2歳王者プラチナの敵は身内から…国枝師の野望/トレセン発秘話
◆国枝師「トライアルが終わるまで、皆チャンスありと思って来るんじゃないか」
新種牡馬ハービンジャーの産駒(ベルーフ)が重賞初制覇を成し遂げた先週のGIII京成杯(18日)。このレースを、国枝栄調教師が週明けの美浦で淡々と振り返った。
「徐々に役者が揃ってきた感じはするが、まだまだ混戦模様。少なくともトライアルが終わるまで、皆チャンスありと思って来るんじゃないか」
昨年の最優秀2歳牡馬ダノンプラチナを管理する同師は、クラシック戦線では受けて立つ身。そのポジションらしからぬ低姿勢な発言=“平等主義”には当然ながら(?)個人の都合が含まれている。すでに3歳世代11頭が勝ち上がる同厩舎において、2歳王者の飛躍と同時に「今春GIに何頭を送り出せるか」が一大テーマとして並存するからだ。
「勝ち上がっている牡馬8頭のうち7頭はまだ1勝馬。早く2つ目を勝たないと、その使い分けも難しくなるもんな。期待の大きな馬を預かっているわけだし、これからが正念場だよ」
夢はいずれダービー(フルゲート18頭)の枠をすべて管理馬で埋めること――。冗談交じりにこう語るトレーナーにとって、昨年の朝日杯FS制覇はまだ序章にすぎないのかもしれない。
さて、そんな使命を果たすべき最初の勝負が、今週の土曜(24日)中山の3歳500万・若竹賞(芝内1800メートル)で待ち受ける。送り出すペルセヴェランテは重賞4勝馬ダイヤモンドビコーの第6子。うち4頭の産駒をこれまで師は手がけたが「姉3頭は実戦で覇気に欠けるタイプが多かった。これは初めての牡馬だが、気持ちが強いのが何より。負けたデビュー戦(2着)も他馬と接触する不利をはね返しての競馬だった」。まだ1勝馬ながら、上との大きな違いを感じ取っている。
「若いころにヒジを骨折し手術するアクシデントはあったけど、それでいて無事な馬より早くデビューできたのも素質の表れじゃないか。今回は放牧を挟んでトモの張りが良くなったし、さらにパワーアップした姿を見せたいね。ここを勝てば共同通信杯(2月15日)あたりも視野に入ってくると思う」
ダノンプラチナのライバルは他厩舎でなくまず身内から――。そんな野望を燃やすトレーナーの手腕に今週は注目してみよう。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)