【栗東】
◆パイオニアステップ(牡、父ハービンジャー、母シャンパンマリー、栗東・松永幹夫厩舎)
今年の松永幹夫厩舎は、先週までに7頭の2歳新馬がデビューして、3頭が勝利。3頭とも、見栄えのする勝ち方をしており、これから先のレースも楽しみになるような存在だが、それに続くべく、今週も2頭の新馬がデビューを予定している。
その2頭が先週はCWで併せ馬を行っているが、動きが良かったのは本馬。母系にエアグルーヴ(父トニービン)、アドマイヤグルーヴ(父サンデーサイレンス)がいる良血。追い切りにはレースでも騎乗を予定している川田将雅騎手が跨っていたが、道中の遅いラップにも折り合いを欠くことなかった。ラスト1Fが弾けて1F11.9秒。6Fが89.1秒と遅いだけに、評価の難しいところだが、トラック馬場で追ってからしっかりした動きを見せたのは頼もしいかぎり。8月31日(日)小倉芝1800mでデビューする予定。
パイオニアステップ
◆タマモクラリティー(牝、父ハーツクライ、母チャームダイヤ、栗東・中竹和也厩舎)
おじに同厩舎で管理され、2013年京阪杯を勝っているアースソニック(父クロフネ)がいる血統。本馬については「ハーツクライ産駒っていうこともありますが、距離はマイルあたりまでこなしてくれると思います」と中竹和也調教師。
8月21日の札幌ダートでの併せ馬では、相手カフジスターに3馬身ほど遅れるような形となったが、ダート馬場での追い切りが初めてだったことも影響しているかも知れない。最終追い切りでどこまで動いてくるか、注目してみたい。8月30日(土)札幌芝1200mを岩田康誠騎手でデビューする予定となっている。
◆コスモアルゴル(牡、父タニノギムレット、母ラストアイドル、栗東・宮本博厩舎)
2013年北海道サマーセールにて、100万円で落札された馬。しかし、先週の追い切りからは、値段に「0」がひとつ足りないのではないだろうかというような素晴らしい動きを見せた。
レースでも騎乗予定の柴田未崎騎手が跨って、坂路でデスティーノトップとの併せ馬だったが、ほぼ同時に入線して、時計は4F51.2秒、1F13.3秒。宮本博調教師は「ラスト1Fが13秒要したので」と謙遜していたが、新馬で4F51.2秒はトップレベルのスピード時計。先にデビューした僚馬は1番人気7着という結果だっただけに、この時計の価値が下がるような気がするが、2週前追い切りで動かなかった本馬が、これだけ動けた点を評価したい。こちらも8月31日(日)小倉芝1800mでデビューするだけに、最終追い切りはトラック調教が理想のような気はする。
コスモアルゴル
◆タップザット(牡、父Tapit、母アートプリンセス、栗東・池江泰寿厩舎)
2013年セレクトセール1歳にて、8000万円で落札。母の妹の仔も日本で競走しており、それが先週の小倉芝1800mで行われた2歳未勝利戦で3着だったカラーラビアンコ(父Giant's Causeway)。
本馬は8月20日に札幌ダートで古馬ローザズカレッジと併せて1馬身先着。時計は平凡なので、あまり目立っていないが、この中間は常に古馬と併せて同入の動き。時計以上に評価できる点があるように思う。8月31日(日)札幌ダート1700mを福永祐一騎手でデビューする予定となっている。
【美浦】
◆サンマルティン(牡、父ハービンジャー、母ディアデラノビア、美浦・国枝栄厩舎)
サンデーサイレンス産駒の母は重賞3勝の他、GIでも3着3回の実績を残した。兄姉は全て勝ち上がっており、現4歳の半姉ディアデラマドレは今年のマーメイドSを勝っている。当初は6月の東京デビューを目指していたが、追い切りの動きがピリッとしなかったこと、テンションが高くなっていたことを考慮してリフレッシュ放牧へ。その甲斐もあり、再入厩後の雰囲気は上々だ。「立て直した効果で馬は良くなっている。だいぶ落ち着きが出たし、調教でも楽に動けるようになってきた」と国枝栄調教師。8月31日、新潟の芝1600mをマリオ・エスポジート騎手で予定している。ハービンジャー産駒は5頭が勝ち上がっており、うち4頭がSS牝馬との配合。この馬も将来性は十分で楽しみな存在だ。
◆フェスタジュニーナ(牡、父ステイゴールド、母ディアウィンク、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)
2010年の宝塚記念を勝ち、同年のフォワ賞2着、凱旋門賞2着など国内外で活躍したナカヤマフェスタの全弟。厩舎にとっても期待大の血統馬だ。じっくりと時間をかけて乗り込まれ、ここ2週はウッドチップと芝コースで長めから負荷をかけている。「まだ脚元が固まっていないところもあったので慎重に様子を見ながら進めてきた。首を下げたフォームで走るし、普段の仕草なんかもフェスタとソックリ。今のところは特に気難しいところも見せていないし、ひと追い毎に良くなっている」と二ノ宮敬宇調教師。8月31日、新潟の芝1600mを蛯名正義騎手で予定している。
◆クリーミーボイス(牝、父キングカメハメハ、母アルーリングボイス、美浦・堀宣行厩舎)
母は重賞2勝の活躍馬。前週のデビューも視野に入れられていたが、まだ良化の余地を残していたために予定を延ばした。8月21日にはウッドチップで古馬2頭を追走して先着。終いはシャープな反応を見せた。「はじめのうちは自分から進んでいかないようなところがあったけど、追い切りの本数を重ねるに連れて前向きさが出てきた。調教通りなら終いは切れそうなイメージ。だいぶ態勢が整ってきたと思うし、走りそうな雰囲気はある」と橋本調教助手。8月31日、新潟の芝1600mを戸崎圭太騎手で予定している。
◆オホーツク(牡、父Half Ours、母Pata Fresca、美浦・手塚貴久厩舎)
昨年の朝日杯FSを制したアジアエクスプレスと同様、OBSマーチセールの出身。19万ドルで落札された。ブラックタイプに目立つ活躍馬こそいないが、札幌競馬場に入厩後も順調で素質の高さを感じさせている。「馬格も立派だし、まるで古馬のように大人びていて完成度が高そう。ジョッキーもセンスの良さを絶賛しているし、初戦から楽しみ」と手塚貴久調教師。8月31日、札幌のダート1700mを三浦皇成騎手で予定している。