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ディープインパクトの半妹レスペランス

  • 2015年02月18日(水) 12時00分
エスプリドパリ(牝 栗東・吉村圭司 父ハーツクライ、母ファビラスラフイン)
 母ファビラスラフインは3歳秋に秋華賞(GI)を勝ち、続くジャパンC(GI)でもシングスピールのハナ差2着となった名牝。繁殖牝馬としては長らく大物を出すことができずもどかしい成績が続いていたが、9番子のギュスターヴクライ(父ハーツクライ)が阪神大賞典(GII)を勝ってついに重賞ウィナーとなった。本馬はその全妹。母方にFabulous Dancerが入ったハーツクライ産駒は、現時点で7頭しかデビューしていないものの、そのなかからギュスターヴクライのほかにカポーティスター(13年日経新春杯-GII)、アウトオブシャドウ(1000万下)、ヘルツフロイント(1000万下)などが出ており成功している。完成は若干遅そうだが、兄同様の活躍を期待したい。

ギャラクシーツアー(牝 栗東・小崎憲 父ジャングルポケット、母ファイブスター)
 2代母スターリーロマンスはフジキセキの全妹という良血で、繁殖成績は優秀。母ファイブスター(3勝)のほかに、ダノンミル(11年若葉S-OP)、ノボリディアーナ(13年白百合S-OP)、クリスティロマンス(3勝)など外れなく良駒を出している。本馬はファイブスターの初子。この一族の高いポテンシャルを伝えることができればおもしろい。父はジャングルポケットなので、前出のダノンミルの4分の3同血にあたる。芝向きのマイラーだが、母の父クロフネの特徴が強く伝わっている場合はダートでも行けそうだ。

トゥルーストーリー(牝 栗東・宮本博 父キンシャサノキセキ、母デフィニット)
 デグラーティア(父フジキセキ/小倉2歳S)の4分の3妹。父キンシャサノキセキはフジキセキの息子なので、フジキセキとDeputy Ministerのニックスはそのまま存在する。キンシャサノキセキは母方から重厚な血を受けているので、線の細いスピードタイプだったデグラーティアよりも図太いタイプになる可能性がある。キンシャサノキセキ産駒の成績を分析すると、芝とダートの勝利数は9勝ずつで並んでいるものの、連対率は芝14.4%、ダート29.0%と倍近い差がある。本馬は基本的には芝向きだと思われるが、ダート向きに出る可能性も考えておきたい。

パンドラズホープ(牝 栗東・松永幹夫 父キングカメハメハ、母フサイチパンドラ)
 母フサイチパンドラはエリザベス女王杯(GI)、札幌記念(GII)を勝った名牝。繁殖牝馬としてはこれといった大物を出しているわけではないものの、スペルヴィア(父シンボリクリスエス/2勝)、ピュクシス(父シンボリクリスエス/1勝)、サンエルピス(父キングカメハメハ/1勝)と、出走した産駒は確実に勝ち上がっている。本馬はサンエルピスの全妹。2代母ロッタレースはトライマイベスト(77年デューハーストS-英G1)、El Gran Senor(84年英2000ギニー-英G1、84愛ダービー-愛G1、83年デューハーストS-英G1)の4分の3妹にあたる良血。父キングカメハメハにはトライマイベストが含まれているので、本馬はトライマイベスト≒ロッタレース4×2という4分の3同血クロスを持っている。全日本2歳優駿(JpnI)2着のナサニエルがトライマイベスト=El Gran Senor 4×3という全きょうだいクロスを持っており、キングカメハメハ産駒のこのクロスはややパワータイプに出る傾向があるので、ダートの中距離タイプに出そうだ。全姉サンエルピスも唯一の勝ち星がダート1800mだった。

レスペランス(牝 美浦・木村哲也 父キングカメハメハ、母ウインドインハーヘア)
 偉大なるディープインパクトの半妹。母ウインドインハーヘアはドイツのG1アラルポカルを勝ち、英オークス(G1)で2着となった活躍馬。繁殖牝馬としてはディープインパクトのほかにブラックタイド(父サンデーサイレンス/04年スプリングS-GII)、オンファイア(父サンデーサイレンス/05年東京スポーツ杯2歳S-GIII・3着)、レディブロンド(父Seeking the Gold/03年スプリンターズS-GI・4着)などを出している。孫の代からゴルトブリッツ(12年帝王賞-JpnI)、リルダヴァル(10年NHKマイルC-GI・3着)が出ており、ファミリーの枝葉は今後さらに広がっていくだろう。キングカメハメハ産駒は「Northern Dancer+Secretariat」の組み合わせを持つ配合が成功しているが、母の父Alzaoは「Northern Dancer+Sir Gaylord」なので構成が似ている。Sir GaylordはSecretariatと父系が同じで血統構成が似ている兄だ。本馬と4分の3同血(父が同じで2代母がウインドインハーヘア)の関係にあるハワイアンウインドは、小倉芝2000mで1分57秒2というコースレコード(当時)を樹立したスピード馬だった。配合構成は評価できる。本馬は母が21歳という高齢で産んだ子で、この点がネックだが、並の繁殖牝馬ではないので常識を打ち破るかもしれない。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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