人気皆無の9歳馬マルカフリートが狙える根拠/トレセン発秘話
◆今月2〜3日に栗東トレセンを襲った“雪害”の異常事態
「この仕事をするようになってから、あんなことは初めてやった」
トレセン勤務歴20年以上のベテラン厩務員をして、そう言わしめた異常事態…。今月2〜3日に栗東トレセンを襲った“雪害”のことだ。
両日ともトラックのウッドコースが閉鎖になるなど調教コースが限定され、馬道を運動しても、いわゆるゲタを履く状態(ひづめの裏に雪が詰まって滑りやすくなる)。とても満足のいく調教ができる状況ではなかった。
ただでさえ、太め残りが気になるこの季節。正月競馬に出走した馬たちの中に、太め残りが多かったのは気のせい? いや、1月1日は全休日で馬場入りできず、その直後の2日、3日もまともな調教ができなかったとなれば、プラス体重続出は雪害の影響が少なからずあったとみるべきだ。
中でも一番影響があったと思われるのは、5日の中山競馬に出走した関西馬だ。1月1〜3日が前述の流れになる中、4日が輸送で5日にレース…。年明けからずっとまともな調教をできずに出走していたことになる。
「ウチの厩舎は、2日は馬場入りすらしなかった。4日が輸送だけで、そのまま次の日に競馬。数字はそこまでではなかったですけど、ちょっと馬が緩んでいたと思う」
こう語るのは5日の中山ジャニュアリーSで2番人気6着に敗れたミヤジエルビスの武藤助手だ。順調に使っていた馬ですら多大な影響を受けたのだから、長期休養明けで臨んだ関西馬は、よりきつかったはず。そう、同レースが1年ぶりの出走だったマルカフリートの10着惨敗には“情状酌量”の余地が多分にある。
そのマルカフリートが日曜の根岸Sに出走予定。9歳という年齢もあって人気皆無だろうが、ダート1400メートルでは、あまり崩れたことのない馬。長休明けの上、直前で雪害の影響も受けた前走は度外視して、大穴で狙ってみる手も…。
(栗東の坂路野郎・高岡功)