●
パラダイスリッジ(牝 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母クロウキャニオン)
ボレアス(11年レパードS-GIII)、マウントシャスタ(12年神戸新聞杯-GII・3着)、カミノタサハラ(13年弥生賞-GII)、ベルキャニオン(14年共同通信杯-GIII・2着)の全妹。「ディープインパクト×フレンチデピュティ」の組み合わせはショウナンパンドラ、ウリウリ、アヴニールマルシェなどが出ており、母方に入るCaerleon、Vaguely Nobleも父と相性がいい。成功パターンを重ねた好配合馬で、兄弟が連続して走ったのは偶然ではない。この兄弟は馬体重と能力がおおむね一致する傾向がある。要するに筋肉量と馬格に恵まれた馬が高い競走能力を備えている、という単純な因果関係だ。牝馬に出たことで小柄に出ることが懸念されたが、春時点で460kg台ならば問題なさそう。重賞級の期待がかけられる。
●
ミッキークイーン(牝 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母ミュージカルウェイ)
全兄トーセンマタコイヤは現在3戦全勝。2戦目の山吹賞(500万下)で負かしたゴールドアクターが菊花賞(GI)3着、ショウナンラグーンが青葉賞(GII)を勝っていることから考えて、重賞級の器であることは間違いない。Nureyev、Blushing Groom、Mr.Prospectorを併せ持つので、ヴィクトリアマイルを2連覇したヴィルシーナに配合構成がよく似ている。母の父Gold Awayはミュゲ賞(仏G2・芝1600m)など4つの重賞を制したマイラー。芝2000m前後がベストの中距離タイプで、牝馬ながらセレクトセールで1億円の値がついた。兄と同じく重賞級の素質の持ち主であることを期待したい。
●
メリーモナーク(牡 栗東・橋田満 父キングカメハメハ、母リッチダンサー)
バウンスシャッセ(14年フラワーC-GIII)、フロアクラフト(13年オークス-GI・5着)、ホーカーテンペスト(12年ニュージーランドT-GII・6着)の半弟。母の父Hallingは10ハロン路線で名を挙げた名中距離馬で、英インターナショナルS、エクリプスSなど英仏で5つのG1を制した。気のいいタイプで、切れる脚はないものの、逃げるか2〜3番手につけて勝負どころでスパートして押し切るタイプだった。父キングカメハメハもどちらかといえば持続力が武器なので、芝の中距離で先行して持ち味を活かすタイプとなりそうだ。
●
トウシンハンター(牝 栗東・松田博資 父エンパイアメーカー、母トレンドハンター)
父エンパイアメーカーはベルモントS(米G1・ダ12f)などG1を3勝した名馬で、種牡馬としても成功。12年の米サイアーランキングで2位となった(集計を北米のみに限定するとトップ)。現在日本で繋養されており、今年の夏から日本における初年度産駒がデビューしている。いまのところ42頭がデビューして勝ち上がりはわずか3頭と苦戦傾向にあるが、アメリカ血統にしては完成が遅いタイプなので、これからじわじわ勝ち上がりが増えていくものと思われる。母トレンドハンターは現役時代にフラワーC(GIII)を勝ち、桜花賞(GI)でも3着と健闘。直後に故障して繁殖入りした。本馬が初子となる。トレンドハンターの母ロイヤルペルラはパワー型の血で構成されているので、ダート向きに出る可能性もある。芝・ダート兼用の中距離タイプ。
●
フォギーボトム(牡 美浦・土田稔 父マンハッタンカフェ、母デュポンサークル)
母デュポンサークルは近親にこれといった活躍馬はいない。ただ、配合的にはかなり興味深い存在だ。3代母AtelierはSlightly Dangerous 2×2という強度のインブリードを持つ。Slightly Dangerousはコマンダーインチーフ、ウォーニング、Yashmak、Dushyantorといった活躍馬を次々と輩出した稀代の名繁殖牝馬なのでおもしろい。デュポンサークルはこのクロスを継続発展させる形でWhere You Lead 3×5・5というインブリードを持っている。Where You Leadは前出のSlightly Dangerousの母であり、母の父Rainbow Questの2代母でもある。エルコンドルパサーを作った渡邊隆氏が生産した馬なのでもちろん意図的な配合だ。本馬はマンハッタンカフェが父。Rainbow Questの父Blushing Groomと相性がいいので期待できそうだ。芝の中距離タイプ。