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名勝負の予感

  • 2004年02月02日(月) 14時40分
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 2月4日「川崎記念」。個人的な印象と断って書けば、統一G1とすると近年いかにも物足りないレースが続いていた。JRA「フェブラリーS」と顔ぶれが競合、分散すること。しかも目玉はたいてい持っていかれてしまうこと。まあしかし、これはダートGが整備され充実した裏返しともいえるのだろう。例えばホクトベガ、例えばアブクマポーロ、一時代前なら王者のパフォーマンスを見てそれで十分満足だったが、今はなかなかそうもいかない。一面、贅沢な悩みというやつ。ともあれ、今年は予想の段階から胸が躍るメンバーになった。凝縮された11頭。何より、JRA馬=地方馬、その“対決構造”が久々に成立している。

 川崎記念(サラ4歳以上 定量 統一G1 2100m)

◎エスプリシーズ   (56・森下)
○スターキングマン  (56・武豊)
▲コアレスハンター  (56・内田博)
△ディーエスサンダー (56・勝浦)
△リージェントブラフ (56・吉田豊)
△カネツフルーヴ   (56・松永幹)
 
 スターキングマンは暮れの東京大賞典を圧勝。04年初頭の現在、王者アドマイヤドンを追う最も近い位置に立っている。いわゆるロングスパートがきくタイプ。切れ味と持続力を併せ持つ理想的なダート馬といえるだろう。フロンティア・森秀行厩舎らしくさまざまな距離を試されてきたが、どうやらベストは中~長距離。かつてはサウスポーの評価があり、現実に昨秋船橋・日本テレビ盃の勝ちっぷりも素晴らしかった。力関係、条件からはほぼ不動の中心馬。武豊が操る以上、初コースもさして減点にならないだろう。

 と書きつつエスプリシーズ◎は、正直半分ひいきが入る。ただこの馬の充実も近走からは手放しでほめるしかない。前走オールスターCを余裕残しで7馬身差。道中のスムーズな折り合い、GOサインからの爆発力。ひとこと3歳時とは馬が違う。改めてふり返れば、ホーム川崎は5戦5勝、まだ負けを知らないという事実があった。スターキングマンはこの後、2月22日東京・フェブラリーSを予定。対してエスプリシーズは、おそらくここを半年前から狙っている。地の利と意欲で逆転が成るかどうか。今の戦力はそう差がないとみたい。

 コアレスハンターは大賞典2着、スターキングマンにはちぎられたものの、ビワシンセイキを最後外から差している。今季7歳。ひところ頭打ちにみえた同馬をここまで円熟させたのは、まさしく高橋三郎スタッフ、夢と努力の結晶というほかない。左回り云々は南部杯2着から問題なし。現にそこでスターキングマンに先着している。ディーエスサンダーは昨夏岩手・マーキュリーC、ビワシンセイキ相手の圧勝からは互角だが、以後4戦のレースぶりに当時の活気が感じられない。カネツフルーヴ、リージェントブラフは、昨年ワンツーでも、今年のレベルと正直違う。うまく逃げて前者、逆にもつれて後者。この2頭、伏兵にしかならないことが、川崎記念、久々にG1の格だろうと予想時点では思っている。

       ☆       ☆       ☆

 1月28日、浦和「ニューイヤーカップ」。ベルモントストームが無傷のV4達成、今春クラシックの主役へ名乗りをあげた。スタートでつまずき2馬身ほどの出遅れ。しかし道中何ごともなかったように好位で折り合い、3~4コーナーじわりとスパート。直線前をあっさり捕え、最後は独走になっている。結果からは器が違った。そして終わってみれば、これは石崎隆Jの思惑通りかもしれない。デビューから3戦3勝、すべて圧倒的な逃げ切りを演じた馬に、ひとつ課題を与えてみた。単1.0倍。むろん意図的な出遅れはないにしても、こういうケースならこう対応する、ハナから想定した競馬にもみえる。馬に競馬を教えつつ、それでいて結果を出していくのが石崎流。Bストーム自身の能力はもちろん、何より今日は鞍上の腕が光った。

 ニューイヤーカップ(サラ3歳 別定 南関東G3 1600m良)

◎(1)ベルモントストーム (54・石崎隆)  1分42秒2
△(2)クラマサライデン  (53・森下)   4
○(3)シルクビート    (54・内田博)  2.1/2
△(4)クラヤシマ     (54・佐藤隆)  1.1/2
▲(5)ミーティアレイン  (54・今野)   1.1/2

 単100円 馬複1000円 馬単1260円
 3連複670円 3連単3150円

 「収穫があった。馬が利口というのがわかったこと。素質はもちろん高いけど、この状況を勝ち切れたことがとにかく大きい」(石崎隆騎手)。パドックをじっくり見たのは初めて。何とも落ち着いた気配で、悪くいえばモッサリ。本場馬の返し馬も、鞍上にうながされようやく第一歩が出る感じ。アジュディケーティング×テンパレートシル、少なくとも血統的なイメージとは大きく違う。成長力、距離への対応力はこれから先の問題だろう。1600m1分42秒2も、翌日古馬A3下=1分42秒9との比較できわめて優秀。3月3日大井「京浜盃」へ。右回り1700m、ここをクリアすれば一気に展望が広がってくる。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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