◆またも襲ったアクシデント、桜花賞目前の熱発「実はエアグルーヴはデビュー前から骨折していて、当時も骨折したまま走っていたんですよ」
にわかには信じられない笹田の告白。聞けば、デビュー戦からオークスまでの6戦は、脚元に潜む“爆弾”との戦いであったという。
「もちろんポッキリと折れていたわけではなく、米粒大の骨が剥がれているという剥離骨折です。それが左の前脚と右の後脚に2か所あったんですが、獣医さんとも散々相談して、今すぐ手術をして取るほどではないし、なにより馬が痛がっていなかったので、しばらくはこのままやっていこうと。実際、レースでも結果を残してくれていましたしね。昔はね、けっこうそういうケースがあったんです。もちろん、馬が痛がっていない、腫れていない、熱を持っていないことが前提ですけどね」

▲衝撃の事実を明かした笹田調教師
真相は知る由もないが、我慢強いエアグルーヴのこと、多少の痛みは表に出さず、グッと耐えていたのかもしれないと思うと胸が痛む。それでも、仕上げる過程で避けられないアクシデントもあった。
「我慢強いエアグルーヴでも、ときどきチクッと痛みが走ったようで、オークスまでに僕は3回、人馬転倒をしたんです。角馬場で軽いキャンターを乗っていて、馬場が硬い引き込み線に入るとカクンと躓くんですよね。そのまま馬と一緒に、前にドーンとひっくり返って。桜花賞を熱発で取り消して、オークスの前にゲート練習をしたときも、ゲートが開いても脚を出さないもんだから、そのまま前にひっくり返りました。やっぱり脚に違和感があって、馬自身が加減していたんでしょうね」
笹田の回顧にあるように、桜花賞は熱発で出走を取り消した。トライアルのチューリップ賞(鞍上はオリビエ・ペリエ)では、2歳女王のビワハイジを5馬身も置き去りにする圧勝を収めただけに、確勝フラグが立っていた一戦だった。
「桜花賞の時期は繁殖シーズンなので牝馬は体調の変化もありますが、エアグルーヴの場合は、