◆「大きな成功」のラインをどこに置くかが問題だが今回は重賞勝ちをひとつの基準とした
京都の新馬でベッライリス(390キロで2着)が走るところを見ていてふと思ったのが、「小ささはどこまで許容すべきか?」という問題である。
本物の馬主ならば、小さい馬→セリ等で安い→走れば採算性が高い……という展開も想定できるが、POGの場合は価格が反映されないことがほとんど。一方で、ある程度大きな成功を収めないと他のプレイヤーに対して優位にはなれない。
「大きな成功」のラインをどこに置くかが問題だが、今回は重賞勝ちをひとつの基準としてみよう。一方で、「かなり小さい馬」の基準として、新馬デビュー戦時点で400キロ未満という馬をまずは想定してみる。
1986年以降、新馬戦(折り返しは含まず)に399キロ以下で出走した馬は1273頭。参考までに「その後大きくなった例」のマックスは462キロで、タニノジャドールがデビュー戦396キロから、コスモイーチタイムが398キロから到達している。
しかし、対象馬が走った2戦目以降の総レース数8112レースのうち、57.5%の4665レースが400キロ未満のまま戦われているし、420キロ未満のレースまで含めると92.1%となる。デビュー戦から20キロの上積みが期待してよい限界、通常は増えて10キロ+αと考えてよいだろう。
一方、どこまで出世が望めるかの問題だが、これはなかなかに厳しい。デビュー戦400キロ未満からのGI勝ちはスエヒロジョウオー(92年)が最後。重賞勝ちはPOG期間以外を含めてもエリモダンディーの日経新春杯(98年)が最後で、21世紀になってからは無い。
逆引きで、21世紀の中央平地GI勝ち馬でデビュー時点の馬体重が最も軽かったのはジョワドヴィーヴルで420キロ。牡馬ではドリームジャーニーで426キロだった。
平地重賞全体だとマイネレーツェルの402キロが記録。牡馬ではワイルドワンダーとトーホウシデンの416キロ(世紀をまたぐ形ではロサードの406キロがある)。ちなみに牝馬の2位は410キロだから、マイネレーツェルはかなり特殊な例だ。
デビュー時期を無視した乱暴なまとめだが、こうして見るとデビュー時で牡馬420キロ・牝馬410キロくらいが必要とされる最低水準中の最低水準。実際には牡馬430キロ・牝馬420キロは欲しいし、できればもう少しほしい。「後々大きくなる」は先述したように意外と望めない。
ディープインパクトやステイゴールドのような小柄な種牡馬が存在感を発揮している今だからこそ、サイズの問題は考えてみたいところだ。