
川須栄彦騎手が語る“数字の裏側”第4回。今回は馬券にも役立つ(?)人気別成績や種牡馬別成績などからジョッキーの心理を分析していきます。さらに、川須騎手がもっとも気合いが入るレースも判明!?
(取材・文/大薮喬介)
■栄特別は妙に気合いが入りました(笑)――人気別成績では、当然のことながら1番人気の成績がもっともいいです。騎乗数でも出てきたエバーグリーンが、川須騎手が乗った馬の中で、もっとも1番人気に多かった(7回)わけですが、結局勝ったのは2回でしたね。
川須 ひとつは2度目に乗せていただいた未勝利で勝ったんですよね。その勝ちっぷりが良かったので、その後も人気になったんですが、なかなか期待に応えられませんでした。
――道中は後方で、3コーナーあたりから動いて、結局2着に5馬身差をつけての完勝だったんですよね。エバーグリーンのように人気になりながら、なかなか結果が出ないと、やはり悔しいですか?
川須 うーん、人気はファンの方々が決めることなので…。自分が勝ち負けできると思っているときと人気が、必ずしも合っているとは限らないじゃないですか。もちろん、期待に応えられなくて申し訳ない、という気持ちはありますけど…。
――では、単勝1倍台に支持されたときはどうです? もっとも単勝オッズが低かったのは1.2倍です。どの馬に乗っていたか覚えていますか?
川須 あ~、“ンンン~ン”って感じの馬じゃないですか?
――えっ!? いやぁ、イントネーションだけ言われても…。
川須 「ホ」が入っているでしょ、馬名に。
――入っていません…。
川須 入っていませんか…。え~、どの馬だろ。
――2012年3月に行われた中京の未勝利、芝2200mです。有名な冠名がついています。
川須 あっ、わかった! アドマイヤバラードだ。
――やっと出ましたね(苦笑)。単勝1.2倍で1着でした。
川須 すごく乗りやすくて、思った通りの競馬ができたのを覚えています。でも、人気で思い出すのは難しいですよ。あまり人気を気にしていないというのもありますが、連続騎乗しているときはパドックまで行かないこともあるので、オッズを確認する暇もないですし。
――今年でいえば、1.4倍で勝っているレースがあるんですが、覚えています?
川須 うーん、すみません…。
――2月22日の小倉です。
川須 ああ、思い出しました。ポイントブランクですね。
――正解! ちなみにこの和布刈特別の読み方はわかりますか?
川須 え~、いきなりクイズですか!? わからないですよ。
――正解は、「めかりとくべつ」です。
(「和布刈」は、福岡県北九州市門司区の地域名)
川須 あの~、それって僕と何か関係あるんですか?
――すみません、とくにないです(笑)。読み方が難しいレース名って結構あるじゃないですか。ジョッキーも気になったりすることがあるのかなと思って。
川須 なるほど(苦笑)。レース名といえば、「栄特別」(中京)というレースがあるんですが、僕の「栄彦」の「栄」が入っているので、勝手にこれは自分のためのレースだと思って、「絶対に勝ちます!」と記者さんたちに言ったことはありますね(笑)。そうしたら、本当にアタマ差しのいで勝って。グランプリブラッドという馬で、確か4番人気でした(2012年12月9日中京12R)。太宰さんの「太宰府特別」じゃないですが、あのレースは妙に気合いが入りました(笑)。

「栄特別」は妙に気合いが入りました(笑)
――そうだったんですか、今後も「栄特別」に騎乗していたら注目ですね(笑)。では、今度はクラス別成績を見ていきましょうか。
川須 乗っている数や勝ち星は、古500万や未勝利が多いんじゃないですか。
――その通りです。ちなみに騎乗数はそれほど多くはないんですが、3歳新馬が一番勝率がいいんですよ。
川須 え~、それは僕も初めて知りました。
――種牡馬別では、どの種牡馬産駒の成績がいいかわかりますか? マニアックな種牡馬ではないです。
川須 難しいなぁ。キンカメ?
――答えは19勝のディープインパクトです。でも、キングカメハメも11勝で2位ですよ。ちなみに、3位は10勝でクロフネでした。
川須 そうなんだ…、ディープ産駒とは意外でしたね。まあ、でも、ディープ産駒はいい馬が多いですよね。総じて素軽いので、芝でこそのイメージがあります。キンカメはどの条件でも走る産駒が多いので、オールマイティーかな。クロフネ産駒は瞬発力というよりは力強い走りをするので、ダートで走るイメージがありますね。
――やはり、種牡馬によって産駒のタイプは違うんですね。今後の馬券に役立たせていただきます(笑)。では、次が最後のデータです。実は、「前走丸山元気騎手→今回川須騎手に乗り替わったとき」が、もっとも勝っているんです(8勝、勝率17.8%)。知っていました?
川須 本当ですか!? てっきり関西の騎手かと思っていました、例えば福永さんとか。じゃあ、今後は丸山先輩から乗り替わったときが勝負ですね! 丸山先輩にも伝えておきます(笑)。
【次回のキシュトーークは?】
次回は、巷にある『競馬の格言』は真相に迫ります。実際に競馬で乗っている騎手はどう思っているのか? 国分優作騎手と国分恭介騎手がその疑問に答えてくれます。さらに新しい格言も誕生!? 乞うご期待!