ジャズファンク、ここまで記者に“自信”を語ってくれるとは驚いた/トレセン発秘話
※ジャズファンクは札幌2歳Sを除外となりました。この原稿は出走馬確定前に取材した内容となっております。ご了承ください。
13週に及ぶ夏の北海道シリーズのラストを飾るのは札幌2歳S(6日)。芝千八で施行されるようになった97年以降、計10頭の2歳・3歳の芝GI馬を輩出してきたクラシックの登竜門だ。当然のように好メンバーが揃ったが、やはり今年最大の注目は新種牡馬ハービンジャーのファーストクロップだ。
社台グループがサンデーサイレンス肌との好相性を信じて購入した10年キングジョージ優勝馬。初年度から名だたる繁殖牝馬と交配され、その第1世代は来季クラシックの行方を左右する一大勢力となるのだから。
とはいえ春先は「皮膚が厚い」「トモが緩い」などネガティブな声が聞こえたのも確か。父自身の初勝利が3歳春、本格化も古馬になってからとあって、POG筋から懐疑的な見方をされたのも事実である。ところが、だ。デビュー8頭目のスワーヴジョージが2函で待望の初Vを飾るや、その後は目が覚めたような破竹の勢い。毎週のように産駒が勝利を挙げ、先週新潟のサンマルティンを含めてすでに6頭がV。「売り出し中のハービンジャーを負かしに来た」とフォワードカフェを送り出す小島太調教師が口にするほど、その存在感は高まる一方である。
「お父さんのビデオを改めて見てみると、体形や身のこなしなどよく似てるなと思いましたね。スワーヴジョージと2頭でいい競馬ができれば、生産界にもいい刺激になると思うんですが」
こう語るのは1回札幌で産駒2頭目の勝ち上がりとなったジャズファンクを手がける上村助手。インから抜けた新馬戦も鮮やかだったが、初タイトルがかかる今回はデキも上昇一途とあって細い目がさらに細くなる。
「デビュー当初は栗東からの輸送を挟んでカイ食いが落ちていたが、今は自分からねだるほど。馬場も1頭で出せるくらい堂々としており、扱いやすい馬ですね。ゲートも実戦では上手だったし、学習能力の高さを感じる馬。無事にレースを迎えられれば、結果もついてくると思いますよ」(上村助手)
宴会野郎のキャリアにあっても、担当者にこれだけ語らせる2歳馬も珍しい。群雄割拠の種牡馬界に新横綱は誕生するのか。今後を占う意味でも注目の一番となる。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)