリー)
ダート戦ばかり3勝したトーセンセカイオー(父キングカメハメハ)の半弟。母スリリングヴィクトリーはラブレアS(米G1・ダ7f)で3着という成績があるまずまずの競走馬だった。母の配合で目に付くのはSeattle Slew 2×4。ハーツクライ産駒はSeattle Slewと相性が良く、カポーティスター(13年日経新春杯-GII)、アドマイヤラクティ(13年ダイヤモンドS-GIII)、カレンミロティック(13年金鯱賞-GII)、マジェスティハーツ(13年神戸新聞杯-GII・2着)、ダイワズーム(13年中山牝馬S-GIII・5着)など、少ないサンプルから多くの活躍馬が出ている。本馬はSeattle SlewのほかにSecretariat、Vice Regent、Mr.Prospectorを併せ持っているので、マジェスティハーツと配合構成がよく似ている。芝・ダート兼用の中距離タイプ。
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ナムラビッグマン(牡 栗東・目野哲也 父サクラバクシンオー、母ナムラローマン)
父サクラバクシンオーは2011年4月30日に死亡。この年は92頭の種付けをこなしていたので、現2歳世代がラストクロップとなる。血統登録頭数は35頭。このなかにも活躍馬は潜んでいるはずだ。母ナムラローマンは未勝利馬だが、ファンタジーS(GIII)で3着と健闘したリヴァプールの全姉にあたる。2代母マークプロミスは報知杯4歳牝馬特別(GII)4着馬。「サクラバクシンオー×ダンスインザダーク」の組み合わせはウインドジャズ(OP)、ダイワナイト(準OP)、ディアブラーダ(準OP)、アグネスウイッシュ(準OP)など、大物こそいないもののコンスタントに走る馬を出している。折手牧場が誇る名門イコマエイカン系(アグネスレディー−アグネスフローラ−アグネスタキオンと3代連続G1馬が誕生)の末裔でもあるので注目したい。
【3歳】
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アルティマプリンス(牡 栗東・安田隆行 父キングカメハメハ、母アルティマトゥーレ)
母アルティマトゥーレはセントウルS(GII)とシルクロードS(GIII)を制したスピード馬で、キャプテントゥーレ(08年皐月賞-GI)の4分の3姉にあたる。2代母エアトゥーレは阪神牝馬S(GII)を勝ち、フランス遠征ではモーリスドゲスト賞(仏G1)で2着と健闘。3代母スキーパラダイスはムーランドロンシャン賞(仏G1)、京王杯SC(GII)の勝ち馬。日本を代表する名牝系のひとつといっていいだろう。スキーパラダイスのファミリーとキングカメハメハの組み合わせは成功しており、ゴールデンチケット(09年兵庫チャンピオンシップ-Jpn2、09年毎日杯-GIII・2着)とロワジャルダン(14年伏竜S-OP・2着)の兄弟が出ている。母アルティマトゥーレの特徴から考えると本馬は芝向きで、安田隆行厩舎なので短距離馬となる可能性が高いのではないか。仕上がりは遅れたもののデビューを果たせばポンポンと勝ち上がっていきそうだ。
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ステイインシアトル(牡 栗東・池江泰寿 父ステイゴールド、母シアトルサンセット)
母シアトルサンセットは名種牡馬A.P.Indyの全妹を母に持つ良血馬で、初子のフサイチレオン(父Gone West)は04年のセレクトセールにて2億8000万円(税抜)の高値で落札された。本馬の父はステイゴールド。母方にA.P.Indyを持つステイゴールド産駒にはサンライズブレット(OP)がおり、この配合の連対率は28.1%と優秀。アメリカ血統が強く、パワーを感じさせる配合だけに牡馬に出たのは好感が持てる。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。