命を懸けるジョッキーの安全面をサポートし、ファンの人に安心して競馬を楽しんでもらいたい。そんな思いで医療の現場から競馬を支えている、競馬場の救護所の潜入レポート。最終回の今回は、写真でつづる救護所の舞台裏。普段は見ることのできない貴重な内部の様子をお届けします。(第3回のつづき、聞き手:赤見千尋)
◆競馬開催日、1日のはじまりは▲1日の初めにジョッキーたちに挨拶
赤見 1Rの本馬場に向かう騎手たちを、いつもこうやってお見送りをされているんですか?
辻 そうですね。レースでの無事を願いながら、挨拶をしています。
赤見 すごく素敵な光景ですね。1日何事もなく終わった時はホッとされますか?
辻 それはもう、本当にホッとしますよ。仕事終わりのお酒がおいしいです(笑)。
◆必見!知られざる救急車の内部▲東京競馬場の救急車
赤見 競馬場の救急車は、中はどのようになっているんですか?
辻 競馬場の救急車は、救護所への速やかな搬送が一番の目的ですので、設備は必要最低限なものになっています。自治体の救急車なら酸素ボンベなどいろいろな処置の道具を置いているんでしょうけど、競馬場の場合はシンプルですね。
▲知られざる救急車の内部
赤見 救急車には通常何人乗っていらっしゃるんですか?
辻 運転士と、JRAの職員として私もしくは誰か、あとは従事員が1人か2人ですね。だから全部で3〜4人ぐらいです。もちろん従事員も、救急の訓練を受けています。
赤見 1台につき3〜4人体制で、馬場に何台待機しているんですか?
竹田 東京競馬場の場合は常に4台稼働しています。スタート地点に1台、向こう正面に1台、最後の直線の入り口に1台と、ゴール後のコーナーに1台というのが基本の配置になります。
▲馬場に待機する救急車
赤見 4台もあったんですね。改めて聞かないと知らなかったです。
辻 なかなか気がつかれないかもしれないですね。この配置は、レースの距離によっては少し変わります。また、例えば障害競走のないローカルの競馬場ですと、2〜3台の場合もありますし、全部が馬場に出るのではなくて1台は救護所の横についていたりなど、その場に合った対応をしています。
赤見 ちなみに、救急車に乗っていたら、遠い箇所での事故だと見えない場合などはないんですか?
辻 いえ、結構見えるもんなんですよ。障害競走のときは、正面の障害に1台、反対側に1台、3コーナーや中間点などにも配置していますので。あと、従事員がスタンドの上に待機してレースを見ているんですけど、落馬があったときは「どこどこで落馬」と、そこから無線で情報が入りますので、その状態を聞いてそこに向います。なので、見落とすことはまずありません。
◆救護所の設備を大公開▲東京競馬場の救護所の入口
救護所は検量室の近くにあります。
▲救護所内のベッド
救護所内のベッドは2台。
▲レントゲン室も完備
レントゲンも完備。レントゲン技師が待機していて、骨折の疑いがある場合等に使用します。
大きな事故だけでなく風邪や軽い怪我など、何か困ったことがあった場合にはジョッキーたちがいつでも駆けこめる救護所。医療の現場から競馬を力強く支えています。(了)