レガッタを強豪揃う次週のきさらぎ賞にあえてぶつける陣営の狙い/吉田竜作マル秘週報
◆昆調教師を直撃すると「今の基礎体力がついた状態でどういう競馬になるかを見てみたい」
この時期の3歳戦は500万下もオープンもメンバー構成に大きな違いはない。実際、「オープンといっても実質、1勝馬同士」という関係者の談話をよく耳にするが、それは先週の若駒Sを見ても分かる通りだ(2勝馬の出走はなし)。
裏を返せば、例えば今週の梅花賞(31日=京都芝外2400メートル)、セントポーリア賞(2月1日=東京芝1800メートル)といった500万下特別は、メンバーを見るとオープン並みの高いレベルと言えなくもないが…。それでも次週のGIIIきさらぎ賞(2月8日=京都芝外1800メートル)と比較すると、やはり「自己条件は自己条件」となろうか。それほどまでに、今年のきさらぎ賞は濃い顔ぶれになりそうなのだ。
アッシュゴールド(牡・池江)は言わずと知れた3冠馬オルフェーヴルの全弟。暮れの朝日杯FSでは8着に敗れたが、主戦の池添も「こういう時期に急に良くなる血統」と口にしているように、いつ覚醒してもおかしくない。またポルトドートウィユ(牡・高野)は母系がダイナカール〜エアグルーヴ〜ポルトフィーノと続く良血。不運もあって2度土がついているが、アッシュゴールド同様、「ここを勝ってクラシックへ」と期待しているファンは数多い。
関東からも百日草特別をレコードで制したルージュバック(牝・大竹)が参戦予定。負かしたベルーフは先日の京成杯を制した。その馬に2馬身半差をつけているのだから牝馬とはいえ、当然軽くは扱えまい。
そして当コラムで注目してきたレガッタ(牡・昆)も1勝馬ながら、このきさらぎ賞にエントリー予定。果たして前出の有力候補に対抗しうる存在なのか、改めてその可能性を探ってみたい。
指揮官の昆調教師を直撃すると、「まだ先の話じゃないか」とかわされかけたものの、こちらの知りたかったことに答えてくれた。それは11月(15日)の新馬戦を勝った後に放牧にも出さず、ずっと厩舎に置いて調整した上で、このレースを選択した理由だ。「仕切り直し」に放牧に出すタイミングはいくらでもあっただけに、どうしてこうしたやり方を取ったのかを聞きたかったのだ。
「基礎体力をつけていきたかったので、こちらに置いて調整してきた。一戦一戦が勝負と思っているし、“ひと叩きして”とか考えるような馬ではないんだよ。レース間隔を取ったのは、馬がきつい思いをして“レースが嫌だ”と思わせないようにするため。楽にレースをさせてあげるためにも基礎体力強化に努めた」(昆調教師)
その成果は21日の追い切りにも表れていた。西谷がまたがり、最後は流し気味。それでも坂路4ハロン52.4-38.2-25.3-13.1秒の好タイムをマークしたのだ。もっとも「ちょっとやれば、あれくらいは動く馬だよ」と昆調教師は涼しい表情。きさらぎ賞を選んだのも、相手関係より将来を考えてのことだった。
「新馬戦と同じ舞台で、今の基礎体力がついた状態でどういう競馬になるかを見てみたい。相手も強くなるが、それでどこまでやれるかで、どれだけ成長したかがよく分かるだろうから」
相手があっての競馬なのは昆調教師とて承知のこと。それでも、あえてきさらぎ賞にレガッタをぶつけるのは、期待とともにそれだけの自信があるのだろう。そして、その自信はレガッタの将来像にも表れている。次回は、その驚くべき青写真に触れてみたい。