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「関西復権」をこの2頭に託す/吉田竜作マル秘週報

  • 2015年01月07日(水) 18時00分


◆今回はクラシックに向けて個人的に楽しみにしているディープ産駒をピックアップ

 昨年はPOGの話だけでなく、競馬界全体が「ディープインパクトの底力」を思い知った一年だった。有馬記念で有終の美を飾ったジェンティルドンナ、中山大障害を制したレッドキングダム…挙げだしたらキリがない。もはや偉大な父サンデーサイレンスをも追い抜いたとしていいのではないか。

 特に2歳戦は「今年のディープ産駒は全体的に小粒」という厳しい声も聞こえていたのだが、暮れのGIで本領発揮。ショウナンアデラ(阪神JF)、ダノンプラチナ(朝日杯FS)がそれぞれ牝馬、牡馬の頂点に輝いた。阪神の芝外回り1600メートルはクラシックに結びつきやすいとされる舞台。こうした本格的なコース設定になればなるほど、サンデーからディープを経た血が熱くたぎるのだろう。2015年の3歳戦はこのディープ産駒2頭を中心に回ることは間違いあるまい。

 ただし“核”ができたとはいっても、春まで勢力図に大きな変化がないまま進むとは考えにくい。おそらくディープ産駒を倒す逸材もまたディープ産駒。というわけで今回はクラシックに向けて個人的に楽しみにしているディープ産駒をピックアップした。

 まず牝馬では皐月賞馬キャプテントゥーレの半妹コンテッサトゥーレを打倒ショウナンアデラの1番手に挙げたい。

 一般的にサンデー系の産駒につきまとうのがひづめの薄さとノドの弱さ。例えばジェンティルドンナ。有終Vを決めた後の引退式で日迫厩務員が「ひづめが薄くて苦労しました」としみじみ語っていた通りだ。と同時にノドの発育が遅れる馬も少なくない。このコンテッサトゥーレも例外ではなく、デビュー前はノドの弱さに悩まされた。

 昨春にトレセンに入厩したものの、「成長を促すために放牧へ出す」ことを安田調教師は決断。この時の「成長」とは馬体より呼吸器全般の発育を促す方にウエートが置かれた。ひと夏を越してから再入厩。「ホント、待って良かった」とは当時のトレーナーの弁だが、動きが見違えたのは記者のような素人にもハッキリとわかったほど。手脚の軽さはこの血統独特のものだが、稽古でもレースでも最後まで脚色が鈍らなくなったのは心肺機能が大幅に向上した証しだろう。

 11月24日の京都芝内1400メートル新馬戦(牝)を快勝した後は再度、放牧へ。「帰厩直後はまだ細く感じたが、やるたびに戻ってきています。これから予定通りに調教していけば、ちょうどいい状態に持っていけそう」と語る安田調教師が、新年初戦に照準を定めているのは紅梅S(18日=京都芝外1400メートル)。無傷の2連勝を決めるようなら、一気にショウナンアデラを脅かす存在として脚光を浴びることになる。

 牡馬では12月27日の阪神芝外1800メートル新馬戦を勝ち上がったリアルスティールを強調したい。

 ディープ産駒としては大型の部類に入るだけに、初戦はどうかと思っていたが…。498キロの馬体を持て余すようなこともなく、3馬身半差の圧勝デビュー。「早めに抜け出し過ぎたのは失敗だったかな」と鞍上の福永が振り返ったほどで、まさにレベルが違い過ぎた。「折り合いもつくし、とにかくセンスがいい。こういう馬をクラシックに乗せないと」と管理する矢作調教師もハッキリとダノンプラチナの背中を視界に入れている。

 こちらは若駒S(24日=京都芝内2000メートル)、またはGIII共同通信杯(2月15日=東京芝1800メートル)を次走候補にして調整中だ。

 2歳王者のタイトルは関東に持っていかれたが、「関西復権」をこの2頭に託してみたい。

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