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上がり最速馬の価値

  • 2014年05月20日(火) 12時00分
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◆ハープスターの強みはその強烈な末脚。オークスでの信頼度は…

 ハープスターの強みは、今さら言うまでもなくその強烈な末脚である。デビューから5戦すべて上がり最速、うち2回は32秒台という豪脚だ。

 オークスでも、上がり最速は約束されたところだろう。あとはそれがどのような着順に繋がるかだ。

 上がり最速馬は、なにしろ最も速い上がりタイムをマークしているのだからその多くが馬券に絡む。ただ、前残りの展開では上がり最速をマークしてなお馬券の圏外になることも理屈上ありうる。極端な例ではバンデの新馬戦。道中4番手から上がり最速タイをマークしたが、自分より前にいた2頭に同じ上がりを出され、さらに逃げ馬に粘られて「好位から上がり最速タイで4着」という切ない負け方となった。

 参考として、2013年に行われた全平地競走における上がり最速馬(タイも含む、以下同様)の成績は[1198-710-489-1529]で勝率30.5%、複勝率61.1%。回収率は単276%・複206%。

 最後方からひっそり上がり最速タイを使った人気薄馬や下級条件における弱い相手に対しての先行抜け出しを除外すべく、「3番人気以内・4角8番手以下」のみとすると[190-154-116-233]で勝率27.4%・複勝率66.4%。回収率は単104%・複111%。良い成績ではあるが、けっこう前残りにやられることもあるという印象だ。

 ダート短距離などを含めても意味がないので、オークスと同じ「芝2400m」に限定するとどうなるか。各馬の上がりタイムデータが存在する1990年以降で見ると、4角8番手以下から上がり最速の馬は勝率22.8%・複勝率61.4%。回収率は単197%・202%。3番人気以内に限定すると勝率34.2%・複勝率75.7%。人気馬前提なので回収率は単131%・複119%と落ちるが、勝率、複勝率は2013年の「全平地・3番人気以内・4角8番手以下」よりだいぶ高い。距離が長くなるとスローの前残りが増えそうに思えるが、実際には速い上がりを使えばなんとかなるようだ。

 オークスだけをとると上がり最速馬はさらに勝ち切る度合いを強め[15-7-4-4]。1番人気馬は[5-1-0-0]。こちらを見ても、ハープスターの信頼度はかなり高いと感じられてくる。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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