来季の欧州における重賞競走施行の基本方針を決定するヨーロピアン・パターン・コミッティーが10月21日に開催され、古馬牝馬戦線に新たなG1が少なくとも5レース誕生することが明らかになった。
詳細については各国の競馬主催者から個別に発表があるため、まだ全貌は明らかになっていないが、これまでのところ、アイルランドのカラ競馬場で愛ダービー前日に行われる10ハロン戦プリティポリーS、同じくアイルランドのレパーズタウン競馬場で愛チャンピオンSと同日に行われる8ハロン戦メイトロンS、8月上旬にフランスのドーヴィルで行われる8ハロン戦アスタルテ賞が、それぞれG2からG1に昇格。また、9月半ばにフランスのロンシャンで行われるG1ヴェルメイユ賞が、これまでの3歳限定から古馬にも開放されることがわかっている。
これまでも欧州では相応な数の重賞が牝馬限定として行われ、牝馬にも活躍の場が与えられてきたのだが、北米に比べると少なかった事は確かだった。その結果、春の3歳クラシックを終えたトップ牝馬が北米に移籍。現役生活の後半をアメリカで送るケースが少なからず見られていた。更に今季は、英オークス馬カジュアルルック、仏1000ギニー馬ミュージカルチャイムス、愛1000ギニー3着馬ディミトローヴァらが、所属は欧州のままながら北米で連続して出走するなど、トップ牝馬の北米流出が問題となっていたのである。
そこで、牝馬路線を北米並みに充実させるべく、重賞格付けの見直しが行われたもので、G1以外にも、新たなG2が5レース、新たなG3が10レース前後誕生することになったものだ。また、詳しい競走条件は未定ながら、5月下旬にフランスで距離10ハロンの牝馬限定戦が新設されるなど、欧州各国が協調して、8ハロンから12ハロン路線のトップ牝馬が少なくとも月に1度は目標とするレースがあるよう、日程が再編成されることになった。
なおヨーロピアン・パターン・コミッティーでは、今回の牝馬路線強化案を2年計画と位置づけており、2005年には更なる牝馬重賞のアップグレードがある模様。いずれにしても、イギリスを初めとした未発表国の詳細を、楽しみに待ちたいと思う。