◆「叩き台」を快勝したスマートレイアーの能力
建前上、競馬は出走全馬が勝利を目指すもの。だが、誰もが知っているように、いわゆる「叩き台」など、勝つことを目標にするのではなく、あくまで次のレースのためのステップとして競馬を使うケースも実際には数多くある。そして馬券を買う側もそれを承知で予想を組み立てるものだ。
スマートレイアーの前走、阪神牝馬Sはまさにその一例だった。戦前トレーナーは「初めての距離になるし、あくまで目標は次。1400メートルに合わせた競馬をしてもらう気持ちはない。あくまで本番を見据えたレースをしてもらうつもり」と発言していた。
結果的には出遅れたことで最後方からの競馬になったわけだが、仮にゲートを出ていても「同じような競馬になっていた」という。
もちろん、「あえて忙しい1400メートルを使って次につながるレースをさせた」(友道調教師)というヴィルシーナ(11着)など、あくまで本番を見据えた競馬をしていた馬は他にも何頭かいたにしても…。トライアル仕様の仕上げ&レーススタイルにもかかわらず、目の覚めるような鬼脚を使って快勝してしまったスマートレイアーの能力はやはり相当なものということになる。
佐山キュウ舎時代から的確なコメントで馬券を取らせてもらっているスマートレイアー担当の加藤助手に追い切り後に話を聞けば「バッチリですね。東京輸送で少し体は減るかもしれないけど、大丈夫でしょう」と完璧に仕上がっている様子。今回スマートレイアーが見事GI制覇した暁には、Nトリの格安二色鍋(理由は長くなるので省略)をプレゼントする約束になっているのだが、どうせなら馬券で大儲けして高級ブランド鍋を贈呈したいものだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)