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アデラのVが証明した美浦坂路の進化/トレセン発秘話

  • 2014年12月18日(木) 18時00分


◆今秋のGIを制した関東馬3頭はいずれも坂路調教馬

 先週の阪神JFは関東馬ショウナンアデラがゴール前で鮮やかな伸び脚を発揮して快勝。関東からの2歳女王誕生は、来年以降の美浦を活性化させる意味でも喜ばしいトピックスだった。

 もっとも個人的な立場で言えば、ショウナンアデラがヌケ(無印)というさんたんたる予想。ブレーキを踏ませたのは、追い切りが直前の坂路1本のみという臨戦過程…。体質の弱さを抱える現状でタフな阪神マイルをこなすのは難しいと判断したのだが、秘める素質は当方の稚拙な見立てをはるかに上回っていたということになる。

 ただ一方で、先週の結果を踏まえ改めて思う。もはや美浦坂路こそ侮れず、と。以前なら4ハロン50秒切り、ラスト1ハロン11秒台がザラにあったが、その様相が一変したのが馬場整備を工夫した今春から。ソフトな馬場はかかる負荷を大幅に強化し、降雨の影響を受けた際は4ハロン57秒が水準という“走りにくい”環境をつくり上げた。「この馬場、時計では仕上がり度合いが見えないから使えない」と坂路から撤退宣言するトレーナーも出たほどだ。

 しかし“劇薬”こそ使い方次第で抜群の効能を発揮する。今秋のGIを制したスノードラゴン、スピルバーグなど関東馬3頭は、いずれも坂路調教を主体とする組。以前なら「坂路でしかできない」(蛯名)ショウナンアデラのような関東馬がGIを勝つことなど考えられなかっただけに、坂路コースがそれだけ“本質”に近づいた証明ともいえよう。

「稽古駆けする馬の時計を見れば、その日の坂路の馬場状態がある程度は把握できる。だから、まだ力のない馬は後半の組に回して、馬場が重い時は上がり重点で行うのもひとつの手」と語るのはスノードラゴンを管理する高木調教師。自身で尺度さえ持てれば幅広い用途が可能であり、時計が出にくいだけに人気の盲点になる“貴重な”コースでもある。GI戦線に限らず、今後もその効果に注目して損はなかろう。
 (美浦の宴会野郎・山村隆司)

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