【2歳】
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アールブリュット(牝 美浦・戸田博文 父Makfi、母イグジビットワン)
父Makfiは英2000ギニー(G1)、ジャックルマロワ賞(仏G1)を勝った名マイラーで、とくに後者では女傑Goldikovaに2馬身半の差をつけて完勝した。名種牡馬Oasis Dreamや今年の英2000ギニー最有力候補のKingmanに配合構成が似ており、種牡馬としても期待できる。現2歳世代が初年度産駒。母イグジビットワンは「Sivler Hawk×Sadler's Wells」という血統どおりのスタミナ型で、芝2000mと2400mの伊G3を勝った。本馬は「マイラー×ステイヤー」なので芝中距離型だろう。2代父Dubawiの産駒は日本に4頭輸入され、1頭は未出走、2頭は未勝利馬。残る1頭フレデフォートは芝スプリント路線でOP入りを果たしている。日本の芝にも適性はありそうだ。本馬の兄2頭は未勝利馬(父はKingmamboとSea the Stars)。走るかどうかは父Makfiの能力次第だろう。
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エクシードリミッツ(牝 栗東・須貝尚介 父Exceed And Excel、母Welsh Diva)
父Exceed and Excelはオーストラリア産馬。ドバイレーシングクラブC(豪G1・芝1400m)、ニューマーケットH(豪G1・芝1200m)を含めて12戦7勝という競走成績は、レベルの高いオーストラリアの芝短距離路線で挙げたものだけに優秀。種牡馬としても12-13年に豪リーディングサイアーに輝いた。25戦全勝の女傑Black Caviarの初年度の交配相手、ということからもその大物ぶりが分かる。JRAでは過去4頭の産駒が走り、3頭は未勝利だが、エクセルシオールは芝・ダート兼用の短距離馬としてOP入りを果たした。母Welsh Divaはセルジオクマーニ賞(伊G3・芝1600m)の勝ち馬。母の父Selkirkはクイーンエリザベス2世S(英G1・芝8f)を勝ったマイラー。本馬は「スプリンター×マイラー」という配合でDanzig 3×4。力強いスプリンターでダートもこなせそうだ。
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トーセンバジル(牡 栗東・藤原英昭 父ハービンジャー、母ケアレスウィスパー)
2012年のセレクトセール当歳せりにおいて1億3500万円(税抜)で落札された高馬。母ケアレスウィスパーは関東オークス(GII)2着馬で、追い込みを武器にダート1700m以上で良績を残した。セールスポイントはその良血。トーセンジョーダン(11年天皇賞・秋-GIなど重賞4勝)、トーセンホマレボシ(12年京都新聞杯-GII、12年日本ダービー-GI・3着)、ダークメッセージ(08年日経新春杯-GII・2着)を兄弟に持ち、近親にはカンパニー、バトルバニヤン、トーセンスターダム、ニューベリー、レニングラード、スパイキュール、ヒストリカルなど活躍馬多数。父ハービンジャーは4歳夏のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)で後続に11馬身差をつけるコースレコードで圧勝。タイムフォームのレーティングでは破格の140ポンドを与えられた。名馬であることに疑いはない。しかし、その一方で晩成型のステイヤーであり、血統的にスピードが乏しいのも事実。種牡馬として成功しづらい特徴を備えている。こうした弱点を補って走る子を出すには、早熟傾向のあるスピード血脈を抱えた繁殖牝馬と交配したいところ。母ケアレスウィスパーがダート向きの中距離馬、という点はやはり気になる。また、クラフティワイフの一族は完成の早さが売りというわけでもない。ただ、すでに栗東に入厩しており、6月デビューを目指しているとのことなので、仕上がりの早さに関しては案外問題ないタイプなのかもしれない。あとは素軽いスピードに対応できるかどうか。高速芝よりもパワーを必要とする洋芝に向くタイプだろう。
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ナムラマミー(牝 栗東・目野哲也 父ディープインパクト、母ナムラミーティア)
母ナムラミーティアは現役時代、2歳夏の函館競馬でデビューし、新馬戦こそ2着に敗れたものの、未勝利戦とラベンダー賞を連勝。函館2歳S(GIII)でも2着と健闘した。母方にKnown Factを持つサクラバクシンオー産駒は成功しており、ナムラミーティアのほかにマルブツイースター(07年小倉2歳S-GIII)、ナムラビッグタイム(04年ニュージーランドT-GII・3着)などが出ている。とくに2歳戦の芝では連対率59.3%(27戦16連対)と驚異的な成績を残している。「ディープインパクト×サクラバクシンオー」はアデイインザライフ(14年弥生賞-GII・3着、14年京成杯-GIII・3着)と同じ。父ディープインパクトは基本的にスプリント血統と相性が良く、母が持つNorthern Dancer≒Freeze the Secret 4×4・4も好ましい。アデイインザライフも母にNorthern Dancer 4×4・5というクロスがあった。母ナムラミーティアの早熟性とスピードがモノを言い、2歳戦の早い時期から活躍できそうだ。
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フレンドマキシマム(牝 美浦・岩戸孝樹 父スズカマンボ、母メジロアダーラ)
父スズカマンボは名牝メイショウマンボの父として一躍脚光を浴びる存在となったが、現役時代に天皇賞・春(G1)を勝ったスタミナタイプだったように、スピード面に不安のあるタイプ。成績的にはダートの中長距離が最も安定している。メイショウマンボの母方にはMr.Prospector系のジェイドロバリーが入ってスピード面の強化が図られていた。本馬の母メジロアダーラは2歳時にカンナS(OP)を逃げ切った早熟のスピード馬で、2代母メジロダーリングはアイビスサマーダッシュ(GIII)の優勝馬。スピード面のサポートがあるのでおもしろい。