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この馬からディープの逆襲が始まる/吉田竜作マル秘週報

  • 2014年11月05日(水) 18時00分


◆中竹調教師は「跳びが大きくてスケールを感じる。先週の追い切りもいい動きだったしユーイチも褒めてくれたからね」

 昨年の今頃はハープスターが阪神JFをにらみ、ミッキーアイルが衝撃的な未勝利勝ちを収め、さらには社杯の東京スポーツ杯2歳Sに「大器サトノアラジンが出てくれる」というので妙にテンションが上がったのを覚えている。出てくる馬はといえば、すべてディープインパクト産駒。いかに上々な滑り出しをしていたかがよくわかる。

 対して今年はといえば…。2勝馬は新馬→紫菊賞(500万下)を連勝したティルナノーグだけで、オープン馬もこれに新潟2歳S2着のアヴニールマルシェが加わるだけ(2日終了現在)。ディープ産駒が登場してからの勢いを思えば、“スランプ”と言ってもいいほどだ。

 原因を挙げれば、オルフェーヴル、ゴールドシップほかステイゴールド産駒が活躍、種付け料も手頃とあって大ブレークした影響が大きかったか。生産頭数を比べてみても、現2歳世代の現役登録頭数(2014年11月4日現在)はディープ産駒103頭に対し、ステイ産駒126頭。さらにはキングカメハメハ産駒も124頭とディープ産駒が占有率を下げているのだ。質はともかく、量ではヒケを取っているのだから、この現状も当然といえば当然のことなのだろう。

 とはいえサンデーサイレンス直系の最優秀種牡馬にして、英雄とまでうたわれたディープインパクト。誰も「このまま終わる」とは思っていないだろう。実際、5回京都開催ではディープの秘蔵っ子たちが牙を研いで、解き放たれる瞬間を待っている。

 開幕週日曜(9日)の芝内2000メートルでデビューを予定しているのがブロードキャスト(牡=母アジアンミーティア・中竹)。先月23日の坂路では4ハロン55.2-13.5秒。数字こそ目立たないものの、併せたウエストハーバー(古馬1000万下)でさえ一杯になる力のいる馬場コンディションの中、大きなフットワークで先着してみせた。さらに先週29日の追い切りでは福永を背に55.0-12.9秒と時計を短縮。とにかく跳びが大きいため「坂路では時計が出ないタイプ」とは中竹調教師だが、動きを見ていれば器の大きさは伝わってくる。

「母も芦毛なのに暑さに弱かったけど、この馬もそう。だから夏にゲート試験をパスしても無理はさせなかった。跳びが大きくてスケールを感じる。先週の追い切りもいい動きだったし、ユーイチも褒めてくれたからね」

 そもそも中竹厩舎はあまりジョッキーを乗せる調教を行わない。ブロードキャストがいかに特別な存在かがおわかりいただけようか。全兄には現在、中距離重賞で活躍中のダコールがいるが「同じ時期での比較なら、こちらの方がずっといい」とトレーナー。兄がいまだ手にしていない重賞タイトルを弟が先に…いや、重賞にとどまらずクラシックタイトルまで期待をしたくなる紛れもない大器だ。

 さらにもう一頭、強烈な光を放つディープ産駒が次週の京都でデビュー予定。その(秘)馬については来週の当コラムでたっぷりお伝えしたい。

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