
ユーザーの鋭い指摘にドキッ…
チャンピオンズCは見せ場十分の2着!ナムラビクターは 8番人気と低評価でしたが、小牧さんの手応え通り、通用の力を見せてくれました。レース回顧はいずれたっぷりと伺うとして、今回はユーザーからの質問に答えるかたちで、奇しくも今季のワーストレースが判明。はたして、「またひとつ勉強になった」と語るそのレースとは!?
(取材・文/不破由妃子)
人間が必要以上に力んだら絶対にアカン!
──少し前のレースになりますが、シングウィズジョイで6着だったアルテミスSについて、こんな質問がきています。「レース後のコメントで、『スタートが良すぎました。もう少し流して乗るべきだった』とありました。3コーナーを回るあたりまで終始折り合えていなかったように見えましたが、流れに乗って前で競馬をするよりも、抑えて後ろに下げることを選択したということですか?」という質問です。
小牧 あ~、あれはねぇ…、今季最悪なレースや。あの一戦で、またちょっと勉強になりましたわ。
──どういった点で?
小牧 あんまり考えすぎたらアカンなと。変に力んでしまってね。関東に行ったときって、いつも1頭か2頭の騎乗でしょう。だから、いつも以上にというか、変に集中してしまうんですわ。それがかえってダメなんやなって。競馬はやっぱり馬が走るんであって、いい意味で気楽に乗っとかなアカンわ。こちらの想像以上に強い勝ち方をするときもあれば、強い馬でも負けるときは負ける。あのレースで、またひとつ学びましたわ。
──考えすぎてしまったとは、具体的にどのあたりで?
小牧 なんで下げたんかなと思って。あれだけいいスタートを切って、1馬身抜けたのにね。
──そこは私もお聞きしたいと思っていました。
小牧 先頭に立ったら遊ぶところがあるし、もともと後ろからゆっくり行きたいなと思っていたのもあって…。でも、今思うと、なんで下げたんかな。あのまま行っていたらいいのにね。あれは結果的にミスです。無理に下げたもんやから、馬とケンカになってしまって。
──なるほど。いったん下げて、そこからまた徐々に位置取りが後ろになりましたよね。
小牧 そうそう。あれはもう、ホンマに最悪やね。
──確かあの日の騎乗は、9Rの河口湖特別とアルテミスSの2鞍で、河口湖特別をオビーディエント(7番人気)で勝利されたんですよね。
小牧 そうや、あそこで勝ったからアカンのや(笑)。その日の流れが良かったもんやから、次も勝てるんちゃうかと思って余計に力んでしまったのかも。
──小牧さんほどのベテランでも、そういうことってあるんですね。
小牧 頭のなかでイメージした通り、大事に乗ろうと思った結果、ああなってしまった。型にハマったレースをしようと思ってしまったのが間違いやね。もし人気がなかったら、あのままスーッと前に行ってたと思う。なんせ生き物やからね。スタートがいいときも悪いときもあるわけで、無理に下げようとしたりしたらダメなんや。ただ、あの競馬で結果が出たら、それが正解になるわけで。そこが競馬の難しいところやね。
──確かに。正解がひとつとは限りませんしね。
小牧 そうやねぇ…。ただ、あのレースに関しては、結果的に6着に負けたわけやから、あそこで下げたから負けたんやなぁと思った。レース後はホンマにがっくりきましたわ。人間が必要以上に力んだら絶対にアカン。
──大事なレースが続きますから、気楽に…というのもなかなか難しそうではありますが(取材は11月の中旬です)。
小牧 だから! 大事なレースって思ったらアカンのやて! ここで負けたらどうのこうのとか、そういうことは一切考えないで乗っていこうと思ってます。命取られるわけやないんやし…ってなくらいにね(笑)。
──だんだん安藤(勝己)さんの境地に近づいてきましたね。
小牧 あれくらいじゃないと、ホンマはアカンねんな。いい馬に乗れば乗るほど。
──安藤さんは、「勝とうと思ったらいけないんだ」ってよくおっしゃってました。
小牧 そうそう。そう思えば思うほどジョッキーの気負いが馬に伝わって、馬にとっては結果的にマイナスになるからね。そのあたり、馬は本当に敏感やから。気楽に乗るっていうのは、そういう意味。ファンの人に誤解してほしくないけど、決して手を抜くのとは違うよ。
──そうですよね。それが真理だと思います。
小牧 この秋は、ワールドエースとかレッドアリオンとか、ここを勝って次のGIに向かいたいなぁと思う馬が続いたからね。それらがことごとくダメやったから、余計に力んでしまったのかも。まぁこれからはあんまり考えんように、自然に乗っていきますわ。

ここを勝って次のGIに向かいたいなぁと思う馬が続いたからね。それらがことごとくダメやったから、余計に力んでしまったのかも
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「ジョッキーによってはムチを何本も持っていて、馬によって使い分けたりしているそうですが、小牧さんは何本常備しているのですか?」というユーザーからの質問をきっかけに、馬具へのこだわりをじっくりと語ります。