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増え続ける佐賀の重賞

  • 2014年08月08日(金) 18時00分


◆開催日の半数以上が重賞開催日

 数日前、地方競馬の8月の重賞をチェックしていて、エッ!と思った。

 今週末の佐賀競馬では、9日(土)に池田湖賞、10日(日)に尾鈴山賞という重賞が行われるのだが、その条件が、ともに「3歳以上、1750m」とまったく同じ。地方競馬が主催者ごとにほとんど独立して行われていた時代ならまだしも、交流も盛んに行われるようになって全国的にもある程度レースに体系づけがなされ、ネット投票が普及したことで少なくともファンにとっては競馬場ごとの垣根がなくなっている今の時代に、競馬の常識として、ひとつの競馬場で2日続けて同じ条件の重賞はおかしいでしょう。

 佐賀競馬公式サイトの登録馬を見ると、尾鈴山賞のほうが最上級格付のグループで、池田湖賞はその下のA1・A2クラスの混合として編成されているようだ。一応1着賞金では前者が80万円、後者が60万円と差をつけている。

 佐賀競馬場の重賞乱発、特に条件クラスのレースを「オープン」と表記して重賞にしてしまうことについては、このコラムや他の媒体で何度か指摘してきた。

 佐賀競馬場では2012年に行われた重賞が13レースだったものが、地方競馬IPATの導入後、馬券を売らんがための策として重賞を乱造し、2013年には50レースに激増。さらに今年は「第1回」と表記された重賞が7月までに12レースも行われ、予定では今年佐賀の重賞は全部で67レースにもなるようだ。年間の開催日が110日間ほどの地方競馬の一主催者の重賞の数としてはあまりにも多い。

 同じく週末(と月曜日)開催が中心の岩手でも地方競馬IPAT導入以降、重賞をかなり増やしたが、少なくとも岩手には条件クラスの重賞はないし、距離などでバリエーションを持たせ、ファンにもわかりやすいレース体系になっている。

 馬券が売れるようにという理由はわからなくもないが、少なくとも格付けによって上級クラスの馬が制限されるレースは、今の競馬の常識からいっても重賞にすべきではない。

 地方競馬IPATが始まった当初は、重賞でないと基幹競走として認められず、地方競馬IPATでの発売で支障があったかもしれないが、現在ではJRA開催日に限っては準重賞でも基幹競走として認められる。

 2012年までの佐賀競馬の重賞体系を考えれば、現在(S1)として表記しているもののみを重賞とすべきだが、百歩譲って、少なくとも本来の意味での「オープン」ではない(S2)と表記されている重賞は準重賞にするべきだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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