【ダービー特別企画】当事者が語るGI制覇の舞台裏〜ジャングルポケット・角田晃一調教師Part4
◆ダービーにまつわる、蛯名正義との秘話
94年、新潟芝1200mでデビューしたフジキセキ。大きく出遅れたものの、道中で懸命ににポジションを上げ、4コーナーでは早くも先頭。そこから直線だけで9馬身も後続をちぎり捨てた。相手が弱い新馬戦とはいえ、舞台はアッという間の1200m戦。とてもじゃないが、並みの馬ができる芸当ではない。
このとき手綱を取ったのは蛯名正義。いまや押しも押されもせぬトップジョッキーである蛯名だが、デビュー8年目のこのときは、まだGIは未勝利。フジキセキの背中は、さぞかし衝撃的だったに違いない。
「ジャングルポケットのダービーのあと、蛯名さんに『フジキセキとジャンポケ、どっちが強い?』って聞かれたんです。フジキセキの背中を知っているのは僕と蛯名さんだけですから、ジャンポケがそれ以上なのかどうか、興味があったんだと思います。僕は迷わず『もちろん、フジキセキです』って答えました。そうしたら蛯名さんが『じゃあ俺もすごい馬に乗ったんだな』って。『蛯名さんにとってフジキセキ以上の馬は?』って聞いたら