ドバイ直行の裏に秘めた思い、ホッコータルマエ/トレセン発秘話
◆西浦調教師「日本記録もかかっているけど、今年はそれよりもドバイ一本でやっていこうと決めたんだ」
昨年の川崎記念→フェブラリーS→ドバイワールドCというローテから、今年は間のフェブラリーSを省いて川崎記念→ドバイWCというレース選択を決断したホッコータルマエの西浦調教師。しかし、フェブラリーSを挟む気持ちが「全くなかったわけではなかった」という。
「今は馬がすごく走りたいという気持ちであふれているからね。ウチの馬が出れば、競馬もより盛り上がるだろうし、馬券もより売れるだろうから」。それでも使わないのは「去年のようなことは絶対に避けなければいけないから」。
ドバイWCで16着に大敗した後、ストレス性腸炎になって現地で緊急入院したあの悪夢は繰り返してはいけないという強い意思の表れだ。
「レースを多く使ったからそうなったのかどうかは分からない。でも、また同じことをしてしまったらどれだけ叩かれるか…。(GI最多勝の)日本記録もかかっているけど、今年はそれよりもドバイ一本でやっていこうと決めたんだ」
現在は馬の走りたいという気持ちをなんとか抑えながら、3月28日のドバイWC当日に「馬が最高に楽しんで走れるような状態に持っていきたい」と語るトレーナー。おそらく今週使っても最高の状態で走れるものと推測されるが、それをあえて我慢して、世界最高峰の一戦にかける陣営を応援したいものだ。
一方、ホッコータルマエの回避でV確率が高まったのは昨年の覇者コパノリッキー。前走、川崎記念ではなく東海Sに回った理由のひとつを「ホッコータルマエが川崎記念だったから」と語った村山調教師。それだけ脅威に感じているライバルが不在というのはラッキーというほかない。
これまで連覇した馬がいないフェブラリーSだが、先週の共同通信杯で「1戦1勝馬は来ない」という歴史が覆されたばかり。このデータはあまり気にする必要はなかろう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)