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【トレセンお仕事ガイド】専門紙記者の1日に完全密着〜厩舎取材の舞台裏(1)

  • 2014年04月21日(月) 12時00分
おじゃ馬します!
今週も競馬専門紙『馬サブロー』とのコラボ企画。週末に私たちが手にしている競馬新聞。どうやって作られているのか、ご存じですか。その知られざる世界をひも解くべく、赤見千尋さんがトラックマンに1日完全密着。登場してもらうのは、先週の座談会に引き続き、池江泰寿厩舎などを担当する入社18年目のベテラン、栗東・厩舎班の安里真一記者です。3月26日、GI週の追い切り日、最も多忙な水曜の仕事を、体当たりでお届けします!


■6:30 栗東トレセン集合

赤見 座談会に引き続き、お世話になります。トラックマンさんに1日密着できる機会なんてなかなかないので、楽しみにしてきました!

安里 少しでもこの仕事を知ってもらえたらうれしいです。よろしくお願いします。

―追い切り日のためたくさんの馬が姿を見せますが、この日はあいにくの大雨。しかし、馬が驚いてしまうので、トレセンの中では傘はさせません。レインコートと長靴の完全防備でいざ!

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赤見 安里さんは「厩舎班」ということですが、トラックマンには「厩舎班」と「調教班」の2種類があるんですよね。

安里 「調教班」は「時計班」とも言いまして、その名の通り、調教タイムを取る仕事です。その中でも「坂路担当」「ウッドコース担当」などコースによって細かく分かれます。僕のいる「厩舎班」は「想定班」とも言うのですが、「想定表」を作るための情報と、その週の出走馬の状態や自信度など新聞に載せる情報を得るために、担当厩舎を決めて、厩舎取材を行います。これが基本的な仕事ですね。

赤見 想定って、正式な出走馬は木曜の出馬投票で確定しますが、それより前の段階で各新聞社さんが「想定表」を作るんですよね?

安里 そうです。「想定表」というのは、その週にどの馬がどのレースに出る予定かを、全レース分載せた表になります。たいていが水曜のお昼には完成させていますね。想定表を作成しておくと、僕らとしてはその週のレースを事前に頭に入れることができますし、編集的には紙面の割り振りも早めに考えられます。

出来上がったら、午後の取材で厩舎にも配ったりします。厩舎としては、管理馬が出るレースのメンバーを把握できたり、メンバーが強ければ手薄なレースに回ったり、除外になりそうなら別のレースに回るとか、木曜の投票前にいろいろと動けるわけですね。いろいろな活用ができるんです。

■7:00 調教馬場が開門

赤見 今日は、7:00が開門時間ですね。

安里 はい。開門時間は季節によって変わります。4月の中旬からは6:00に、夏場は5:00に早まります。美浦の方が数週間早く時間が変わるみたいですね。

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▲坂路の調教の様子をモニターでチェック


赤見 担当厩舎は1人どのくらいなんですか?

安里 我が社の場合は、だいたい14〜15厩舎です。僕は池江泰寿厩舎、西園正都厩舎など14厩舎を担当しています。ただ、担当の全厩舎を1日で取材するわけではありません。調教師によってそれぞれ都合のいいタイミングがありますからね。こちらも全厩舎を1日では回りきれませんから、木曜に取材する厩舎もあります。

赤見 そういうルールが出来ているんですね。

安里 そうなんです。だいたいは追い切り日の水曜に取材する厩舎がほとんどなので、うまくいけば今日は10厩舎回ろうと思っています。

赤見 10厩舎!? 安里さん1人で回るんですか?

安里 馬サブローからは1人ですけど、新聞社毎に厩舎担当がいますので、決まった時間、決まった場所に集まって、囲み取材をします。追い切りの合間の忙しい中、関係者の方に何度も同じコメントをしてもらうのは申し訳ないですし、最近はこのパターンが増えましたね。聞き足りないとか、もっと深い話を…なんて場合は、個人的に別のタイミングでアタックします。今日だと、午前中に西園調教師や五十嵐調教師などの取材をして、午後に池江厩舎や藤岡厩舎を回ります。あ、そろそろ高橋亮調教師と西園調教師の取材時間ですよ。行きましょう。

―午前中は、大小ふたつある調教スタンド(他にも、離れたところに坂路のスタンドもあります)で、調教師たちが管理馬の調教の様子をチェックしています。どちらのスタンドのどこに何時に集まるのか、それも予め決めてあるそうです。

■7:15 高橋亮調教師の取材

■7:50 西園正都調教師の取材

安里 西園厩舎は高松宮記念に3頭出しの予定ですから、記者の数も多いですね。

―各社の記者にまじって、赤見千尋さんも質問。

 赤見『エーシントップは、メンコをはずしたら暴走してしまうくらいの闘争心なんですか?』

 西園『あの馬はすごいんですよ。2歳のデビューの時から、坂路でいきなり50秒くらいの時計が出ました。トレーニングセールの出身ではないんだけど、最初からそれくらい走りましたね。それで、デビュー当初から強すぎる気持ちを抑える調教をしてきたんですけど、逆に乗り手の言うことを聞いてしまうようになって。調教を変えたので、高松宮記念ではそれがどう出るかですね』

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▲赤見さんの質問に丁寧に答えてくださる西園師


■8:10 五十嵐忠男調教師の取材

■8:25 千田輝彦調教師の取材

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▲50mほど離れた調教スタンド間を行ったり来たり


―次の取材まで少し時間があるので、騎手や調教師、記者仲間たちと談笑。とはいえ、これも大事な情報収集の場。有益な情報を求めて、取材はつづきます。

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騎乗仲介者をしている藤岡康太騎手と


■9:25 服部利之調教師の取材

■9:50 五十嵐忠男調教師に追加取材

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▲五十嵐調教師とモニターを見ながら


■10:30 午前中のラスト取材、スタッフとも仲良しの田所秀孝厩舎へ

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▲田所厩舎で田所調教師やスタッフと談笑


―6厩舎分の取材を終えて、午前中の取材が終了。この後は、会社に行ってデスクワークです。

■11:20 会社へ到着、想定の入力

安里 お疲れ様でした。今度は朝話した「想定表」の作成作業です。まずは、自分の担当厩舎の情報をどんどん入力していきます。

赤見 ふむふむ。

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▲馬サブロー栗東支社、水曜は皆さん大忙し


■12:10 想定の入力終了

安里 全スタッフが入力を終えると、結果的に全厩舎の情報がそろったことになります。全員のを集めると、300〜400頭分になると思います。我が社では毎週1人想定表を作る担当が決まっていまして、その担当が情報をひとつにまとめて1枚の想定表として完成させます。関東遠征馬の情報は、美浦支局に送りますね。

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▲完成した「想定表」


(後半へつづく)


■トラックマンたちがこっそり教える現場マル秘情報
『馬サブロー取材班のつぶやき』水曜版
『馬サブロー取材班のつぶやき』木曜版
『馬サブロー取材班のつぶやき』金曜版

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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