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巷にある『競馬の格言』本当のところはどうなの?【第5回】

  • 2014年07月30日(水) 18時00分
優作&恭介


今回が最終回。巷にある『競馬の格言』を、実際に競馬に乗っているジョッキーはどう思っているのか? 新潟直線1000mの新格言を国分優作&恭介騎手のおふたりが考えてくれました!
(取材・文/大薮喬介)


ムーア騎手が乗れば馬の力が120%になる!?

――『長距離の逃げ馬、短距離の差し馬』という格言はどう思いますか?

恭介 その通りだと思いますね。

優作 でも、展開によるんじゃない?

恭介 ハマりやすいってことでしょ。そもそも長距離でバリバリ飛ばす馬はめったにいないし。先行力さえあれば、ペースを落としてそのままってことはよくあるよ。

――長距離の逃げ馬はなんとなくわかるんですが、短距離の差し馬というのがよくわからないんですよね。

優作 短距離の逃げ馬は距離が短いぶん、目標にされやすいんです。それよりは差し馬のほうがくる可能性が高いってことなんでしょうね。

――ハマりやすい、ハマりにくいという意味ではこの格言は合っているということですか。長距離でいえばもうひとつ、『長距離は騎手で買え』というのもあります。

優作 多少はあるでしょうね。

恭介 長距離は能力のある順に決まりやすいんですよ。当然能力のある馬にはリーディング上位の騎手が騎乗することが多いわけですし。人気薄でくる場合は逃げ馬だけでしょうね。

優作 そうだね。長距離の場合は、逃げ馬なら少し能力が足りなくてもチャンスはありそう。逆に差し馬は、距離が長くなればなるほど難しいかもしれない。

――データで見ても、確かに長距離(芝2500m以上)の逃げ馬は人気薄で好走していますね。馬券の参考にさせていただきます(笑)。では、次です。『東は関西馬、西は関東馬を狙え』という格言があるのですが、これはおそらく穴をあける馬のことだと思います。

恭介 確かに関東馬が関西で穴をあけることはありますよね。

優作 東京で走る関東馬よりも、中山で走る関東馬のほうが好走することが多いような気がします。まあ、あくまでも僕のイメージなんですけど。

恭介 ああ、そう言われればそうかも。

優作 ローカルになると、また話が変わってくるんですよね。場所によって有利不利が出てきますし。例えば、福島だと関西馬は輸送が長いぶん、関東馬にアドバンテージがあると思います。

恭介 中央場所でわざわざ遠征してくるということは、それだけ自信があるからだと思うんですよ。だから、好走しても不思議ではないですよね。

――では、この格言は合っているということですね。では、次にいきます。『馬7人3』とよく言われますが、この点についてはどう思いますか?

恭介 割合的にはそんなものだと思いますよ。

優作 僕もそう思います。ただ、馬の能力がまったく同じなら、もう少し騎手の腕が重要になってくるかも。

恭介 ライアン・ムーア騎手が乗ったら、『馬5、人7』になるんじゃないですか(笑)。

――ムーア騎手が乗ると、120%の力が出ると(笑)。

恭介 (まだ脚のある)馬が走るのを嫌がっても、しっかりと走らせますからね。

恭介

恭介「(ムーア騎手は)馬が走るのを嫌がっても、しっかりと走らせますからね」


優作 うんうん、ムーア騎手は別格。集中のさせ方が本当にスゴイ。動かない馬でも動きますからね。

――では、『ムーア騎手が乗ると「馬5、人7」』は新格言に採用ということで(笑)。続いては、『新潟の直線1000mは外枠有利』という格言です。ただ、最近は内枠の馬も好走するようになりましたよね。

優作 それでも、まだ外枠が有利だと思いますよ。なんだかんだで外のほうが馬場がいいですから。内枠で好走できる馬は相当能力が高いんだと思います。

恭介 外枠の馬でも前にいける馬でないと厳しいと思いますよ。外ラチ沿いに馬群が固まるので、後ろからだと前が詰まってしまいますから。

――過去のアイビスサマーダッシュを見ると、ダートを使っていた馬が案外好走していますが、これはどうしてですか?

優作 ああ、それは重賞だけじゃなくて、他のクラスでも結構ありますよ。ダート馬ってピッチ走法の馬が多いじゃないですか。そっちのほうがすぐにトップスピードに乗りやすいから、いいのかなと思いますけど。あとは、風の影響も受けやすいので、ダート馬のように馬格のある馬のほうがいいのかもしれないですね。

恭介 ということは、ジョッキーも小さい人のほうが向いているのかな? ほら、風の抵抗を受けにくいし。

――では、『新潟の直線1000mは、ダート馬と小さい騎手を狙え』が新格言ということで(笑)。

優作 ダート馬はいいですが、ジョッキーの身長は関係ないと思いますよ(笑)。

優作

優作「ジョッキーの身長は関係ないと思いますよ(笑)」


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