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アルバートドック(牡 栗東・松田博資 父ディープインパクト、母ゴールデンドックエー)
G1サラブレッドクラブで募集価格6000万円。母ゴールデンドックエーはラスヴァージネスS(米G1・ダ8f)の勝ち馬。母の父アンユージュアルヒートは北欧の歴史的女傑Rossardの息子で、米G3で2着となった程度の競走馬だったが、種牡馬となって大方の予想を上回る成功を収めている。2代母ペンポントはニュージーランド産馬。牝系は19世紀から同国で育まれた独特のものだ。母がダートG1の勝ち馬とはいえ、母の父も牝系も基本的には芝向きなので、芝適性に関しては問題ない。非主流血脈の塊なので過去の例に当てはめることは難しいものの、Unusual Heatの父Nureyevは基本的に父との相性は悪くなく、それ以外の部分にも問題のある血は入っていない。芝中距離向きの良駒となりそう。
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キングカヌヌ(牡 栗東・石坂正 父キングカメハメハ、母スターダムバウンド)
サンデーサラブレッドクラブで募集価格8000万円。母スターダムバウンドは米2歳牝馬チャンピオンに輝いた名牝でG1を5勝した。母の父Tapitはテスタマッタ(フェブラリーS)の父でダート向き。今年の米種牡馬ランキングでトップを快走し、種付料15万ドルは全米ナンバーワンという名種牡馬だ。本馬の父キングカメハメハは芝・ダート兼用で、ダート向きの繁殖牝馬との交配で牡馬が生まれれば素直にダート向きに出るタイプ。なおかつ、本馬は父の配合パターンのなかでダート向きに出やすいMr.Prospectorのクロスを3×5・6で抱えている。ローカルや小回りコースの2歳戦なら芝で走れないこともないが、本領を発揮するのはダート1600~1800m。兵庫チャンピオンシップからユニコーンSが目標となる。
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グランシルク(牡 美浦・戸田博文 父ステイゴールド、母ルシルク)
シルクホースクラブで募集価格4000万円。ブレイクランアウトの甥で、フェノーメノの父でもあるステイゴールドの子、ということで戸田厩舎にゆかりの深い血統。母の父Dynaformerはブライアンズタイムに配合構成が酷似したRoberto系のスタミナ血統。半兄クロムレック(父Smart Strike)はダート馬だが、本馬は芝でもOKだろう。距離が延びて底力を発揮し、どちらかといえば小回りコース向きでパワーを兼備しているので、皐月賞に出したい馬だ。
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クロイツェル(牡 栗東・須貝尚介 父マンハッタンカフェ、母ファーストバイオリン)
社台サラブレッドクラブで募集価格7000万円。母がアメリカ時代に産んだDominican(父El Corredor)はブルーグラスS(米G1・ダ9f)の勝ち馬。日本で誕生した4分の3兄サウンズオブアース(父ネオユニヴァース)ははなみずき賞(3歳500万下・芝2000m)を勝ちOP入りを果たした。「マンハッタンカフェ×Dixieland Band」はフミノイマージンと同じで、Hoist the Flagのクロスは底力を補強する上で好ましい。大物感あふれる芝中距離馬。
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クローディオ(牡 栗東・石坂正 父ハービンジャー、母シーザリオ)
キャロットクラブで募集価格1億2000万円。父ハービンジャーはキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)を11馬身差で圧勝した名馬だが、晩成型のステイヤーで血統的にはスピードが乏しいという特徴が見受けられる。こうした弱点を補って走る子を出すには、(1)母方にスピード色の強い血を持ってくる。(2)母自身がハイグレードな名繁殖牝馬。このどちらか。本馬は(2)。母の代表産駒エピファネイアは、父シンボリクリスエスのスタンダードな産駒像から大きく逸脱した傑作であり、配合云々以前に母の力が偉大だった。本馬はそれだけでなく、父が持つTom Foolを継続し、Sir Ivor≒Halo 6×4、Sir Gaylord 7×5を持つなど、配合的にも見どころがある。芝2400mがベストのクラシックタイプだろう。
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サブトゥエンティ(牝 栗東・松田国英 父キングカメハメハ、母ライラプス)
社台グループオーナーズで募集価格2600万円。全姉プロクリスは2歳9月に1分34秒5の好タイムで未勝利戦を勝ち上がった。母ライラプスは現役時代にクイーンCを制し、その4分の3弟には朝日杯フューチュリティSを勝ったフサイチリシャールがいる。2代母フサイチエアデールは報知杯4歳牝馬特別など4つの重賞を制した名牝。キングカメハメハ産駒のMr.Prospectorクロスはダート向きに出ることが多いのだが、母も2代母も芝重賞の勝ち馬で2代母の父がサンデーサイレンスであれば、芝適性に問題はない。マイル前後が合う。
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ブレイクエース(牡 美浦・戸田博文 父キングカメハメハ、母キュー)
キャロットクラブで募集価格5000万円。共同通信杯を勝ったブレイクランアウト、東京スポーツ杯2歳Sで5着となったエネアドの半弟。母キューは芝12ハロンのロングアイランドH(G2)の勝ち馬で、Smart Strikeのような配合の合う種牡馬と交配すればブレイクランアウトのような大物を出せる。母が持つMitterand≒Peroxide Princess 2×2を活かし、ブレイクランアウトとアウトラインが似た好配合馬なので面白味がある。芝向きの中距離タイプとして大物感十分。
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フローレスダンサー(牝 栗東・松田博資 父ハービンジャー、母ダンスインザムード)
社台サラブレッドクラブで募集価格4000万円。母ダンスインザムードは桜花賞、ヴィクトリアマイルの勝ち馬で、ダンスパートナー(オークス、エリザベス女王杯)、ダンスインザダーク(菊花賞)の全妹にあたる超良血。初子のダンスファンタジアがフェアリーSを制したほか、4番子のシャドウダンサーは現在3戦2勝でいずれ重賞を勝てるだけの実力を秘めている。父ハービンジャーは欧州芝12ハロン路線で活躍した晩成型のステイヤー。スピード不足と晩成傾向を解消するために母方から足りない要素を補う必要がある。母の父サンデーサイレンスは大きなプラスで、2代母が持つFlaming Page≒Tom Fool 2×4はいかにも父に合いそうな構成。スピードと瞬発力に恵まれていればクラシック戦線で期待できそうだ。
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ポルトドートウィユ(牡 栗東・高野友和 父ディープインパクト、母ポルトフィーノ)
サンデーサラブレッドクラブで募集価格1億2000万円。ひとつ上の全兄は傑作との呼び声もあったが、ボーンシスト(骨に空洞ができる病気)が判明し競走馬になれなかった。「ディープインパクト×クロフネ」は過去6頭出走してすべて勝ち上がり、そのうちメデタシとククイナッツレイが重賞で入着している。悪くない成績だ。ただ、本馬の売りはそこではなく、2代母が年度代表馬に輝いた女傑エアグルーヴであること。アドマイヤグルーヴ、ルーラーシップ、フォゲッタブル、グルヴェイグの甥にあたる良血で、マーメイドSを勝ったグルヴェイグは4分の3同血にあたる。父ディープインパクト、2代母の父がトニービンで、母の父に硬質な血を入れる、という構造はハープスターとよく似ている。エアグルーヴ牝系は完成が遅い傾向が見られるが、クロフネを挟んだ本馬はそうした点も改善されるだろう。クラシックの王道を歩む資格は十分。
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マンハッタンキング(牡 栗東・石坂正 父キングカメハメハ、母マンハッタンフィズ)
社台サラブレッドクラブで募集価格8000万円。母マンハッタンフィズは1勝馬ながらマンハッタンカフェの全妹にあたる良血。繁殖成績は素晴らしく、アプリコットフィズ(10年クイーンC-GIII、10年クイーンS-GIII)、クレスコグランド(11年京都新聞杯-GII)、ダービーフィズ(13年セントライト記念-GII・2着)など、デビューを果たした産駒はすべて2勝以上を挙げている。違う父から活躍馬を出し続けている母の能力は非凡だ。全姉シャンボールフィズは小柄な馬体が災いして500万条件で終わったものの、鋭い瞬発力には見どころがあり、成績以上に能力を感じさせる馬だった。シャンボールと同血(父が同じで母同士が全姉妹)のセレブリティモデルは480kg前後の馬体重で、オープンの忘れな草賞を勝った。牡馬に替わった本馬は、おそらく馬格に恵まれると思われるので、姉のような線の細さはないだろう。重賞級の大物に育つことを期待したい。