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【2冠をめぐる物語 第二章】“裸足のシンデレラ”の真実〜イソノルーブル Part2

  • 2014年05月23日(金) 22時00分
オークス


◆鞍上の思いとは裏腹だったスタートダッシュ

「行くな」

 鞍上で松永幹夫騎手が祈る。その想いは通じ、イソノルーブルは前走とは打って変わって気分よく駆けていく。競りかけてくる馬もおらず、楽々とハナへ。第52回優駿牝馬、すなわちオークスの道中でのことだ。

 桜花賞での敗戦について、イソノルーブルを蹄鉄なしで走らせた運営サイドへの批判があがり、またイソノルーブル自身にも同情が寄せられた。が、それよりも大きかったのは、桜花賞でイソノルーブルを支持したファンから届く失望の声だった。

 もともと評判が高かったわけではない。小さな牧場の出身で、母は未勝利、父は供用されたばかりでまだ種牡馬として実績のないラシアンルーブルだ。見栄えのしない、ひ弱そうな体型で生まれたイソノルーブルは500万円という安値でJRAに買われ、いまは抽せん馬として走る身だった。JRA育成馬と名前を変え、ひとつのブランドとして認識されつつある現在とは違い、まだ抽せん馬が「走るか走らないかは運次第」と、他の競走馬より一段も二段も低く見られていた時代のことである。

 くわえてイソノルーブルの同期には“牝馬最強世代"と呼ばれるほど

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