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小崎綾也騎手(2)『新人時代に大ブレイクした三浦皇成騎手を追い掛けて』

  • 2014年10月13日(月) 12時00分
おじゃ馬します!

▲今週のトークテーマは『デビュー初年度の夏!熾烈な北海道に参戦』

同期の松若風馬騎手が33勝(10月6日現在)、それに次ぐ25勝(10月6日現在)をマークしている小崎綾也騎手。成長著しい若武者・小崎騎手は、初めて迎える夏競馬の舞台に北海道を選びました。そこで今週のトークテーマは『デビュー初年度の夏!熾烈な北海道に参戦』と題し、敢えて厳しい環境に身を置いた意図、そして北海道で改めて実感したというご自身の長所に迫ります。(取材:東奈緒美)

三浦皇成騎手に次ぐ新人記録を達成


 小崎騎手の期は、みなさん活躍していますよね。その中で小崎騎手は、同期中2位の勝ち星。ご自身の活躍をどう感じていますか?

小崎 こういう取材でも「活躍してますね」ってよく言っていただくんですけど、勝てるような馬に乗せていただいているので、そう思ったらこれぐらいは勝たなければいけないと思っています。環境に恵まれているというのが、本当に一番大きいです。技術の面ではまだまだ下手くそで。

同期は、学校時代の3年間一緒に過ごしてきましたけど、みんなその頃からうまかったですし性格も真面目なので、「デビューしたらみんな勝てるだろうな」っていうのは思っていました。

 そういうメンバーの中で、模擬レースで優勝できたのは自信にもつながりますね。

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▲模擬レースを見事勝利!その秘密がコラム後半で明らかに


小崎 ありがとうございます。馬のめぐり合わせもよかったと思いますが、勝ちたかったのでうれしかったです。

 今年の夏は函館、札幌と北海道に参戦しましたけれども、トップジョッキーが集う北海道を選んだのは?

小崎 所属の村山先生から、「今年は北海道に」というお話があって。三浦皇成さんも新人時代は北海道で勝ち鞍を重ねて活躍されました。多分そういうこともあって、僕にも北海道で勝ち鞍を重ねてほしいというのが、先生の思いだったと思います。

 村山調教師の意思だったんですね。8月30日の札幌で、“騎乗機会3連勝”という三浦騎手に次ぐ快挙!(※デビュー年の1日騎乗機会3連勝は、三浦騎手が2008年10月11日に7R、8R、9R、11Rで4連勝したのに次ぐ記録)

小崎 記録として残ったのは、素直にうれしかったです。ただ、今までも3連勝できるチャンスはあったはずで、それを逃しているのは自分でも感じていました。それにこの時、2、3、4レースで3連勝だったんですけど、その前の1レースも勝てるくらいの馬だったので、そこを勝てなかったのが悔しかったです。本当だったら4つ勝てていてもおかしくなかったなと。

 うれしいより悔しいの方が強いんですね。勝てるような馬に乗せてもらうのは、逆にプレッシャーに感じたりしませんか?

小崎 プレッシャーは結構感じます。自分に技術があって、ちゃんと勝たせられるという自信があれば、また違うとは思うんですが。できるだけ自分の中で自信は持ちたいんですけど、そこまでになるにはまだまだですし。今までの結果を見ていると、多分1番人気であまり勝っていないと思うんです。

 そうですか? データ的には人気馬でも勝っているし、逆に人気薄を持ってきているのも目立ちます。1番人気だと、特に意識しちゃうんですか?

小崎 レースに出てしまえば緊張はしないので、固くなったりはしていないと思うんですけど。そういう意識が頭の中にあるので、北海道でも人気馬でもっと結果を出せていたらなと思います。北海道、皇成さんが22勝なんです。もし自分が1番人気でもっと勝てていたら、同じ22勝くらいできたかもしれないので。悔しいですね。

 三浦騎手のお名前が何度か挙がっていますが、意識されている?

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▲先輩として頼りにしつつ、意識もしている三浦皇成騎手


小崎 そうですね。やはり、新人の頃にあれだけ活躍されたのはすごいと思います。普段は美浦と栗東なのでお会いする機会は少ないんですが、この夏は北海道でずっと一緒だったので、いろいろと教えていただきました。もちろん、レースで怒られることも多かったんですけど…。

 怒られたんですか。怒ると怖い先輩?

小崎 いやぁ…(苦笑)。レースのことで怒られている時は「はい。すみませんでした」ってなりますけど、その後にしっかり内容のあることを教えてくださるので。僕のためを思って教えてくださっているのが伝わってくるので、そういうアドバイスはありがたいです。皇成さんから学ぶことは多いですね。

 三浦騎手はデビューの頃から、周りの方々のサポートもあってとても活躍されましたけど、小崎騎手も村山調教師や小崎調教師が、同じように盛り立ててくださっているんでしょうね。

小崎 そうですね。村山先生は“皇成さんの記録を超す”くらいの意気込みで、僕のことを思ってくださっているので。そういう面でもありがたいです。

 北海道はやはり得るものが多かったですか?

小崎 そうですね。北海道で勝つことが格別うれしいのは、レースの前から調教もずっと自分がつけているからなんです。僕、調教も結構好きで。長い時間馬と向き合って、それで結果が出るとすごくうれしいです。

 北海道だと、1頭との調教時間もじっくり?

小崎 はい。北海道だと調教する場所は馬場になるじゃないですか。最初に角馬場で速歩とか軽い駆け足をやってから、馬場で乗るんですけど、そういう流れで乗れるのが楽しかったですね。北海道でたくさん調教に乗ったので、栗東に帰ってきたらだいぶ物足りない感じがします(苦笑)。栗東だと坂路1本とかが多いので、自分で馬に指示を出したり、自分で調教しているという感じがあまりしないんです。

 指示された時計を意識して乗ることが大事だったり。

小崎 本当にそうです。正味1分間ぐらい、乗るだけか抑えるだけか。それだとどうしても物足りないですし、自分も調教がうまくならないんですよね。坂路だけで乗っているのと、馬場で長いこと乗っているのとでは全然違います。

 自分で馬を作っていくのが好きなんですね。

小崎 好きです。馬作りがうまいというわけではないですが、変わっていく馬を感じるのが楽しいです。さっき競馬学校の模擬レースのお話がありましたが、実は、あれを勝てたのも、仕上げに力を入れたからなんです。模擬レースで乗る馬が決まったら、自分で馬のケアをしたり調教もずっとつけるんですけど、馬の力とそこまで仕上げて調子が良かったことが結果につながったと思います。技術の差ではないですね。

 そうなんですね。小崎調教師と親子で馬作りのお話をするのも楽しそう。

小崎 小崎先生ともですし、厩舎の方ともそういう話をします。調教の仕方とかの話を聞いて、教えてもらうのも好きですね。厩舎の方は調教をしてレースに送り出すまでが仕事で、僕はその先のレースでもその馬に乗れるので、そういうのはありがたいことだなって感じています。(次週へつづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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