海外遠征準備で一流馬不在のGII狙うハギノハイブリッド/トレセン発秘話
◆松田国英調教師「一流馬が出走してこないこの時期のGIIは狙いどころなんです」
ドバイ国際競走に日本の著名馬が複数遠征するのはもう毎年のことだが、昨年からオーストラリアで始まった「ザ・チャンピオンシップス」(4月4日=ドンカスターマイル、11日=クイーンエリザベスS)にも今年、トゥザワールド、トーセンスターダム、ワールドエース、ロゴタイプなどが出走を予定しているという。
日本馬の海外流出。主催者としては売れる商品が“管轄外”に逃げてしまう由々しき事態だ。トゥザ、トーセン、ワールドの3頭でオーストラリア遠征予定の池江調教師は、今回の海外遠征プランの理由は2つあると語る。
「一つは使命のようなもの。もう国内だけで競馬をしている時代ではない。これからは日本馬の強さを世界に知らしめる必要があるんだ。そうすることで日本の競りに世界各国の人が集まって馬がよく売れるようになるはずだからね。日本馬が海外で結果を出すのはこれ以上ない宣伝。生産界なども含めた大きな視点で見れば、競馬界全体にとってプラスになる」
もう一つの理由は天皇賞・春(5月3日)の距離だという。
「3200メートルということで、日本のトップホースが出走しづらい状況にあるのは確か。これが京都芝2400メートルで開催されたら、どれだけの馬が出てくるかなってよく思うよ。ただ、これに関しては我々が主張することじゃない。日本の競馬はファンあってのものだし、ファンが決めるべき問題だろうね」
特にメンバーの質の低下が顕著になった近年は毎年のように春天の距離問題が話題になるが、今後も3200メートルの距離を嫌って海外に流出する馬が増えるようだと、さらにこの問題は過熱していきそうだ。
「日本で確実にGIIを勝てるぐらいの馬ならオーストラリアに行って高い賞金を得るのも一つの策でしょう。ただ、ウチの馬はまだそこまでではない。今年はここから阪神大賞典(3月22日)、そして天皇賞を予定しています」と語るのは日曜(18日)京都メーン・日経新春杯にハギノハイブリッドを出走させる松田国調教師だ。
「トップホースが海外に行く準備期間に入っている上、一流馬が出走してこないこの時期のGIIは狙いどころなんです」
その策が見事ハマるかどうか、当日じっくり見せてもらうとしよう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)