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レース展望記者座談会『新装朝日杯FS、ダービーにつながる一戦に!』

  • 2014年12月14日(日) 16時00分
おじゃ馬します!

▲アッシュゴールドも出走!注目の朝日杯FSを馬サブロー記者軍団が斬ります


今週も馬サブローの人気記者をお迎えしての展望座談会。今回は、中山から阪神に舞台を移す新装・朝日杯FSです。阪神JFも2006年から、内回りから外回りに変更したところ、オークスに直結したという実績が。それだけに同じ阪神外回りになる朝日杯も、ダービーにつながる一戦になると言います。オルフェーヴルの全弟アッシュゴールドも出走する注目のレース。各前哨戦の評価と、狙い馬とは。

(出演メンバー:竹村浩行記者、安里真一記者、吉田順一記者、森岡健一郎記者、司会:赤見千尋)


前哨戦のレベルは京王杯よりデイリー杯


安里 今年の朝日杯は何と言っても、舞台が変わるのが一番大きいでしょうね。

吉田 中山のマイルから阪神のマイルに変わるとなれば、それはもう力勝負が堪能できます。

安里 まぎれがなくなるっていう点では、予想する側としたら楽ですね。

竹村 すごく組み立てやすくなるし、これまでの朝日杯に比べると、将来的にはダービーにつながってくるだろうね。朝日杯からダービーを勝った馬って、少なくとも過去20年は出ていない。逆に、阪神JFが外回りになってからオークスがどうかって言ったら、ブエナビスタは別格としても、トールポピーやアパパネが勝ってるわけだし、ウオッカなんてダービー勝ったしね。

吉田 阪神のマイルで勝てば、その後もGIを勝つ馬は出て来ると思いますよね。でもね、(翌週の中山の)ホープフルSって、GIIなのに1着賞金が6500万円もあるんですよ。

森岡 そう、高いんですよね。で、GIの朝日杯が7000万円ですもんね。

吉田 そうそう。なんでGIとGIIで500万しか差がないんだって。それは関東馬からしたら、わざわざリスクを犯して阪神まで来ないで、ホープフルSに向いますよね。

竹村 たしかに関東馬目線からしたらそうだけど、関西馬からしたら毎年馬場が荒れ気味の中山遠征の方がリスクは高いでしょ。まあ、2000m以下は使いたくないって言うなら話は別だけど。あくまでもダービーに間に合わせようという考え方なら、朝日杯を選ぶ陣営も結構いるんじゃないかな。外回りだからゆったり運べるし、先を見据えた競馬もできるだろうし。

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▲今回の座談会で登場する主な馬の近3走成績


赤見 阪神の外回りになるっていうところで、気になる馬はいますか? 京王杯2歳Sを勝ったセカンドテーブルとかは?

森岡 阪神の坂でも、軽い芝だったらこなせる感じですよね。

安里 外回りだから、またドスローで行ったっきりになればね。ただ、最近の馬場って内しか伸びないパターンも多いでしょ。こないだの京都最終週も、雨が降ったら急に傾向変わったもんね。

吉田 暮れは洋芝がメインになってきて、1回雨が降ったら結構悪くはなっちゃうんですよね。だけど、最終週だけ傾向が変わるのは、やめてほしいですよね。時計も遅い遅い。だから京都2歳Sでティルナノーグ負けたんですよ。

竹村 ティルナノーグのあの負けっぷりはショックだったわ…。

吉田 僕もショックでした。っていうか、あれはみんなショックでしょう。(レースを見ていた)佐藤哲三さんも「グリップが効かなかった」って言ってました。「いずれは効いて来るけど、初めてで効かなかった」って。

安里 まあでも、前哨戦としては京王杯とデイリー杯だったら、レベル的にはデイリー杯の方が上だろうね。

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▲デイリー杯を勝利したタガノエスプレッソ(左)と2着のアッシュゴールド(右)


吉田 人気はたしかにデイリー杯ですよね。2着でしたけど、アッシュゴールドが多分人気するんでしょうし。この時、パドックで大暴れしてすごかったんですよ。「テンション高い、高い」ってみんなで言ってたんですけど、それであんなに走っちゃうんだから…。あの競馬でちょっと、あの馬の力を見直しましたもん。

安里 何て言うか、走り方がいい! 「うわっ、これは走るわ!」みたいな迫力を感じる。

吉田 坂路で調教してる時も完歩がブレないんですよ。トモや腰がわりとしっかりしてるんでしょうね。

安里 まだまだ様子を見ながらという感じでこれからだろうけど、オルフェーヴルもこの時期は若さがあふれていたから。オルフェはスプリングSぐらいから一気に重厚感のある走りに変わった。あの頃のオルフェより、今のアッシュの方が絶対走ってるし。

吉田 ということは、結構大物になる可能性はあるということですね。この血統だから、もうちょっと長い目で見ておかないといけないですね。

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▲吉田「結構大物になる可能性はあるということですね」


安里 ここでアッシュに勝ったタガノエスプレッソも、結構強いと思う。2戦目の未勝利戦で、ブラックバードに負けたんだけど、あの時に「こいつ、すげぇ走るな」と思った。

森岡 新潟の新馬使って2戦目で、外回って追い込んでの2着だったやつですよね?

安里 そうそう。そこから本命本命で狙って、期待通りの走り。もちろん、デイリー杯も当たってるんですけどねっ!!

竹村 ……ん? あっ、ごめんごめん。聞き逃してしまったわ(笑)。

赤見 じゃあ朝日杯でも本命に?

安里 いや、本命とまでは…。なんせ朝日杯は岩田騎手が乗れなくて、菱田騎手が乗るでしょう? デイリー杯は道中ぶつけられたところで馬がエキサイトしてしまったけど、なんとか岩田騎手が我慢させて。さすがの騎乗だった。この乗り替わりがどう出るか。売り出し中の菱田騎手がチャンスをつかめるかだね。

吉田 たしかにね。若干持ってかれ気味になるところもありますし。

竹村 タガノエスプレッソには反省させられたけどね。みんなあの時、結構高い評価(予想)してたけど、「ホンマに強いんか?」って腹の中では思ってた。無印にしてた自分が恥ずかしかったわ(笑)。

森岡 だって竹村さんは、アルマワイオリに気がありましたもんね!

竹村 あれはもう散々だった。抑えが利かなくて、競馬になってなかったもんね。本当はもっと走れるんだろうけど。

吉田 ナヴィオンも物足りなかったですね。あの馬は何と言うか…、巻き返してくるイメージがわかない。少しレースぶりがチグハグになったとはいえ、もうちょっと見どころがあってもよかったと思うし。結局はあの程度なのかもなって。

安里 ああ、それは思う。正直なところ、そんなもん? って思ってしまったね。

赤見 東スポ杯組はどうですか?

吉田 基本的には使わないでしょう。1800mを使ったら、1600mにはなかなか戻さないと思います。勝ったサトノクラウンも使わないですしね。

竹村 あの東スポ杯は競馬としても参考外。詰まった馬とか力を出し切れていない馬が結構いたんですよ。

安里 ムーア騎手の上手さが光った競馬だったなぁ。ムーア騎手のいくところって、きっちりと前が開くもんね。それに、開いたときのトップスピードまでが速いこと。

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▲安里「東スポ杯はムーア騎手の上手さが光った競馬だった」


吉田 ジョッキーの癖とか見抜くんじゃないですか?「この騎手は右ムチ打ったらこっちが開く」とか。

竹村 しかもあの時、ゲートで3回ぐらい立ち上がったのに、まともに競馬をしてきっちり勝った。本当だったら1戦1勝の馬だし、後ろからソロ〜っと回って行こうっていうのもありだったと思うのに。あれはすごいね。

初戦は度外視、ここ2戦で“さすが”の競馬


赤見 ここまで前哨戦を中心に検討してきましたが、狙いたい馬を教えてください。

吉田 僕はアッシュゴールドで行きます。

安里 僕もアッシュゴールドだな。ただ、人気するでしょう?

森岡 1番人気でしょうね。

吉田 1番人気なのに、阪神で輸送が長くなって、もっと暴れるかもしれない。ただ、能力的にはやっぱりこのメンバーでも1番だと思います。

安里 初戦はソエとか体質の弱さがあったもので度外視できるし、ここ2戦で“さすがだな”っていうところは見せてる。ただ、ここ2回は揉まれる競馬をしてない。その点は、気性が気性なだけに危ういのかなとも思うけど。あとはブライトエンブレムも、相当強いと思うな。

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▲現在2戦2勝、札幌2歳Sの覇者ブライトエンブレム(写真は新馬戦優勝時)


森岡 あれ、強いですよね。札幌2歳Sであんな競馬になるなんて。普通はまず勝てないですよね。

安里 勝てないでしょう。札幌であの位置から動いて、あれだけ大外回って差し切るなんて能力が抜けていないと。ただ、あれ以来の久しぶりの競馬になるっていうところは気になる。さすがにGIをぶっつけとなるとね。

竹村 僕はクラリティスカイかな。差し一辺倒だったけど前回のいちょうSは好位から運んで結果を出した。ここにきてグッと競馬に幅が出たよね。本当は同じ前走に出走していたサトノフラム(10着)が2歳牡馬の中でもナンバーワンかなと思ってたけど、キャリアの浅さが出たのか完敗だった。クラリティスカイはクロフネ産駒にしては決め手が鋭いし、まだまだ奥が深いよ、この馬。

森岡 クロフネサプライズとかも、結構走ってましたけど?

竹村 サプライズはさ、じわじわっとスピードの持続型でクロフネっぽいじゃない。そう考えると、クラリティスカイは切れるよ。それにこの時期の阪神って、ある程度のスピードと切れだけじゃ押し切れないような馬場になりやすいので、パワーもあるし、この馬はいいかもしれないよ。

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▲いちょうSを勝ったクロフネ産駒のクラリティスカイにも注目


安里 それこそ、岩田騎手がさっきのタガノに替わってこっちに乗るというのも注目な点だからね。いちょうS組では2着だったネオルミエールも強いと思うけど。

竹村 そうそう。僕もネオルミエールはかなり力を持ってるんじゃないかなと思ってる。初戦でクラージュシチーに勝った時、追い出してからのフォームなんて、沈むようですごかったでしょう。この馬はもう1戦見てみたいなっていうのがあるな。

安里 いちょうSは位置取りの差であって、力負けではないと思うけどね。ということでそろそろ話をまとめると、アッシュゴールド、タガノエスプレッソ、クラリティスカイ、ネオルミエール、一発あるんだったらブライトエンブレムあたりか。

森岡 そうですね。挙げるならその辺ですね。(つづく)

※次週は有馬記念の展望をお届します!

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▲出演メンバー(左上)竹村浩行記者(右上)安里真一記者(左下)森岡健一郎記者(右下)吉田順一記者

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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