◆実力馬が揃う皐月賞は“しんどい”メンバー ハープスターとトゥザワールドという、まったくベクトルの違う素質馬2頭を、見事、春の大舞台に導いた川田。トゥザワールドにとって、初めて重賞級との手合せとなった弥生賞も、「大きな収穫のあったレースでしたね」と振り返る。
「前に行く競馬、控える競馬はそこまで試してきたので、弥生賞では、あのメンバーを相手にどういう競馬ができるのかを試してみたかったんです。僕が少々余計なことをしすぎたので、結果的に最後は苦しい競馬になってしまいましたが」 7枠から好スタートを切ると、中団の外目をゆったりと追走。が、ペースが遅いと見るやいなや、向正面で自ら動き、前のペースを上げにいった。驚くべきはその後。内にいた馬たちをひとしきり行かせると、自分は再度、いったん控える形に。そこから抜群の手応えで4コーナーを迎えるわけだが、道中の一連の動きは、まさに鞍上の意のまま。中団から好位にいながら、レース全体のペースを操ったといっても過言ではない。
「外枠でしたし、このままじゃ外々を回ることになるので、もうちょっと前に流れてほしいなと。4コーナー手前で戸崎さん(3着アデイインザライフ)の手応えが良くて、相手がどれだけ走るかわからなかったので、あえて横に付けたりとか。そんな感じで、道中いろんなことをしながら終始外を回ってきたので、最後に苦しくなったのも当然ですよね。新馬以外では初めて目一杯走りましたが、ひとついえるのは、自分の競馬に徹したわけではないということ。それでいて勝ってくれたわけですから、改めて大した馬だなと思いました」「本当は、もう少し楽に勝てると思っていたんですけどね」と、言葉を続けた川田。最後は外を猛然と伸びてきたワンアンドオンリーとの首の上げ下げ。実に際どい決着となった。
「ワンアンドオンリーは、僕が思った以上に