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美浦坂路の“進化”が思わぬ穴馬生む/トレセン発秘話

  • 2014年05月08日(木) 18時00分


◆ショウナンラグーンの青葉賞制覇にはこんな解釈も…

 3日の青葉賞は出来過ぎたドラマのような結末だった。勝ったのは来年2月で定年を迎える大久保洋吉調教師の管理馬ショウナンラグーン。つまりクラシックのラストチャンスに、キュウ舎ゆかりの血統馬(5冠牝馬メジロドーベルの孫)が出走権をつかんだ。そのダービー切符、劇的といえばあまりに劇的だ。もしや、人間の熱い気持ちがサラブレッドを奮い立たせた? そんなオカルト的な解釈も十分できそうだが…。

 この劇走、宴会野郎はあくまでドライに捉えたい。背景のひとつは、恐らく長丁場を得意とする“メジロの血”。祖母ドーベルもじっくりタメて直線ズドンのタイプだったが、東京2400メートルという舞台設定が過去にない切れを同馬から引き出したことは想像に難くない。ただ、それと同時に見逃せないのが“生まれ変わった”美浦坂路の効用でないだろうか。

 青葉賞の最終追い切りはウッドチップだった、との指摘はあろう。しかし着目すべきはそれまで坂路一辺倒だった同キュウ舎がなぜ直近にトラック追い切りを選択したかにある。大久保師はこう説明する。

「この1か月、美浦の坂路が随分と重い馬場に変わり、時計ふたつは余計にかかるようになった。つまり馬にかかる負荷もこれまでとは明らかに違うということ。2走前の山吹賞(3着)でラグーンの体重が16キロも減ってしまったのもそのせいだろう。追い切り時計とトレーニング効果をイコールで結びつけにくくなったため、ひとまずウッドで追い切ったんだ」

 以前は時計が出すぎるコースとして批判も出た美浦坂路。しかし春を迎えたころからその様相は一変。4ハロン53秒、しまい1ハロン13秒を切る馬には、めったにお目にかかれなくなった。ただ、それがいわゆる“栗東留学”と同じ効果を生んでいるとすれば…。それまで坂路調教オンリーだったショウナンラグーンの“確変”こそ、遅ればせながら目に見える形で表れた成果かもしれない。

 負担増=地力増。これは現時点では仮説にすぎないが、同キュウ舎に限らず坂路調教専門馬の変わり身を警戒することで、今後思わぬ穴馬券が取れる可能性があるはずだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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