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週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

  • 2004年02月09日(月) 22時17分
 今シーズンの2歳馬市場の幕開けを飾る「OBS2歳セレクト・トレーニングセール」が、2月3日にフロリダのコールダー競馬場で行われ、総売り上げが前年比19.9%アップの1,526万ドル、平均価格が前年比25.2%アップでセール史上のレコードとなる136,304ドルを記録するという活況に終わった。

 アメリカの経済は持ち直しつつあると言われているが、まずはそんな一般景気を反映する結果になったと言えよう。

 ただしバイバック・レートは、前年の29.5%から33.7%に上昇。更に中間価格の伸びが、平均価格の伸びを下廻る16.7%増にとどまったことから、必ずしも関係者が一様に諸手を上げて喜べるようなヘルシーなマーケットではなかったようだ。

 現地に出向いていないので推測するしかないのだが、おそらくは、上場馬の質にバラつきがあったのだと思う。御承知のごとく、今年の2歳世代は繁殖牝馬の早期流産が頻発したMRLS(Mare Reproductive Loss Syndrome)の直撃を受けており、特に早生まれの産駒が少ないと言われている世代だ。従って、2歳セール・サーキットの口火を切る形で行われるこの市場に向けて仕上げるべき早熟タイプの産駒数も少ないはずで、主催者OBSやコンサイナー・サイドは馬集めに例年以上の困難を伴ったことが予想されるのだ。カタログには仕上げに無理のある上場馬も含まれていたはずで、その辺りが上場馬の1/3以上が主取りとなった原因があるように思う。

 もっとも、そんな市井の細々した動静とは無縁のトップエンドのマーケットは過熱。昨年のこのセールにおける最高価格馬チャペルロイヤルが重賞勝馬となった事もあって、上質馬を巡る攻防はおおいに盛り上がった。

 最高価格は、セール終盤に登場した上場番号195番(父ワイルドラッシュ・母フルーデヌー)の牡馬。OBSセール史上のレコードプライスとなる160万ドルで、シェイク・モハメドの代理人ジョン・ファーガソン氏が購入した。牝系にコレといったセールスポイントのない馬だけに、1F=10.4秒を出した1回目の追い切りの動きがよほど目についたのだろう。父は、今春から日本で供用されている種牡馬で、シンジケート・メンバーにとってはまたとない朗報となった。

 日本人によると見られる購買は3頭。15万ドルで購買された上場番号100番(父シーオヴシークレッツ・母ティーヴィージングルス)の牡馬は、2歳重賞ジョッキークラブS勝馬テレヴィジョンスタジオの甥。1回目の公開調教で1F=10.4秒の時計を出している。

 上場番号203番(父スウォードダンス・母ホールドザドリーム)の牝馬は、兄姉に8頭の勝馬がいる「堅実ファミリー」の出身。上場番号169番(父プリサイスエンド・母デフィニション)の牡馬は、2回目の公開調教で2F=21.8秒という好時計をマークした馬だ。

 昨年のこのセールにおける唯一の日本人購買馬ナカヤマバスターが活躍しているだけに、POG戦略の上でも見逃せない馬たちと言えるだろう。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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