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サクラティンクル(牝 栗東・須貝尚介 父ステイゴールド、母サクラキャンドル)
母サクラキャンドルは「サクラユタカオー×ノーザンテースト」という有名なニックス配合で、現役時代にエリザベス女王杯(GI)など3つの重賞を制した名牝。ただし、これまでに競走馬となった産駒6頭のうちJRAで勝ち星を挙げたのはサクラメモリアル(父サクラローレル)のみで、自身の良質な資質を産駒に伝え切れていない。本馬の父はステイゴールド。父が18歳時、母が20歳時の産駒ではあるが、ドリームジャーニーとオルフェーヴル兄弟と同じくノーザンテースト4×3というクロスを持ち、ゴールドシップと同じくPrincely Giftのクロスを持つ。一発を期待したい。
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ザッフィーロ(牡 栗東・佐々木晶三 父キングカメハメハ、母プリティメイズ)
母プリティメイズはゼネラリスト(重賞2勝で芝2000mの日本レコードホルダー)の代表産駒で、現役時代に短距離戦で準OPまで出世した快速馬だった。そのスピードを産駒にも伝えており、初子のアフォード(父サクラバクシンオー)は短距離でOPクラスに出世している。「デインヒル系×Be My Guest」という配合なので一本調子な面は否めないが、短距離で走る分にはマイナスにならない。父キングカメハメハはロードカナロアという国際級のスプリンターを送り出した実績がある。父母から良質なスピードが伝わっていれば短距離戦線で名をあげるだろう。
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シェリュスドパリ(牝 栗東・角居勝彦 父Siyouni、母タイユドゲップ)
ヨーロッパ古馬戦線の雄シリュスデゼーグル(Cirrus des Aigles)は、8歳を迎えた今年もガネー賞(仏G1)、イスパーン賞(仏G1)、コロネーションC(英G1)とG1を3連勝し、デビュー以来の重賞タイトル数を「16」に伸ばした。うちG1は6勝。現在は軽度の骨折で休養しているが、秋には復活する予定で、セン馬なのでおそらく来年も現役を続行するものと思われる。本馬はその6歳下の半妹。父Siyouniは現役時代にジャンリュックラガルデール賞(仏G1・芝1400m)を勝って仏2歳牡馬チャンピオンとなったスピード馬。Pivotal→Polar Falcon→Nureyevとさかのぼる父系に属している。今年2歳世代が初年度産駒で、まだ重賞を勝った馬は出ていないが、Mocklershillという牡馬がフランスの出世レースとして知られるヤコウレフ賞(芝1000m)を勝っている。仕上がり早のスピードを伝えているので期待できそうだ。
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ジョーアラタ(牡 栗東・清水久詞 父フレンチデピュティ、母ジョーフュージョン)
母ジョーフュージョンはチューリップ賞(GIII)6着馬で、ジョープロテクター(98年阪急杯-GIII・4着、函館SS-GIII・4着)の半妹にあたる。「オペラハウス×バンブーアトラス」というスピード感のない重厚な配合なので、コンスタントに活躍馬を出せるタイプではないが、ハマれば大きな当たりを飛ばせるだろう。本馬の父はフレンチデピュティ。以前は種牡馬ランキングの上位に食い込んでいたが、最近は加齢による衰えと交配牝馬の質の低下により成績を落とし、20位台に低迷している。ただ、本馬は配合的に見どころがあるので注目してみたい。母方にSadler's Wellsが入るフレンチデピュティ産駒は、メイショウベルーガ(10年京都大賞典-GII、10年日経新春杯-GII)、アンブロワーズ(04年函館2歳S-GIII)などが出ており成功している。稽古で動くようならおもしろい。
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ラプンツェルダンス(牝 美浦・矢野英一 父グラスワンダー、母セイウンクノイチ)
朝日杯フューチュリティS(GI)を制して最優秀2歳牡馬に選ばれたセイウンワンダーの全妹。同馬はほかに新潟2歳S(GIII)、エプソムC(GIII)を制し、皐月賞(GI)と菊花賞(GI)でも3着と健闘している。「グラスワンダー×サンデーサイレンス」の組み合わせは、スクリーンヒーロー(08年ジャパンC-GI、アルゼンチン共和国杯-GII)、サクラメガワンダー(09年金鯱賞-GIIなど重賞4勝)などが出ているニックス。セイウンワンダーはRoberto 3×4という力強いクロスを持つ影響か、2歳チャンピオンにしては成長力があり、距離延長も苦にしなかった。本馬は牝馬なのでマイルから2000m前後がよさそうだ。