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レース展望記者座談会『混戦の阪神JF、抽選くぐればこの馬だ!』

  • 2014年12月08日(月) 12時00分
おじゃ馬します!

▲(左上)竹村浩行記者(右上)安里真一記者(左下)森岡健一郎記者(右下)吉田順一記者


2014年の競馬もいよいよラストスパート。そこで今月の「おじゃ馬します!」は、馬サブローの人気記者をお迎えして『レース展望座談会』を開催します。毎週行われるGIを斬っていくこの企画。今週のテーマは阪神JFです。飛び抜けた馬のいない2歳牝馬戦線。トライアルを勝ち上がった馬の信用度は、必ずしも高くないと言います。難解な一戦、プロの決断はいかに。(取材:赤見千尋)

新馬の走りは相当な大物ぶり


 まずは、出演メンバーの自己紹介から。意気込みを動画でお届けします!


赤見 去年の世代はハープスターという大きな存在がいましたが、今年のレベルはどうですか?

竹村 ハープスターみたいなズバ抜けた馬はいないですよね。僕は全体のレベルは年々上がっていると思うんです。牧場の充実であったり、育成の技術も上がっているので、レベルが低いっていうことは絶対ないと思うんですね。ただ、飛び抜けた馬が出るか出ないかっていうことだと思います。

吉田 小倉2歳Sで負けた組がその後重賞勝っていますし、展開や条件がはまったなどで重賞を勝っただけで、じゃあ次も勝てるかっていったら、そんな感じはしないですし。

おじゃ馬します!

▲今回の座談会で登場する各馬の近3走成績


赤見 今のところ注目している馬っていうのはいますか?

安里 僕はもう、出られればロカ! 新馬を勝ったばかりで、出るには抽選になると思うんですけど、キャリアも浅いし未知な面もいっぱいあるんですが、今年は実績馬のなかに買いたい馬がいない。本当にGIを勝つような馬は、抽選をくぐり抜けます。それくらいの運は持っているはず。(※編集部注、12/11、ロカは抽選をくぐりぬけました)

竹村 1戦1勝でも、GIを勝っちゃうと。

安里 いつも競馬場でレースを見ていて、時計とは別に、その時の走りから伝わってくるものってあるじゃないですか。「つえぇぇ!!」みたいな。そういう感覚を大事にしているので。新馬戦はスローで、上がりだけの競馬だったんですけど、みんなが伸びている中でもこの馬の伸びはひときわ目立っていた。最後11.0-11.0のラップを差し切って。エンジンがかかってからのダイナミックな走りは、相当な大物じゃないかなって。

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▲11月2日京都1800mの新馬戦、和田竜二騎手の手綱で3馬身差で勝利したロカ


森岡 僕もロカですね。競馬でも見た目にインパクトがありましたし、ハービンジャー産駒。

吉田 ハービンジャーって、2戦目も勝ってるのいます? 新馬ですごい強い勝ち方をして、2戦目でこけてるのが結構いるんですよ。
(※12月6日に葉牡丹賞でトーセンバジルが2勝目)

安里 いやいやいや、ロカのお母さんはディープインパクトの妹。ディープ好きにはたまらない一頭でしょう。

吉田 たしかに、血統背景は超良血ですけどね。来年の春にまたこの座談会をやったら、僕も「ロカ!」って言ってると思うんですけど、まだ腰に甘さがあるし、今回の2戦目はどうかなって。まあでも、阪神は合うでしょうね。パワーはありますし。

安里 そう。馬格があるし、阪神の坂を苦にするとは思わない。あとは、レッツゴードンキとかダノングラシアスとか、手堅くいくならその辺かなと思いますけどね。

竹村 僕はむしろ、レッツゴードンキを狙いたいなと。今デビューしてる2歳牝馬の中では、稽古の動きは一番っていうくらい。前走は2着でしたけど、調教の動きを見て、この動きだったら岩田ジョッキーも東京まで乗りに行くよなって。それくらいの動きでした。だからまさか負けるとは思わなかったんですけど、展開もあったし、力負けではないなって。この馬が出てきたら、一番買いたいですね。

赤見 勝ったココロノアイはどうですか?

竹村 ん〜、出遅れたうえに、かなり行きたがる荒削りなレースぶり。気性的にまだ幼いかなと。逆に今度は、阪神まで輸送っていう危うさがあるので、次はないかなと思います。

赤見 厳しい評価ですね。もうひとつのトライアルを勝ったクールホタルビは?

竹村 前走は枠も良かったですし、内々ぴったりで立ち回りも絶妙。あの騎乗じゃなきゃ勝てないっていうような騎乗でしたからね。

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▲ファンタジーS、抜け出すクールホタルビ(内)と追いすがるダノングラシアス(外)


吉田 でも、あの時は折り合いましたよね。いつもはガーンッて行くタイプなのに。ただ、距離は長いんでしょうね。1400mまでのタイプじゃないのかなと。

竹村 距離は長い。あと、連勝しているオーミアリスとかも、小倉2歳Sのイメージからすると短距離志向が強いし。

森岡 陣営は「長い方がいい」って言ってますけど、違いますよね?

竹村 細手で非力な印象があるし、回転の速い走り。タフな阪神のマイルで目一杯の競馬をするのはまだ厳しいと思う。

赤見 レオパルディナはどうですか?

竹村 レオパルディナも、レースに行って燃えるタイプ。前走は後方で何とかなだめて差してきたけど、距離が延びていいタイプだとは思わないです。本番ではさらに競馬の組み立てが難しくなりますね。

吉田 体が小さいし、トモを見ても非力な印象。阪神の坂でぐいぐい伸びるイメージはないですね。折り合いも怖いですし、距離も少し長いかな。僕もここは軽視でいいと思います。

今の完成度はダノンよりレッツゴー


赤見 1番人気になるのって何ですかね?

一同:ん〜。

竹村 ココロノアイとかが人気するんじゃないの?

吉田 いやぁ、しないでしょう。難しいですが、僕はダノングラシアスを本命にします。前走クールホタルビに負けたっていうのはありますけど、2戦目よりスタート出て競馬が上手くなっていますし、賞金を稼げたっていうのもありますし。

竹村 その前はコートシャルマンに完敗してたじゃない。

吉田 そうです。ただ、その時点での完成度が違いましたし、競馬も下手でした。

竹村 たしかに後ろから行って、内で包まれてモタモタしてたもんね。

吉田 上昇度はレース毎にあるでしょうし、阪神で馬場が良ければいいかなと思いますけどね。マンハッタンカフェなので、伸びしろに期待したいと思います。でも…、コートシャルマンも入れておいた方がいいかな。僕はダノンとシャルマンの2頭にしておきます。

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▲りんどう賞を勝利したコートシャルマン(内)、ダノン(外)はここも2着


竹村 コートシャルマンは、僕も絶対伸びると思う!

吉田 阪神外回りは走るハーツクライ産駒だし、絶対いいでしょうね。

安里 ここまで乗ってきた福永騎手がその日は香港になるので、ジョッキーがどうなるかが鍵だと思ってたけど、そこで川田騎手が空いてるんだもんね。やっぱりこの馬も有力馬の一頭になるね。

竹村 GIでは特にシビアになるよね。

安里 そう。勝ちきるか、いい競馬だけで終わるか。ほんの少しの着差でもそこには大きな差があると思います。僕は、ロカが出てこなかったらレッツゴードンキにします。

赤見 おぉ! レッツゴードンキの評価も結構高いですね。

安里 僕は夏札幌に滞在してたので、札幌組をひいき目に見てしまうんですけど、デビュー戦と札幌2歳Sの内容を踏まえて、マイルでは相当強いんじゃないかなと思っていたので。前走の負けは展開のあやなんでしょうけど、ただちょっと、思ったよりモタモタしてしまった。

竹村 たしかにね。まあでも、岩田ジョッキーは負けると思っていなかったんじゃない。たぶん、ここらで負けるような馬じゃないって思っていたと思うけどな。

安里 いろんなことで初物づくしだったし、まあ仕方ない。

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▲アルテミスSはココロノアイ(内)が勝利、レッツゴードンキ(外)はハナ差2着


吉田 今の完成度的には、たしかにレッツゴーの方が上かもしれない。ダノングラシアスは、完成するにはもうちょっとかかるのかもしれないですね。この前ようやくスタートが五分に出られたくらいなので。

竹村 で、結局あの位置になって、4、5列目のインからようやく抜けてきて。

吉田 岩田騎手だから、あそこからさばく自信があったんでしょうけど、小牧さん(クールホタルビ)に上手く寄られているらしいです。抜け出した小牧さんが、来そうなところに寄ったっていう。小牧さんの作戦勝ちだって、佐藤哲三さんが言っていましたけどね。

竹村 哲三さんはやっぱり見る角度が違うよなぁ。まあ僕は、レッツゴードンキで堅いと思います!

安里 いやいや、堅いとまでは(笑)。

竹村 えっ、散々「そうそうそう」みたいな雰囲気を出しておいて、ここで落とすっていう(苦笑)。

安里 いやいや(笑)、人に勧めるんだったらこの馬だけどね。馬券圏内は堅いということで。岩田騎手も香港なので浜中騎手に替わるけど、浜中騎手だったら大丈夫でしょうし。

竹村 ダノンがビュイック騎手、これもいいんじゃない? 結構ガッツリ乗ってくるタイプだし、むしろダノンはもうちょっと積極的に乗ってくれた方が。

吉田 そうそう。ふわっと乗るジョッキーより、動かしてくれた方がね。外国人は合うと思います。

安里 レッツゴーとダノン、岩田騎手が本当はどっちに乗りたかったっていうのは、聞いておかないといけないところでしょうね(笑)。

※次回は朝日杯FSの展望をお届けします。

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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