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ディープインパクト産と角居厩舎と池江厩舎との接近遭遇と金杯の牝馬

  • 2015年01月02日(金) 12時00分


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2015はじまりの雑感・1 ディープインパクトとの接近遭遇
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去年の1回目のコラムは「はじまりはディープインパクト産との第3種接近遭遇」だった。
要は、重賞でディープインパクト産がますます席捲するはずだから、ディープインパクト産を中心に予想を組み立てれば、笑いが止まらなくなる!! と言いたかったわけだ。
実際、ディープインパクト産は勝ちまくった!

しかし、はじまりはディープインパクト産でも、おしまいのおしまいは違うだろう。おしまいのおしまいとはもちろん有馬記念のことだ。だから、ここはハーツクライ! そう思ったら、おしまいまでディープインパクトに決められた! おしまいの3重賞(阪神C・ホープフルS・有馬記念)すべてでディープ産という圧倒的なおまけ付きだった。

第3種接近遭遇とは、ハイネック博士の提唱するところの「空飛ぶ円盤の乗組員と接触する」行為のことだ。つまり自分は空飛ぶ種牡馬ディープインパクトと分かり合えなかったというわけだ。阪神JF、朝日杯FSで、分かり合えたつもりだったけれど、どうやらカン違いだったようだ。分かり合えたのはディープインパクトではなく、蛯名騎手だったのかもしれない。おっと、すいません。それも言いすぎました。自分はまだ蛯名騎手のこともこれっぽっちもわかっちゃいません。

とにかく、去年は意識的に多めにディープインパクト産について触れたつもりだけど、すべては第3種接近遭遇(馬券的超接触)するためだった。
何回か成功したこともあるにはあった。しかし、ただの第1種接近遭遇(至近距離からの目撃)で終わってしまった感いっぱいだ。やはり最終週に着地しきれなかったダメージ、いやイメージは大きい。
週単位で一喜一憂しても、勝ち負けの判定はもっと長いスパンで捉えるべきだろう。それはわかっている。けれど、はじまりのはじまり(金杯)や、はじまりのおしまい(ダービー)や、おしまいのおしまい(有馬)といった節目では、ディープインパクト産が勝とうが負けようがやっぱりきっちり着地したいんであります。

にしても、去年もディープインパクト産は走りに走った。
以下は、去年(2014年)までのディープインパクト産の重賞成績。

10年 1-2-3-10 勝率6.3% 連対率18.8% 複勝率37.5
11年 8-7-11-73 勝率8.1% 連対率15.2% 複勝率26.3%
12年 18-25-23-99 勝率10.9% 連対率26.1% 複勝率40.0%
13年 19-20-19-118 勝率10.8% 連対率22.2% 複勝率33.0%
14年 37‐29-21-167 勝率14.5% 連対率25.9% 複勝率34.2%

10年 単回収率 43% 複勝回収率101%
11年 単回収率 65% 複勝回収率68%
12年 単回収率 48% 複勝回収率91%
13年 単回収率 84% 複勝回収率98%
14年 単回収率 101% 複勝回収率82%

13年(174頭出走)より約1.5倍の出走数(254頭)なのに、さらに成績を上げた。単回収率はついに100%を超えた。
136重賞中、37重賞で勝利。4回に1回以上勝ったことになる。

今まで複勝値が高かったのに単勝値の方が高くなった。2着・3着より1着の数が多い。名手にありがちな着成績になりつつある。つまり数値的にも名種牡馬になりつつあるってことだ(今さらだけど)。
ますます、ますますもって無視できなくなった。

ただ、この成績でいながら、ストライクゾーンが特別広いとも思えない。苦手なコースもまだまだいっぱいある。それでも勝ち星を量産するのは、得意なコースでは問答無用にホームランをかっ飛ばすからだ。そこがすごい。
ちなみに、去年はダート重賞では3着以内もなかった(0-0-0-4)し、そもそも出走そのものが少なかった。産駒デビュー5年で重賞を83勝しているけれど、芝82勝で、ダートは1勝だ(レパードSのボレアス)。だからダートは苦手に思えるけれど、これだってまだわからない。本当はダートの逸材がいたとしても、使う側としてはどうしたって芝を使いたくなるはずだからだ。つまり今後ダートで強い馬が出てくる余地はいっぱいあるわけだ。なんせまだちゃんと試されてないのだから。

まだまだ、まだまだ、まだまだ粗削りでスキだらけの名種牡馬に思える。だからこそ、恐ろしいし、だからこそ第3種接近遭遇しておかないとヤバイと思うわけだ。

ちなみに、
京都金杯の行われる京都・芝1600の2014の重賞成績は、
5-4-1-6
勝率31.3% 連対率56.3% 複勝率62.5%

なんの説明もいらないディープインパクト産の超ホームラン・コースだ。
京都のマイル重賞は全部で6レースあって、5レースで勝った(逃した1レースは2歳のデイリー杯で、ディープ産の出走はなし。出てれば、京都マイルのグランドスラムが達成された可能性は大きい)。
その頂点のレースがマイルチャンピオンシップで、1・2・4・5着で掲示板をほぼ独占した。

「ディープ産の牡馬は、3歳春まではダービーを目指し、その後はマイルチャンピオンシップを目指す」
そう思ったものだけど、あながち言い過ぎとも思えない。

登録ディープインパクト産
アーデント 56 加藤征厩舎(回避予定)
エキストラエンド 57 角居厩舎

中山金杯の行われる中山・芝2000の重賞成績は、
1-0-3-9
勝率7.6% 連対率7.6% 複勝率30.7%

京都金杯と比べると、雲泥の差だ。でも、登録数は京都金杯より多い。

登録ディープインパクト産
アーデント 56 加藤征厩舎(回避予定)
クランモンタナ 55 音無厩舎
パッションダンス 56 友道厩舎
ムーンリットレイク 56 加藤征厩舎(回避予定)

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2015はじまりの雑感・2 角居・池江厩舎との接近遭遇
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厩舎の厚みに差があることを改めて、そしてますます感じる2014年でもあった。

たとえば、ジャパンカップ。
このコラムで、角居・池江・松田博厩舎の3厩舎の馬から買えば2連レベルで当たる
と書いたけど、勝ったのは角居厩舎のエピファネイアだった。

たとえば、有馬記念。
このコラムで、池江厩舎は5年連続で馬券圏内に馬を送り込んでいる、それも1人気から人気薄までと書いたけど、今年も2着に人気薄を送り込んだ。これで6年連続だ。

春は3歳のクラシックを中心に競馬が回るから、角居・池江厩舎の分厚さはそれほど目立たないけれど、秋は古馬中心に替わるから、厩舎の厚みがダイレクトに出て、わかりやすい。
両厩舎のG1での2頭出し、3頭出しはもはや当たり前の定番だ。定番の定食だ。しょうが焼きとハンバーグ、メインが2種類ある定食みたいにも思えるし、メイン1種類に小鉢が何品も付いてくる定食にも思える。

昔は「2頭出しは人気薄を狙え」などという格言があったけれど、この2厩舎に関しては「2頭出し=人気薄」がどうこうではない。人気馬が来るときもあれば、人気薄が来るときもある。むしろレースの流れ、馬の脚質、枠番、馬場などで、向いた馬が好走するような感じだ(もちろん、本勝負の馬と調整出走の馬が同居しているだろうけど、ここでは割愛)。

この2調教師の描くビジョンを知る由もないけれど、どう見ても道半ばであって、フィニッシュを迎えつつあるようには思えない。たとえ新興勢力の台頭があったとしても、この2厩舎は今年も揺るがないのではないか。だからこの秋も角居厩舎と池江厩舎に接近遭遇できれば、それなりに的中率は上がり、ときどき物凄くいい思いができるはずだ。
ああ〜どんなタッチでどんな絵を思い描いているのだろう? 水彩画かな? いやニギニギしい油絵に決まっている。
題材はロンのシャンかな? アスのコットかな? メイのダンかな? チャーチルのダウンズかな? こういう絵は遠い場所、もしくは高い場所であってほしいものだ。ワハー。

というわけで、
今年も、いや今年こそ、ディープインパクト産と角居厩舎&池江厩舎を人気でも、人気薄でもナイガシロにしないように自分に言い聞かせてみた。

その角居厩舎と池江厩舎の馬が金杯に登録されている。

京都金杯
エキストラエンド 福永 57
フルーキー    岩田 56

中山金杯
ラブリーデイ   ベリー 57

エキストラエンドは去年の覇者で、ディープインパクト産で、もうそれだけでこわい。問題はハンデ57か。去年は55だった。
フルーキーは鞍上・岩田で、それだけで恐ろしい。岩田騎手と四位騎手は京都金杯ジョッキー(4年前、3年前のコラムにて)で、迷ったらこの二人に注目だけど、直近は岩田騎手が安定している。

03年 四位1着 3人気
04年 四位3着 6人気
05年 四位3着 6人気
06年 岩田3着 9人気
07年 岩田3着 2人気
08年 岩田1着 3人気
09年 四位3着 2人気
10年 岩田1着 5人気
11年 岩田3着 2人気
12年 
13年 岩田2着 6人気
14年 岩田3着 5人気(※四位・中山金杯3着1人気)

この12年で二人そろって、馬券圏外に敗れたのは12年のみ(岩田1人気5着・四位12人気12着)。1人気、10人気以下だと疑うべきという判定だった。

フルーキーは現在予想1人気、エキストラエンドは予想3人気。
過去からは予想1人気のフルーキーは買いにくいけれど、角居厩舎が前走のチャレンジCを2着させた主戦の浜中ではなく、岩田で臨む今回はひじょうに気になる。過去の角居厩舎歴では、これは絶対勝ち負けの非情の鞍上強化パターンに思えるからだ。
今回のフルーキー=岩田には、ぜがひでも賞金加算したいというメッセージが込められていそうだ。

京都Aコースといえば、もはやすっかりおなじみの芝内枠大注目コースだけど、仮に内枠に入らなくてもなんとかしてもらうための岩田にも思える。

去年は、オーシャンブルーを金鯱賞→中山金杯で1着させた池江厩舎が、今年はラブリーデイを中山金杯に出走させる。もちろん金鯱賞→中山金杯。これだけで怖い。
しかも鞍上は去年オーシャンブルーを1着に持ってきて、一昨年もアドマイヤタイシ(橋田厩舎)を2着に持ってきたベリー。
準備に関しては万端に思える!

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金杯の骨格
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京都金杯 角居厩舎の2騎
フルーキー ★★ 内枠でなくても大丈夫にするための岩田と解釈。
エキストラエンド ★ ディープインパクト

中山金杯 池江厩舎の1騎
ラブリーデイ ★★ 中山0-0-0-2だけど、圏外2回は皐月賞と有馬記念(3歳以降)。G3のハンデ57なら大丈夫と解釈。
ロゴタイプ  ★ Mデムーロの呪いをCデムーロで解く。中山記念で3着あり。

角居厩舎の2騎と池江厩舎のベリー騎乗馬とCデムーロ騎乗のロゴタイプを人気でもナイガシロにしないぞ! 

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金杯の注目馬
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今年は牝馬に注目している。
京都金杯も中山金杯も牝馬の活躍の少ないレースだ。
過去10年で馬券圏内に入った牝馬は、
京都金杯 3頭 オール3着
中山金杯 1頭 2着
これしかいない。

そもそも牝馬の出走が少ないのが金杯で、この10年でも、
京都金杯 21頭出走 0-0-3-18
中山金杯 9頭出走で、0-1-0-8

ただし、望みがないわけではない。馬券圏内に入った牝馬4頭はすべて53キロだった。

53キロで出走した馬の成績
京都金杯 0-0-3-4
中山金杯 0-1-0-2

53キロの牝馬が必ずしも馬券圏内に入るわけではないけれど、53キロが一番馬券圏内に入りやすいとは言える。
馬券圏内に入った馬は6人気2頭、10人気1頭、13人気1頭。
人気がないのならば、検討してみたくなる。

京都金杯の53キロ牝馬
ホウライアキコ 予想8人気

中山金杯の53キロ牝馬
アイスフォーリス 予想17人気

中山は登録馬が多いから、予想17人気なだけであって、出走馬が確定したらもっと人気になるのではないか? それだってせいぜい10人気くらいと見ている。

12月に中山の芝コースの全面改修が行われた。水はけがよくなって、雨が降っても馬場の回復が早くなったと言われている。
ジェンティルドンナの陣営は、中山の馬場が例年より荒れてなく、きれいな馬場だから有馬に出走させたとコメントしていた。
Aコース8日目でも、ジェンティルドンナは先行して、内から抜けだして勝った。
今週からCコースで、馬場はまだきれいな可能性大。
もしかしたら、今の馬場は牝馬にも優しいかもしれない。

それゆえに53キロの牝馬アイスフォーリスを狙ってみたいわけだ。

京都金杯の53キロ牝馬は、ほぼ50:50で狙えそうだから、ふつうにホウライアキコは拾える。
京都金杯注目馬
ホウライアキコ 53キロの牝馬で先行
アズマシャトル バルジューらしい

中山金杯注目馬
アイスフォーリス 53キロの牝馬だから
クランモンタナ 戸崎がどう乗るか興味津々だから

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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