マイルCS、台風の目は橋口厩舎兄弟/トレセン発秘話
◆橋口師「クラレントとレッドアリオンとなれば、そんなに力差はないかもしれない」
「重賞を5勝もしていれば大抵GIを勝ったりしているものだけどな」
今夏の関屋記念を勝った後、クラレントについて橋口調教師が、こうつぶやいた。その後に京成杯AHを制して、重賞タイトルを「6」まで伸ばしている。
トレーナーの言う通り、JRA平地重賞5勝馬(グレード制導入以降)ともなればGIタイトルを取っている馬が非常に多く、それが6勝馬では、ほぼ全馬がGIウイナーに輝いている(重賞6勝以上でGI未勝利に終わったのはバランスオブゲーム=7勝だけ)。
マイル重賞5勝の記録はウオッカ、ダイワメジャーに並ぶ史上最多という事実からも、クラレントはGI馬になれるだけの実績を十分に積み上げており、頂点制覇は時間の問題ということになる。
そんな実力馬クラレントと比較しても「能力はヒケを取らない」と橋口師がポテンシャルの高さを評価するのがレッドアリオンだ。
「クラレントとオリービンではクラレントの方が上ってなるけど、クラレントとレッドアリオンとなれば、そんなに力差はないかもしれない」
今秋の復帰2戦(西宮S1着→富士S3着)とも上がり32秒8というキレキレの末脚を使っているレッドアリオン。以前より決め手が増しているのは明らかで、その理由を甲斐助手は「3歳時のNHKマイルC(4着)後の休養では、あまり馬に変化がなかったのに、今回の休み明けは馬が成長して、しっかりしたんです」と語る。
これまで休養明けでは一度も結果を残せなかった馬が、たとえ準オープンとはいえ、一頭だけ次元の違う脚で楽勝したのも、以前よりパワーアップしたからこそ。今のレッドアリオンの充実ぶりを見れば、たとえ重賞未勝利馬でも橋口師が重賞6勝馬と同等に近い評価をするのもうなずける。ん? 重賞未勝利馬…今秋のトレンドからしても、妙味はむしろ、こっちではなかろうか。
(栗東の坂路野郎・高岡功)