2月18日大井「金盃」。コアレスハンターが横綱相撲で2連覇を飾った。道中2番手でスムーズに折り合い、完璧な先行抜け出し。ナイキゲルマンに1馬身差と意外に開かず、2000m2分6秒3も持ちタイム(昨暮れ大賞典2着時)より2秒遅いが、超スローから典型的な上がりの競馬。ひとまず必要十分のレースをしたと納得できる。

　「勝って当然。当然だけれど逆に乗る方は辛いですね」と内田博騎手。先週(2月20日)終了時、石崎隆騎手を抜いて南関東リーディングJトップに立った。まさに油が乗り切った近況。大井も04年からJRA認定在厩馬の扱いを変更した経緯があり、今季は彼自身、中央の出番も増えるだろう。3月1日付けでJRA所属になる園田・小牧太、赤木Jらとは、少し立場を異にするが、元よりジョッキー稼業とは本質的に腕一本。年間20勝の数字は、本腰を入れさえすれば一流にとってそう難しいハードルでもないはずだ。「中央は全国区。機会があればどんどん乗りたい。でもやっぱり僕は大井で育った。自分だけで今があるわけじゃないですから…」。大きなジレンマというしかない。プロのアスリートが、なぜそこで立ち往生させられるのか。免許制度改正は、今回2人の合格、移籍でむしろ声が小さくなった。理解に苦しむ。

　ともあれコアレスハンターは、フェブラリーS回避、今回“名より実”をしっかり取った。昨秋チャンピオンロードで善戦を続け、少なからず勤続疲労もあるだろう。この後短期放牧を経て、4月マイルグランプリ→6月帝王賞のローテーション。7歳馬は昔の8歳。素質のある、しかし弱点を抱える馬を再生させる技法は、まさしく地方競馬スタッフによって、実践され進化してきた。高橋三郎厩舎は、コアレス、そしてハタノアドニス、しばしばレース前わざわざ船橋などへ輸送し、そこで追い切りを敢行してきた。面倒を面倒と考えないところが、情熱というべきか。あくまで人間の身勝手と断って書けば、やはりコアレスハンターは幸せな馬である。

　金盃(サラ4歳以上　ハンデ　南関東G3　2000m良)

◎(1)コアレスハンター　(57.5・内田博)　2分6秒3
△(2)ナイキゲルマン　　(53・的場文)　　1
　(3)コマノブリザード　(50・今野)　　　1.1/2
▲(4)ケリーライト　　　(51・山田信)　　頭
　(5)クールアイバー　　(53・森下)　　　頭
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○(6)ファイブビーンズ　(53・石崎隆)
△(8)オンユアマーク　　(56・鷹見)
△(10)マキバスナイパー　(59.5・左海)

単130円　馬複290円　馬単440円
3連複3010円　3連単5310円

　ナイキゲルマンの1馬身差2着は善戦だが、道中一分の隙もなくインを進みじっくり脚をタメたもの。厳しいレースになってさてどうか。まだ評価は先送りが冷静だろう。コマノブリザード、ケリーライトは、直線勝負に賭けた前者、3～4コーナーで動いた後者、レースのアヤと考えられる。インを突いて伸びかかったクールアイバーもほぼ互角の力関係。前半行き脚が悪かったファイブビーンズは、結果的に左回りの方が合っているか。昨年2着オンユアマークは、タフに使い込めないぶん成長が今ひとつ。マキバスナイパーは59.5キロにしても衰えを否めない内容だった。

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　エンプレス杯注目馬(川崎2月26日　サラ4歳上牝馬　別定　統一G2　2100m)

◎メイプルスプリング　(54・左海)
○レマーズガール　　　(55・武豊)
▲ジーナフォンテン　　(55・張田)
△グラッブユアハート　(54・安藤勝)
△ホウザングラマー　　(54・的場文)
△アオバコリン　　　　(54・内田博)
　タイムウィルテル　　(54・吉田豊)
　ブルーマドンナ

　JRA、地元勢、ほぼがっぷり四つという好カード。中でメイプルスプリングに狙いをつけた。昨秋船橋クイーン賞はひとまくりのワンサイド。JRA時1勝馬に過ぎなかったが、船橋転厩で、一段二段、別馬のようにパワーアップしている。当時レマーズガールに5馬身差。間にロングカイソウがはさまったあたり、レマーズも本調子ではなかっただろうが、いずれにせよインパクトはきわめて強い。前走グランプリCも久々、太目とすると内容がよかった。父アフリート、プリエミネンスなどと同様に緩急のつくタイプで、川崎2100mもマイナス点は浮かばない。

　レマーズガール、グラッブユアハートの比較は前走TCK女王盃通りで、完成度、逞しさで前者が大きくリードする。後者はイレ込み癖も含めまだ若さ。安藤勝騎乗ではたしてどこまで新味が出るか。昨年の覇者ジーナフォンテンは昨暮れグランドマイラーズ(2着)からぶっつけになる点がやはり誤算。底力、勝負強さは群を抜くが、気配しだいの単穴だろう。ホウザングラマーは初の左回りをどうこなすか。常に敗れて強し…の重賞未勝利。ただ今回プレッシャーから解放されたぶん、不気味さは残している。末脚勝負に徹してアオバコリンが連穴。