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絶好調のハーツクライ産駒

  • 2014年06月06日(金) 12時00分


◆ジャスタウェイで3週連続GI制覇なるか

 これが昨秋まで、GI勝ち馬を1頭も出していなかった種牡馬だろうか。ハーツクライのことである。

 初年度産駒がクラシック戦線に登場したのは、3年前の2011年のこと。ウインバリアシオンが青葉賞を勝ち、日本ダービー、菊花賞でそれぞれ2着に入った。勝ったのは三冠馬に輝いたオルフェーヴル。相手が悪かったと言えばそれまでだが、その後、屈腱炎を発症したこともあり、まだGIの勲章を手にしていない。

 その2011年の秋、キョウワジャンヌが秋華賞で2着に入り、翌2012年の暮れにはレッドセシリアが阪神JFで3着に入った。だが、その後はしりすぼみの状態。GII、GIII戦ではギュスターヴクライ、カポーティスター、カレンミロティックらが続々と勝ち、成功種牡馬の道を順調に歩むハーツクライではあったが、みなGIでは苦戦していた。それがハーツクライ産駒の限界と言われても、仕方のない面があった。

 ジャスタウェイにしても2012年3月のアーリントンCを勝って以降、GIどころかGIIIさえ勝ちあぐんでいた馬だ。ところが、突如として昨秋の天皇賞を勝ち、今春はドバイデューティフリーに遠征し、世界の強豪を相手にレコード勝ちする大変身。それがヌーヴォレコルトのオークス、ワンアンドオンリーの日本ダービーへ制覇と波及していった。

 思えば2005年の有馬記念で、無敗の三冠馬ディープインパクトに初めて土をつけたのがハーツクライだ。自身はこれが初のGI制覇。それだけにこの勝利をフロックとみる声も少なくなかったが、翌年、海外遠征に出向いてその声を完全に打ち消した。ドバイシーマクラシックで4馬身強の差をつけて、鮮やかな逃げ切り勝ち。日本史上初のドバイGI制覇を成し遂げた。

 有馬記念はフロックなんかじゃない。ハーツクライの“心の叫び”が聞こえてくる。今週の安田記念にも、父子2代のドバイGI制覇を成し遂げたジャスタウェイが登録している。勝てば3週連続のGI制覇。今のハーツクライなら簡単にやってのけるかもしれない。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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