ターフを悠々と駆け抜ける、強いゴールドシップが帰ってきた。「理想的なレースでした」、そううれしそうに振り返った指揮官・須貝尚介調教師。思えば、昨年の宝塚記念を勝って以降、苦しい状況が続いたゴールドシップ。特にジャパンCでは初の二桁着順。そこで陣営は、苦しい決断を迫られることになる。数々のタイトルを共にしてきた主戦の交代。もう一度シップを王者にするために…、陣営の苦悩と新たな可能性への希望に迫った。(取材・文:井内利彰) ※文末にプレゼント有
◆シップの性格を考え『変化』をつけたい 昨秋、屈辱的なジャパンC15着から、有馬記念3着という着順の上昇は「復活」という言葉を使ってよいものかどうか、悩ましいところだった。しかし、前走の阪神大賞典は早目の競馬で、2着アドマイヤラクティ以下を封じ込めた強いレース内容。これには、心のモヤモヤが晴れたゴールドシップファンも多かったのではないだろうか。須貝調教師に、その阪神大賞典をあらためて振り返ってもらった。
「僕自身、すごく緊張したレースでした。有馬記念の結果が本物かどうか、このレースで負けてしまうと『やっぱり終わったか』と思われても仕方ありません。そんな結果にならないためにも、馬をつくってきました。また、天皇賞・春に向けても落とすことができないレースだと思っていたので、勝ってくれて、正直、ほっとしています。
レース内容は、さすが百戦錬磨の岩田(康誠)騎手。スタートから出して、好位につけることができましたから。少し行きたがるようなところを見せていましたが、それでも最後は楽に押し切ってしまうだから、阪神大賞典は今後に繋がる『理想的なレース』だったと思います」
▲須貝「阪神大賞典は今後に繋がる理想的なレースでした」
初めての騎乗にして、ゴールドシップのベストパフォーマンスを発揮した岩田康誠騎手。今回、そのジョッキーが騎乗できないことはマイナスにはならないのだろうか?
「岩田君が乗れないことは残念ですが、ゴールドシップは慣れてしまうと、人をなめてしまうようなところがある馬。そんな性格を考えると『変化』をつけるという意味で、今回の乗り替わりはメリットが大きいと思っています。また、