
▲『馬サブロー×netkeiba.com』コラボ、今週は皐月賞編
今週は、先週の桜花賞に続き、『馬サブロー×netkeiba.com 2014年クラシック展望座談会』の皐月賞編をお届けします。桜花賞展望では、参加した3名のトラックマン全員が、もちろんハープスターを本命推し。さらには吉田記者が、2着にレッドリヴェール、3着候補にヌーヴォレコルトを挙げて見事的中。圧倒的主軸のいた桜花賞から一変、有力馬が多数割拠している難解な皐月賞。はたして、ベテラン記者たちはどんな判断を下すのか。“激論・皐月賞”スタートです。(参加メンバー:競馬専門紙『馬サブロー』から吉田順一記者、安里真一記者、森田真司記者、司会は赤見千尋さん)
◆3番手評価から一気に主役へ赤見 桜花賞に続いて皐月賞ですけれども、牡馬戦線はどんな印象ですか?
吉田 抜けた馬はいないですが、上位にはそれなりのメンバーがいるのかなという感じですね。
赤見 その中でも、池江泰寿厩舎にトゥザワールドとトーセンスターダムという注目の2頭がいますが、厩舎担当の安里さんはこの2頭をどう見ていらっしゃいますか?
安里 取材をしていて感じるのは、今回の皐月賞に限れば、トゥザの完成度がトーセンを上回っているかなと。トーセンは成長度という点でもう少し先の馬のような気がしますね。池江調教師も「ダービーの頃になったらトーセンの状態もかなり良くなってくるはず」と言っています。競馬を見ていても、トゥザの方が器用かなと思いますよね。
赤見 前走の弥生賞は、自分から動いて行きましたね。
吉田 時計が遅いって言われていますけど、1000m通過から11秒台で行っていますからね。そう考えると、レース全体の時計は関係ない。
安里 着差以上に強い内容でしたね。
森田 逆にトーセンには、あの手の競馬は出来ないですもんね。そう考えると、明らかにダービー向きでしょう。
吉田 トーセンは、シカのような馬体ですからね。胴長脚長ですらっとして、トモもこじんまりしていて全然パンとしていない。腰も甘いですしね。だから、レースでもスピードが上がるところで動けないんですよ。多分、皐月賞の舞台は合わないでしょうね。でも、厩舎の評価は、最初はサトノアラジンとかトーセンの方がトゥザより高かったんでしょう?
安里 そう。トゥザはまだ全然目覚めてない感じでしたからね。それが、一戦ごとにスイッチが入ってきて、どんどん競馬を覚えて行って。あれはすごいなって思いますね。
赤見 本当にいい血統ですけど、同じ血統の中でも今の完成度が高いですね。
安里 たしかに、この血統って全部遅いのに、この馬は完成度が高い。
吉田 腰の甘さは、兄弟の中ではマシな方だなと思っているんですけどね。中山は走ると思いますよ。今の馬場も合うでしょう。だから多分、崩れないと思うんですよ。
安里 皐月賞と同じ舞台、今の中山の馬場を経験したのは強みだし、一番欠点が少ないでしょうね。
◆トゥザの死角とバンドワゴンの不安赤見 トゥザワールドの評価は、皆さん高いですね。
森田 一番死角が少ないという意味でトゥザかなと。
吉田 そうですね。ただ、ちょっと器用貧乏な感じもするんですよね。
安里 3着までには来るっていう連軸的な本命としては間違いないでしょう。
赤見 上位には来るけど、もしかしたら何かにやられるかもしれない?
吉田 コース取り、仕掛けどころによっては、2着3着もあるかなという感じはしますよね。
安里 弥生賞に関して言えば、川田騎手は「どう乗っても勝てる」と思っていたのでは。それが、ワンアンドオンリーが思っている以上に強かった。一発が怖い横山典騎手ですからね。ただ、あれでまた次の皐月賞はもっと慎重に。
吉田 タイミングいい仕掛けを心掛けるでしょうね。
安里 だから、バンドワゴンは目が離せないと。
吉田 そうなんです。新馬戦で6馬身やられていますしね。僕は、馬券の本命はバンドワゴンにすると思います。あの馬場は絶対に合いますもん。
でも、あの馬って危ないんですよね。立ったつなぎをしていますから、硬い馬場だと。「気性で2か月ごとのローテーション」って言っていますけど、多分僕は、脚元もあると思うんですよ。それできさらぎ賞、皐月賞、ダービーだとすると、その中でも一番チャンスがあるのは皐月賞でしょう。
(その後バンドワゴンは、1週前追い切り後に脚部不安で回避を発表)

▲吉田「バンドワゴンはこんなに立ったつなぎなんです」
◆スプリングS勝ち馬ロサギガンティアの取捨森田 僕も現時点で本命はトゥザワールド。ロサギガンティアが次もM.デムーロ騎手ならそうしたんですけど…。
安里 ミルコだったら、僕も間違いなく本命対抗ですね。ミルコのGIでの勝負強さは魅力ですから。やっぱり、ジョッキーって大きいと思うんです。昔、乗馬をかじっていたんですけど、僕が跨いだときと上手な人が跨いだときでは、馬のハミのとり方から歩いている姿勢が全然違うんですよね。素人とプロとを比べるのは間違っているけど、何センチという差が勝負を決する世界だから、その微妙な差が大きいと思うんです。
赤見 そうなんですよ。馬って、跨った瞬間に人を見るんですよ。
安里 ホント、跨がった瞬間ですもんね。ミルコが跨ったときは、馬が「今日は気が抜けないな。120%でいかないと」って思うわけですよね。たぶん。
森田 しかも、中山のデムーロ騎手は1.5倍ぐらいすごいですから。
吉田 スプリングSのデムーロ騎手は、たしかに上手い。ペースが落ちるところで無理なく上がれて、そこで脚が溜まっているという。ただ、馬的には迫力はないですよ。頭が高くて、ピリッとした脚もなさそうな感じ。まぁ、今年の中山なら瞬発力は要らないと思いますけどね。
安里 その前の東京の500万下では瞬発力ありましたよ。
吉田 その時は。でも、スプリングSの競馬だと、そんな感じには見えないんですよね。やっぱり東京にしても新潟にしても、多少上がりが速いのは当然で。
安里 東京や新潟って、スタートして1ハロンでみんな引っ張っているじゃないですか。最後の直線が長いからでしょうけど、1ハロン目からそれでは、どうも競馬がつまらないですよね。
吉田 関東馬が関西に来た時のラップも、前半が遅いんですよ。37秒でハナに行っているとか。関西ではそんなのあり得ないことですからね。だから、シビアな流れになったらボロが出るんだろうなとは思いますけどね。(後半へつづく)
■参加メンバー“調教・パドック馬体診断マニア”吉田順一記者
(調教班:栗東坂路、3歳本紙担当)“徹底的トレセン現場主義!”安里真一記者
(厩舎班:池江泰寿厩舎ほか担当)“ラジオでリスナーに競馬愛を”森田真司記者
(厩舎班:松田博資厩舎ほか担当)■トラックマンたちがこっそり教える現場マル秘情報
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