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父母ともに日本にゆかりの深い良血マル外エイシンカラット

  • 2014年08月13日(水) 12時00分
アクアブルーパサー(牡 栗東・西浦勝一 父ヴァーミリアン、母フミノサチヒメ)
 父ヴァーミリアンは今年の新種牡馬。現役時代にダートGIを8勝した希代の名馬で、兄弟にソリタリーキング(ダート重賞3勝)、サカラート(ダート重賞4勝)、キングスエンブレム(シリウスS-GIII)といった活躍馬がいる良血。母はダイワメジャーと同血なので種牡馬として期待が掛かる。現在JRAで勝ち上がった馬は芝1頭、ダート1頭。芝の未勝利戦を5馬身差で圧勝し、格上がりのクローバー賞(2歳OP)でも2着と健闘したノットフォーマルは、サンデーサイレンス3×3という芝向きのクロスを持っていた。本馬はクイーンS(GIII)3着馬フミノサチヒメの娘。「ヴァーミリアン×タイキシャトル」という組み合わせなのでHaloを4×4でクロスさせている。加えてMr.Prospector 4×4なので芝向きのスピードを感じさせる配合だ。芝向きのマイラーだろう。

アスクワンダフル(牡 栗東・藤原英昭 父ワイルドラッシュ、母スイートテイスト)
 母スイートテイストは繁殖牝馬として優秀で、さきたま杯(JpnII)を勝ったナイキマドリード(父ワイルドラッシュ)、短距離でOP入りを果たしたスイートジュエリー(父キングカメハメハ)などを産んでいる。本馬の父はワイルドラッシュなのでナイキマドリードの全弟。「ワイルドラッシュ×Salt Lake」というパワー型のスピード血統で、父の産駒の大物によく見られるHyperionとSon-in-Lawの組み合わせから成る血を入れるのではなく、アメリカ的なパワー型のスピードを追求したような配合だ。3代父Icecapadeの2代母Bold Irishは、Bold Irish≒Bold Irishman 5×7の4分の3同血クロス、Fighting Fox=Gallant Fox 6×6の同血クロスを生じさせる重要な役割を果たしている。兄同様の活躍を期待したい。

エイシンカラット(牝 栗東・今野貞一 父Tale of Ekati、母Ellie's Moment)
 父Tale of Ekatiは「Tale of the Cat×サンデーサイレンス」という組み合わせのアメリカ産馬で、その母Silence Beautyは日本産馬。3歳時にウッドメモリアルS(米G1)、シガーマイルH(米G1)など4つの重賞を制した。父Tale of the Catはヨハネスブルグと相似な血で、息子のTale of Ekatiはヨハネスブルグの代表産駒ホウライアキコやタガノブルグと血統構成がよく似ているので血統的にも注目できる存在。芝適性もそれなりにあると思われる。今年の2歳世代が初年度産駒で、ブラッドホースの集計では現時点で7頭出走して4頭が勝ち上がるという好スタートを切っている。母Ellie's MomentはG3で2着2回という成績。産駒のAwesome Bet(父Awesome Again)はスーパーダービー(米G2・ダ9f)で2着、同じく産駒のMoment in Dixie(父Dixsieland Band)はダブルドッグデアS(米G3・ダ8.5f)で2着となっており、繁殖牝馬としても見どころがある。血統的にも「Kris S.×Graustark」という組み合わせで、名種牡馬ブライアンズタイムの4分の3弟にあたる良血。父母ともに日本にゆかりの深い血で構成されており、母のスタミナと底力、父のスピード、これらがうまく組み合わされば大物に育ってもおかしくない。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

エイシンバッケン(牡 栗東・中尾秀正 父ヨハネスブルグ、母エーシンラージシー)
 母エーシンラージシーは不出走馬ながら、エーシンリジル(11年北九州記念-GIII・2着)、エイシンイダテン(準OP)を兄弟に持っており、血統的なポテンシャルは高い。父ヨハネスブルグは2歳時に愛仏英米のG1を制し、欧・米双方の2歳チャンピオンに輝いた早熟の名馬。種牡馬としても2歳戦に強く、昨年の新種牡馬リーディングではぶっちぎりの1位で、JRA2歳総合でも5位だった。代表産駒のホウライアキコとフクノドリームは、サンデーサイレンスとMr.Prospectorを併せ持つという血統的共通点がある。本馬はサンデーサイレンスを持ち、Mr.Prospectorこそないもののスピード豊かなトウショウボーイを持つので、全体的な構成は悪くない。芝・ダート兼用のマイラー。

メイショウスターク(牡 美浦・小島太 父ハーツクライ、母マイヴィヴィアン)
 半兄メイショウサムソン(父オペラハウス)は皐月賞(GI)、ダービー(GI)の二冠に加え、春秋の天皇賞を制した名馬。兄弟にはこのほか、中央で1000万条件まで出世したベルタリド(父クロコルージュ)、メイショウタクミ(父シンボリクリスエス)がいる。これらはすべて非サンデー系種牡馬が父だった。マイヴィヴィアンの父ダンシングブレーヴは、サンデー系全般と相性がいいだけに、やはりサンデー系種牡馬との交配がどんな結果を生むのか興味深いところ。兄弟のなかで初めてサンデー系種牡馬を父に持つ現3歳のメイショウミハタ(父マンハッタンカフェ)はいまだ出走歴なし。ハーツクライを父に持つ現2歳の本馬には期待が掛かる。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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