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女傑健在

  • 2003年11月24日(月) 15時29分
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 11月20日「浦和記念」。プリエミネンスが1番人気ストロングブラッドを差し返して快勝した。先行するキングリファール、マキバスナイパーの3番手をスムーズに追走。確かに流れも絶好だったが、正直最後の根性には驚かされた。終わってみれば、キャリアの差、貫禄の差というしかない。自身重賞8勝目、昨年8月、エルムSを制して以来1年3か月ぶりの勝利。レース前記者は明らかに下り坂の馬と判断し、その評価を軽くしていた。古くからある競馬格言が身にしみる。「もう(終わりか)は、まだ(健在)…」というやつ。思えばダートの活躍馬とは、その競走生活でさまざま波を経験しながら息が長い。ホクトベガ、ファストフレンド、とりわけ牝馬はしぶとく、したたか。やはり生命力なのだろうか。

浦和記念(サラ3歳上 定量 統一G2 2000m梢重)

△(1)プリエミネンス   (54・柴田善) 2分5秒6
◎(2)ストロングブラッド (56・武豊)  首
▲(3)ブラウンシャトレー (56・張田)  2.1/2
△(4)マキバスナイパー  (56・左海)  1.1/2
△(5)スナークレイアース (56・後藤)  5
…………………………………………………………
 (6)ノムラリューオー  (56・的場文)
○(8)マッキーローレル  (56・赤木)

単730円 馬複240円 馬単1200円
3連複1290円 3連単9530円

 プリエミネンスは重賞8勝中、地方競馬場での勝利が7を占める。3歳夏、川崎「関東オークス」参戦を皮切りに以後3年半、これまで実に13競馬場(JRA含め)を踏破した。浦和は14場目に訪れた初コース。統一Gの申し子という言葉がハマるかもしれない。これといった休みもとらず、とにかくタフに走り続けた。その初戦関東オークスは、エアピースが2着で今思えば低レベル。しかし当時のプリエミネンスは、パドックでも終始イラついたような仕草をみせ、馬体も正直貧弱だった。今はおよそ30キロ増。それも数字をはるかに超えて、心身両面で堂々としたムードを感じる。予想上彼女を甘くみたのは記者の不明だが、ともあれこういうケース、ひとつ感慨のようなものも浮かんでしまう。次走は明けて「フェブラリーS」か「川崎記念」。後者選択なら顔ぶれしだいでもうひと花か。

 ストロングブラッドは、プリエミネンスを1馬身前にみて、まったく隙のないレース運び。直線中ほど現実に相手を捕え、それでいて最後差し返されたのだから鞍上・武豊もコメントが難しい。「手応えは(プリエミネンスより)ずっとよかった。競り合って経験不足が出たのでしょう」。ひとまず勝ち馬をほめる以外にないだろう。ストロングブラッド自身はまだ3歳。パドックでも少しチャカつき気味で若い馬という印象だった。ブラウンシャトレーは、東海在籍時ゴールドプルーフと差のない評価で、今回3着は能力通り。ただ距離適性も含めどこか決定打不足のうらみはある。8歳マキバスナイパーは現状の能力をほぼ絞りきったというレースぶり。統一Gではもう年齢に勝てないだろう。スナークレイアースはパドックなど惚れ惚れする馬体だったが、結局不器用さがネックか。マッキーローレルはインで包み込まれるような形になり不完全燃焼にみえた。統一G、これで嫌われるようなら逆に狙い目も出てくる。


    ☆     ☆     ☆

ハイセイコー記念(サラ2歳 別定 南関東G2 1590m)

◎エーピーライデン  (54・石崎隆)
○カネマサデューク  (54・デムーロ)
▲カーリ       (54・今野)
△ベルモントサファリ (54・内田博)
△シルクビート    (54・的場文)
△ニンジャ      (54・田中力)

 旧「青雲賞」。タイトル通りかつてハイセイコーが圧勝し、以後スティード、ホスピタリティ、ジョージタイセイらが制してきた2歳馬の登竜門。昨年から1~2着馬に12月17日川崎「全日本2歳優駿=統一G1」の優先出走権が与えられ、その重み、位置付けもはっきりしている。統一Gではないが、予想者のはしくれとすると何とか的中させたいレース。いずれにせよここが来春クラシックの起点になる。

 エーピーライデンはデビューから4戦3勝。連勝ストップの前走「ゴールドジュニアー」も負けて強しの2着だった。3~4コーナー、バテた先行馬を捌ききれず、一瞬ブレーキを踏むシーン。直線大外に立て直して勝ち馬に鼻差だから、並みの2歳馬ではない。何より逆境にひるまない精神力が一流の証しだろう。父ワカオライデン。早熟とされる血統だが、余裕のある馬体で走法も豪快そのもの。勝ちっぷりしだいでは来季の主役が確定する。

 平和賞3着カネマサデュークは道営出身、すでに10戦のキャリアを持ち完成度がきわめて高い。鎌倉記念を制したトキノコジローが回避し、代わりに川崎からはカーリが参戦。父はSS産駒、東京ダービー2着ユートカイザーで、いかにもそれらしいパワフルな末脚がある。ゴールドジュニアーでエーピーライデンを下したベルモントサファリは、浮かぶイメージが今のところ逃げ一手。むしろ昇り目はシルクビート、混戦でニンジャ。

    ☆     ☆     ☆

ファーストレディー賞出走予定馬(サラ3歳上牝馬 別定 南関東G3 1790m)

◎ホウザングラマー  (57・的場文)
○ブルーマドンナ   (55・左海)
▲アオバコリン    (57・内田博)
△アートブライアン  (57・石崎隆)
△パッションキャリー (55・張田)
△タマノユウユウ

 ホウザングラマーは、デビューこそ遅れたがここまで20戦13勝。前2走軽い相手ながらオープンで人気に応え、ポスト・ネームヴァリューの位置を着々と築きつつある。何とも豪快な末脚。今季唯一汚点は、「トゥインクルレディー賞」の敗戦(3着)だが、当時狭い内コースで明らかに脚を余した。ノンタイトルはここですっきり返上だろう。父ダンスインザダーク。とにかくレースぶりに凄みがある。

 前走「TCKディスタフ」3着で大井嫌いを払拭したブルーマドンナが、斤量を2キロもらって相手に妙味。アオバコリンは一瞬の脚をどう使うか、仕掛けどころがカギになる。トゥインクルレディー賞を制したアートブライアンは、今回52.5→57キロと斤量面でいかにも不利。それなら久々のダートでもパッションキャリーか。JRAクイーンC、フラワーC、4、4着はここに入ると立派な勲章。軽い馬場なら前々で動く。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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