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女傑メイショウバトラーの初子メイショウタラチネ

  • 2014年12月17日(水) 12時00分
サンマルアリュール(牝 栗東・大橋勇樹 父ゴールドアリュール、母ミスサイベリア)
 現準OPのサンマルクイーン(父ダイワメジャー)の4分の3妹。2代母Miss Tobaccoはアメリカ産馬ながらドイツで走り、オスターマンポカル(独G3・芝1600m)を勝った。「ゴールドアリュール×Giant's Causeway×フォーティナイナー」という配合は硬質で、芝よりもダート向きの適性を感じさせるが、本馬はNureyev=Lisaleen 3×3というユニークな同血クロスを持つので、芝適性もそれなりにあるかもしれない。ただ、その場合も若干時計の掛かる馬場のほうがいいだろう。洋芝では強そうだ。距離はマイル前後がベスト。

シュートオフ(牡 美浦・杉浦宏昭 父パイロ、母タシロスプリング)
 母タシロスプリングはファンタジーS(GIII)の勝ち馬。これまでにJRAで走った産駒は5頭中4頭が勝ち上がるという堅実ぶりで、トーセングラマー(父クロフネ)は3勝、カレンコティヤール(父ディープスカイ)は2勝を挙げている。後者は現時点でディープスカイ産駒のなかで最も多くの賞金を稼いだ馬となっている。父パイロはアメリカ産の輸入種牡馬で、父系はPulpitを経てA.P.Indyにさかのぼり、現役時代はフォアゴーS(米G1)を制したほか、ブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)2着、シャンペンS(米G1)2着などの成績を残した一流馬だった。典型的なダート血統ながら代表産駒のシゲルカガは芝でも実績を残している。母タシロスプリングは芝馬ながら「マルゼンスキー×フォーティナイナー」というダートテイストを感じさせる血だったので、本馬はダート向きに出るのではないかと思われる。Mr.Prospector 4×4で全体的に一本調子なところがあるので、1400mあたりが向いていると思われる。

パドパピヨン(牝 栗東・鮫島一歩 父スウェプトオーヴァーボード、母グランパドドゥ)
 キーンランドC(GIII)をレコード勝ちするなど芝短距離で3つの重賞を制したパドトロワの全妹。母グランパドドゥは現役時代に中日新聞杯(GIII)を逃げ切っている。決して短距離向きではなく、やや鋭さに欠ける中距離馬といったキャラクターだった。母の父フジキセキはサンデーサイレンス産駒の種牡馬のなかでは唯一といっていいほど芝短距離に高い適性を示し、ファイングレイン、キンシャサノキセキという2頭のGI馬を含め、テンシノキセキ、アルティマトゥーレ、ストレイトガール、ビーナスライン、デグラーティア、トーホウアマポーラ、タマモホットプレイと9頭のスプリント重賞勝ち馬を送り出した。フジキセキ産駒の母に一本調子のスウェプトオーヴァーボードを交配したことで、それまで眠っていたフジキセキの資質“スプリント戦に対する高い適応力”が目覚めたと思われる兄同様の活躍を期待したい。

マイネルネーベル(牡 栗東・五十嵐忠男 父キングカメハメハ、母マイネレーツェル)
 母マイネレーツェルはフィリーズレビュー(GII)、ローズS(GII)の勝ち馬。4歳以降は不振だったが、3歳までは一流といえる成績を残し、エリザベス女王杯(GI)でも4着と健闘している。本馬が初子。父キングカメハメハはオールマイティーに活躍馬を出している名種牡馬で、マイネレーツェルが相手なら産駒は芝向きの中距離タイプとなるだろう。「母の父ステイゴールド」はクリスマス(13年函館2歳S-GIII)を出している。同馬の父バゴは、母が「Nureyev×Mr.Prospector」という組み合わせ。本馬の父キングカメハメハは、その父Kingmamboが「Mr.Prospector×Nureyev」という配合なので両者には共通点がある。父キングカメハメハは比較的気性面が安定しているタイプなので、ステイゴールドの気性の悪さを抑えられるのではないか。

メイショウタラチネ(牝 栗東・高橋義忠 父メイショウボーラー、母メイショウバトラー)
 母メイショウバトラーは10歳の暮れまで走り、通算で6億円以上の賞金を稼ぎ出した女傑。小倉大賞典(GIII)、プロキオンS(GIII)、シリウスS(GIII)、マリーンC(JpnIII)2回など重賞タイトルは「10」の大台に達した。11歳の春から生まれ故郷である静内の三木田明仁牧場で繁殖生活に入り、同馬主で1歳年下のメイショウボーラーと交配。翌春誕生した初子が本馬。父母ともに芝・ダート双方の重賞を勝ち、多くのレースをつかいながらタフに活躍したので、おそらく本馬も似たようなタイプになるだろう。「メイショウボーラー×メイショウホムラ×ダイナガリバー」という配合を見ると、どちらかといえばダートのほうが良さそうだ。距離は1600〜1800mあたりが合っている。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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