陣営の見込み以上の結果を出す アスカノロマンに要注目/トレセン発秘話
◆「よくない」と聞いていた馬が走ってしまった時の方がショックは大きい。前走のアスカノロマンはまさにこの典型だった
「いい」と聞いていた馬が走らず、「よくない」と聞いていた馬が激走する。この世界ではよくあることだ。
18頭立てなら17頭は負けるわけで、ある意味「いい」という馬が負けるのは日常茶飯事。むしろ「よくない」と聞いていた馬が走ってしまった時の方がショックは大きい。先月25日の京都競馬、観月橋S(3歳上1600万下、ダ1800メートル)を休養明けで勝ってしまったアスカノロマンはまさにこの典型だった。
「追い切りに乗っていてもガツンとくるところがなくて、妙に乗りやすかったし、久々の分、緩さもあった。太宰さんも『まだまだ緩い』と言っていたし、どうかなと思っていたんだけどね」(釘田助手)
ところが、レースでは逃げたグレイスフルリープの番手を楽々追走。直線でこれを難なく競り落とすと、2着ドコフクカゼに2馬身半差をつけて完勝してみせた。勝ちタイム1分50秒0は今年の京都で最速タイの好記録。さらに負かしたドコフクカゼ、グレイスフルリープは重賞で僅差の競馬をしたこともある実力派だ。まさに時計、内容ともに完璧な勝利だった。
陣営がマイナスコメントを発しているのに、競馬で走ってしまう“メカニズム”はいろいろあるが、そのひとつは終わってみれば陣営の見込み以上に馬の能力があったというパターン。まさに今回のアスカノロマンはこの一例だろう。
この後、適当なレースも少ないということで中1週ながらGIIIみやこS(9日=京都ダ1800メートル)に登録。「休み明けを叩いた上積み? それがあったら1分48秒台で走ってしまうんちゃう(笑い)」とは釘田助手だが、ひと叩きして中身ができてくるのは必定。強力古馬陣相手でもマークが必要だろう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)