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真冬に咲く花

  • 2004年01月26日(月) 17時01分
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 1月21日、大井「TCK女王盃」。レマーズガールが完璧な走りで統一G3勝目をあげた。川崎マルダイメグが先手をとり、1000m通過63.0秒のスロー。レマーズはその2番手をスッとキープして、武豊の手綱はピクリとも動かない。流れるように3~4コーナー、そして直線。鞍上はぎりぎりまでGOサインを遅らせたようにみえる。あと1F、軽く気合をつけると、一瞬のうちに2馬身ほど抜け出した。最後まで余裕の脚いろ。先週予想の時点で書いたことたが、今年このレースはネームヴァリュー引退、さらにジーナフォンテン、ラヴァリーフリッグ回避などの経緯がからみ、牝馬統一Gロード、ひとつ新女王を決める戦いだった。1800m1分53秒1の時計も馬場状態を含め合格点。明けて4歳ながら、心身両面で実に逞しいものを持っている。

 TCK女王盃(サラ3歳上牝馬 別定 統一G3 1800m良)

○(1)レマーズガール   (54・武豊)   1分53秒1
◎(2)グラッブユアハート (52・内田博)  1.1/2
▲(3)ホウザングラマー  (53・的場文)  首
△(4)ブルーマドンナ   (52・左海)
△(5)シーディザーブス  (53・横山典)
………………………………………………………
 (7)ビーポジティブ   (53・安藤勝)
 (8)パッションキャリー (52・早田)
△(9)アオバコリン    (53・佐藤隆)
△(10)アートブライアン  (53・石崎隆)

単390円 馬複630円 馬単1300円
3連複930円 3連単4670円

 「想像以上に強いレース。今日は馬がずっとご機嫌で走っていた」と武豊騎手。昨夏このコンビで川崎「関東オークス」「スパーキングLC」を連覇している。続く船橋「クイーン賞」の取りこぼし(3着)は、今思えば力走の反動があったのだろう。相性のよさ、馬自身が天性備える勝負根性と競馬センス。何より地方ダート、深い砂への適性が特筆できる。どちらかといえば早熟、今後さらにパワーアップとなると微妙だが、現在の統一G牝馬ならひとまず必要十分か。息長く活躍するイメージ。次走は2月26日川崎「エンプレス杯」と明言された。

 グラッブユアハートは、道中終始レマーズをマークする形でレースを進め、直線逆に突き離された。コースを熟知した内田博J、それも絶好の1番枠がフォローしてぎりぎり連対だったと正直思う。パドックで実馬を見たのは初めて。イメージとは裏腹に華奢な馬体でイレ込みもかなりきつい。ただ、3~4歳時のプリエミネンスも、今思えば似たような印象だった。さまざまなキャリアを経て今後どう変わってくるか。ホウザングラマーは、例によって勝負どころで反応が鈍く、直線猛然と伸びたものの脚を余した3着だった。上がり36.8秒。敗れて強しはもちろんだが、どこか限界をのぞかせたレースでもある。ブルーマドンナは末一手で統一Gとなると入着ラインから先が遠い。シーディザーブスも先行馬ペースを前々を攻めてこの結果だからまだ地力が足りないだろう。むしろパッションキャリー。中途半端に先行したわりに終いもしぶとく、これは芝、ダート問わず能力があるとみたい。

       ☆       ☆       ☆

 南関東クラシックロード(牡馬路線)は、依然混迷が続いている。ハイセイコー記念馬シルクビートが年明けの大井「福寿草特別」を3着と取りこぼし、1週間後の船橋「ブルーバードC」は、トミケンウイナー(全日本2歳優駿4着)が勝ったものの、インパクトの点で物足りなかった。ただ今年の3歳馬、悲観的なレベルかというとそうでもない。生え抜きの連勝馬が何頭かいること。ナマオ(2戦2勝=父ブロッコ)、ミチシオ(3戦3勝=父サニーブライアン)、タッチザゴール(3戦3勝=父ジェニュイン)が大井に現われ、いずれも本番をにらみつつ順調なステップを歩んでいる。船橋からはベルモントストーム。その意味で今週「ニューイヤーC」は見逃せない一戦になった。

 ニューイヤーC(1月28日浦和 サラ3歳 定量 南関東G3 1600m)

◎ベルモントストーム (54・石崎隆)
○シルクビート    (54・内田博)
▲ミーティアレイン  (54・今野)
△クラヤシマ     (54・佐藤隆)
△クラマサライデン  (53・森下)
△ハセノパウエル   (54・佐藤祐)

 ベルモントストームはデビューから3戦3勝。それぞれ2着を、7、11、5馬身ちぎって独走している。とりわけ前走「春駒特別」は1600m1分42秒5、翌日ブルーバードCを現実にコンマ1秒凌いでいる。アジュディケーティング×テンパレートシル。きわめてスピード色の強い血統だが、馬体、走法は伸びやかで道中折り合いもついている。地方トップサイヤーでありながら、いざ代表産駒というとハタノアドニス、イエローパワー、王道に縁がない父アジュディケーティング。そろそろ選手権距離の大物が現われてもいいころか。いずれにせよ浦和1マイルは最適の条件で、今回のレースぶりがスケール、可能性を指し示すことになる。

 シルクビートはまだ精神面で若そうで、テン乗り、初コース、大きな破綻があって不思議ない。馬券的には前々走大差勝ちが圧巻だったミーティアレイン、デビュー2連勝後、前走ブルーバードCで一つ経験を積んだハセノパウエルあたりに食指が動く。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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