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父仔でダービー+天皇賞制覇なるか!?

  • 2014年05月03日(土) 12時00分


◆伝統あるレースにふさわしい好メンバー

 4日は天皇賞(春)。連覇を目指すフェノーメノ、今年の阪神大賞典を制したゴールドシップ、日経賞に勝ったウインバリアシオン、大阪杯を快勝したキズナがそろって出走します。他にも、中山金杯、京都記念、ダイヤモンドS、小倉大賞典、大阪―ハンブルクCの勝ち馬が勢揃いして、1〜4月の古馬主要競走を締めくくるレースになりました。

「3200m戦は時代遅れ」と言われるようになったせいか、時々「?」が付くメンバー構成になることがありますが、今年は違います。でも、古くから続く伝統のG1レースですから、このくらいのメンバーが当たり前に揃うようじゃないといけませんよね。

 記録的な興味から言うと、キズナが勝つかどうかが一番の注目点です。もし勝てば、父ディープインパクトとの父仔制覇が達成されます。父仔によるダービー+天皇賞(春)制覇は史上空前の快挙。あるようでなかったことを目の当たりにできるでしょうか?

 あらためて調べてみると、ダービーと天皇賞(春)を制した馬は、1949年ミハルオー、69年タケホープ、81年カツラノハイセイコ、85年シンボリルドルフ、97年スペシャルウィーク、2006年ディープインパクト、07年メイショウサムソンの7頭しかいませんでした(年号は天皇賞優勝時)。菊花賞+天皇賞(春)制覇は15頭が達成していますから、その数半分未満。“父仔2冠制覇”がなかったのもうなづけるでしょう。

 一方、ダービーを制したものの、天皇賞(春)に出走して勝てなかった馬は15頭います(出走を取り消したコダマ=1961年を除く)。主なところでは、ミスターシービー、ナリタブライアン、オルフェーヴルの3冠馬3頭に、トウカイテイオー、ジャングルポケット、エイシンフラッシュなどなど。80年のダービー馬オペックホースに至っては、81〜83年に3年連続で天皇賞(春)に挑戦して12、7、8着とまったく勝負になりませんでした。もっとも同馬は、ダービーの後32戦もしたのに一度も勝てなかったのですが…。

 ちなみに、天皇賞(春)の父仔制覇は過去2組。1948年シーマー→55年タカオーと、2002年マンハッタンカフェ→11年ヒルノダムールだけです。1970年メジロアサマ→82年メジロティターン→91、92年メジロマックイーンの天皇賞父仔孫3代制覇は有名ですが、メジロアサマとメジロティターンが勝ったのは、まだ3200メートルで行われていた頃の天皇賞(秋)でした。それからすると、ダービーと春+秋の天皇賞に勝ち、種牡馬となってから天皇賞(秋)の勝ち馬ブエナビスタを輩出したスペシャルウィークって、つくづくスゴイ馬だと思いませんか?

 えっ、「ディープインパクトはもっとスゴイ」って?そう、だからこそ今回はキズナが注目なんです。でも、他の馬はどうでもいい、って言っているわけじゃないですよ。とにかくいいレースを期待しましょう!

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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