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不屈の精神力!!ゴールデンナンバーに乾杯/トレセン発秘話

  • 2015年01月29日(木) 18時00分


◆引退すらありえた状況からの復活

 3連単286万円超の大波乱となった先週のGIII京都牝馬S。関西馬が上位人気を独占する中、ワンツースリーを決めた関東馬の活躍はアッパレだが、個人的に感銘を受けたのはゴールデンナンバーの奮闘だった。4角16番手から最速上がり(33秒0)を駆使してクビ差2着。もともと末脚に定評のある追い込み馬だが正直、その切れ味を見られることは二度とないだろうと覚悟した“事件”があったからだ。

 昨秋のGIII京成杯AHでそれは起きた。発走直前、同馬は新潟競馬場の発馬機の角に体当たり。前胸部裂創で即座に競走除外となり、翌日には傷口32か所をホチキスで留める大手術。「皮膚だけでなく筋肉の中まで深く裂けていた。競走馬としての再起は難しそう。繁殖牝馬になれればいいが、感染症が心配とも診療所から告げられた」と鈴木康弘調教師は当時、不安な状況を語っていた。

 競走能力喪失だけで済めばまだマシ…。そう思わせるほどのけがだっただけに、それからわずか3か月、12月中旬に同馬が美浦に戻ったことにまず宴会野郎は驚いた。「負傷明けでも、信じられないくらい馬の元気がいい、と牧場から報告があったんです。さすがに半信半疑でしたが、戻ってみると本当に活気があった」と番頭格の鈴木崇弘助手も目を丸くしたほど。

 それでも、だ。予想は無印。恥ずかしながら△も打てなかった。一般的に完調には半年はかかるとされる全身麻酔明け。さらに年明けには傷腫れで馬場入りを控えるアクシデントも重なっていた。常識的に好走は無理と判断したのだが…。

 これが早計だったのは冒頭の通り。レースで見せた不屈の精神力は衝撃的でもあった。奇跡の生還を遂げた同馬の今後の活躍はさらに楽しみだが、同時に思い出すのはかつての国枝栄調教師の言葉である。

「ウチにいたタカラカンナは双子として誕生したそうだ。1頭は死んで、しぶとく生き残ったほうと聞いている。その生命力を受け継いだのが子供のマイネルキッツ。天皇賞の勝利も納得だろ?」

 バイタリティーあふれるゴールデンナンバーが、やがて繁殖牝馬としてGI馬を産むのか。そんな未来も夢想させる今回の大激走だった。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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